ロケ地めぐりの魅力?

ロケ地めぐり 最終回
<ロケ地めぐりの魅力?:映像のマジック、現実と虚構>

ロケ地めぐりの魅力って何でしょう。人それぞれでしょうが、一例をちょっとお話ししましょう。

映画は「架空の物語」ですが、舞台は「現実」で、「現実」を組み合わせて
新たな「架空」を作り出している不思議さ。
「現実」の集まりですがノンフィクションなドキュメンタリーではないのです。
この路地を抜けるとここに・・・という論理や連続性をも超越する、
全く別の「もう1つの現実っぽい空想物語」が作られてゆくわけです。
リアルなバーチャル、という不思議さがロケ撮影(映画やTVドラマなど)にはありますね。

3つほどポイントがあると思っています。
まずその作品が好き!
(原作や監督さん、出演の役者さんを含む。地元とか、好きな街、というきっかけも^^。)
実際のロケ地に立つことであたかも自分自身、物語に入り込んだような錯覚を覚えることができます。

第2に基本的にもとからの風景であること。(最初からそのために作られた風景やセットではなく。)
その世界は「架空」でありながら「現実」でもあるのです。1から作るセットはいわばテーマパーク。
いくらリアルに仕上げても所詮は模型、「つくりもの」に過ぎません。
(勿論テーマパークには現実を完全に忘れられる良さもありますよ^^:)

第3に、特に大林作品の場合、その風景はよそゆきの絵葉書的<観光名所>ではなく、
普通の町並みや路地裏。
必ずしもキレイな絵でないかもしれませんが、生活や暮らしの息遣いがじわっと伝わってきます。
街は暮らしや時代とともに少しずつ変化してゆきますし、その変化を観察し続けてゆくのもまた一興。
時間が止まったように変わらないロケ地に数年ぶりにあった時には驚きますし、
逆にもう跡形もない・・・というのもまた、時の流れを感じることができます。

実例を1つ2つ。尾道は比較的長く風景を保っています。
「尾道転校生」で一夫の家となった某邸宅、25年後の今でもほとんど変わらず「長野転校生」にも登場しました。
尾道には古い神社仏閣も数多くあるし、驚かない、と言われるかもしれませんが
「観光地」「名所」ではない、生活がある普通の「家」は
通常5、10年もすれば便利さや快適さを追求し大幅に変化するもの・・・。
その意味でこのロケ地にはとても驚きます。

一方、同じ尾道にすっかり変わった風景もあります。
「時をかける少女」の<竹やぶの道>。撮影数年後には竹が伐採されブロック塀が作られ・・・
路傍の石が面影をとどめるだけ。
生活のある風景だけに仕方のないことですが、はかなさ、危うさをありのまま受け止めつつ、
今この瞬間、目の前にある風景は今だけであり、
一方でフィルムに焼き付けられたかつての風景に思いをはせることも1つの楽しみ方でしょう。

長野でも・・・「赤十字 血液センター」の木造建物は既に過去となり、
いまやスクリーンでしか見られなくなりましたね^^。それはそれで1つの形なのです。



映像のマジックといえば、設定上の場所とロケ地は同じ場合もあれば全く違うこともあります。たとえば・・・
ここは、型破りな検事が主人公の映画(笑)で物語の発端となる事故現場です。




東京の山の手、世田谷の三軒茶屋、という設定ですが実は隅田川沿いの下町、墨田区向島だったりします。

また、ベストセラー小説が原作の映画では、主人公が福岡の筑豊出身。
幼少時代を過ごした母親の実家がある炭鉱町(筑豊)、そして時々出かけた父親の実家(小倉)、
実はどちらも、昭和の懐かしい街並みが残っていた、宮城県の山間にある、細倉鉱山住宅で撮影されました。
2軒はほとんどお隣さん(笑)。




母と過ごした廃病院の借家は埼玉県熊谷市、
一人暮らしのため旅立つ駅は千葉県の小湊鉄道・里見駅でした^^。




そして、実家を引き払って上京した母親を迎える東京駅。




大きなターミナル駅ですが、ロケは東京駅でなく博多駅でした。
いまや東京土産の代表である「銘菓ひよこ」の看板に騙されますが、
「ひよこ」が実はもともと福岡銘菓であることを知っていると「なるほど!そうきたか」と(笑)。

以上、20回以上にもわたり、ロケ地(めぐり)について、つらつらと書き記してまいりました。
このような場を提供してくださったひがしざわさまほか関係者の皆様に心から感謝します^^。

皆様も、映画を通じてそれぞれの楽しみ方を見つけて満喫してみてはいかがでしょうか。^^。

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人は誰も、生きて物語を残す。人の命には限りがあるが、物語の命は永遠だろう。
未来の子供たちよ、今も元気に暮らしていますか? 
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「転校生さよならあなた」大林宣彦監督メッセージで締めましょう^^。さあ、映画館へ!



しげぞー

映画祭公式ホームページ←上映スケジュール等はコチラまで☆



2007年11月16日 Posted byひがしざわ(21世紀長野映画の会) at 08:00 │Comments(2)TrackBack(0)ロケ地巡り

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この記事へのコメント
そうですね!
ロケ地に立つと、映画のシーンが頭のなかに鮮明に蘇るとともに、まるで自分もスクリーンの中で、一美や一夫たちと映画に参加しているような、そんな不思議な一体感を覚えます。
そして、スクリーンの中でどこか懐かしく感じた風景や人々の営みも、フィクションや造り物ではけっしてなく、いまはまだ現実に存在してくれている貴重なモノであるということも…
この大切なモノを、未来の子どもたちのためにも、ぜひ私たち大人が紡いで残していかなくては…と、明日の映画祭を前にふと思い返しました。
さて、明日は映画の季節と同じ秋の紅葉したロケ地めぐり楽しみですね。
皆さま、明日のロケ地めぐり、そしてながの映画祭で、元気にお会いしましょう☆
Posted by りょう at 2007年11月16日 14:05
ロケ地めぐり、天気に恵まれて最高でしたね。
普段は閉まっている一夫の家が見られたり、改装するらしい鶴の湯
さんの前にピアノが置いてあったのは、一美がそこにいて
私達を迎えてくれているような気がしました。

撮影地と同じ季節、紅葉が美しい路地でした。
ご配慮いただいた“歴史の町長野を紡ぐ会”の皆様に感謝致します。
Posted by ひがしざわ at 2007年11月19日 16:26
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