この曼珠紗華はまるで“転校生 さよなら あなた”の大林監督の前作、大分で撮影された
“22才の別れ”のシーンのようですね。
“民話研究家 青木貞元さんとまわる松代民話散歩 白鳥神社周辺を歩く”
の際、松代町豊栄にある“虫歌山 桑台院”、
通称“虫歌の観音さま”の境内に咲き乱れていた曼珠紗華です。
境内に上る階段。ちょっと尾道“転校生”風に?
野菊に彩られた庚申塔も。
松代は養蚕の盛んな町でした。
養蚕は皆様もご存知かと思いますが、蚕の繭を天日に干し、
糸を取るので中のさなぎが孵ることはありません。
-松代の町はずれ平林村で、養蚕を仕事にしていたひとりの若者がおりました。
ある日のこと、別所や布引の観音様へお参りをしたあと地蔵峠にさしかかったところ、
眼下の平林村の方から悲鳴にも似たうめき声が聞こえてきました。
庭先に干してある繭の中のさなぎの苦しみの声でした。
若者は自分たちの生計を潤してくれる蚕のさなぎの霊を慰めてやらねばと、
近くの山腹に観音様を安置しました。
のちに虫歌観音と呼ばれ、養蚕家の人たちがこぞってお参りに訪れ、
養蚕守護の観音として栄えました。-
と、お堂で虫歌の観音さまのお話を聞かせて下さった、民話研究家 青木貞元さん。
こちらの観音さまは千手観世音菩薩(養蚕守護仏)で約4メートルの大きな観音さま。
行基菩薩(奈良時代の名僧)さまが、1本の桑の木から仏像3体を刻み、その内の
一番根に近い太いところから造られたそう。
他の2体は、松代町東条の清滝観音堂、長野市若穂の清水寺に安置されてます。
そうですね。“転校生 さよなら あなた”のさびしらの水場のロケ地となった清滝観音堂と、
同じ木から作られた観音さまということで映画とのご縁を感じます。
おとなになれなかったものを悼むというお話も。
境内からは広く松代町が見渡せます。