第18回星の降る里芦別映画学校~「ふるさと」への想いはどこまでも~
◇その3:ピース(Peace)。
梅田正孝・実行委員長のご挨拶でスタートです。(以下、名前は略称で記述)
梅「星の降る里芦別映画学校にご来場ありがとうございます。
華々しく開催されていた事業が全国で相次ぎ中止に追い込まれるなか第18回を迎えられるのは、
大変な時期にもかかわらず協賛いただく地元の皆さまのご協力・ご支援のおかげです。
改めてお礼申し上げます。
昨日は、全国から寄せられた作品のふるさとビデオ大賞公開審査会が行われ、
大変幸せで心温まる一日を過ごさせていただきました。
今日は、9月公開の新作、オ・ミポ監督の『オカンの嫁入り』をご覧いただき、
後半では映画の裏話や、いよいよ製作の運びとなる芦別映画のお話を聞けることでしょう。
大変穏やかな秋の日になりました。
この一日を皆さんと過ごせることを感謝します。
どうぞ最後までゆっくりお楽しみください。」(拍手)
続いて林政志・芦別市長のご挨拶・・・その最中、大林監督が舞台袖からニコニコ登場。
(待ちきれなかった?笑)大きな拍手のなか市長とがっちり握手。
こうなると市長さんも挨拶を短めに切り上げ大林校長に委ねるしか(笑)。
宣「皆さんただいま。
嬉しさのあまり舞台に飛び出して市長さんと握手しましたが、
市民の代表である実行委員長の梅田さん、林市長さん、
官民一緒で皆さんが温かく育ててくださる映画学校は18回目なんですよね。
いろいろ思い出しながら、今も袖でしみじみしていました。
鈴木評詞くん・・・この校旗を描き、そして何より映画学校を生みだした青年ですが、
今年の映画学校ポスターを描いてくれたのは彼の一粒種、Hちゃんです。
ニコニコした私の顔が描かれていて皆さん褒めてくださいます。
素敵な中学生になった彼女、お父さんの記憶はあまりないそうですが、
彼の想いが積もり積もってその娘さんが素敵なポスターを描いてくれる。
今朝も評詞くんのお墓に芦別映画の報告をしてきました。
今年も皆さんと学校を進められるのをうれしく思います。
さて、今年最初の授業です。(おもむろにピースサイン)Peace、つまり平和。
これは、私たちが20代のころアメリカから伝わった格好いいサインでした。
日本は戦争に負けましたが、平和な時代がきて嬉しかった。
あれから50年。
若い人たちもこうして写真を撮ります。
私は大学で若い人たちと一緒に映画を通じて勉強しています。
彼らに訊きました。
「君たち、今でもこうやるんだね。でも、これどんな意味か知っている?」
「ピースは平和ですよね・・・でもなぜVがピースなんですか?Pじゃなくて。」
「VはVictory・・・つまり勝利だね。」
「勝利が平和なんですか?」
はっとしました。これは戦勝国イギリスのチャーチル首相が始めたサイン。
戦争に勝ったから平和が来るぞ、勝利!平和!と。
でも私たち日本人は戦争に敗れて、戦争は二度といやだ、
戦争のない平和な時代を作ろうと決意しました。
意見が違ったり都合の悪い相手を倒して勝利が平和と言っている限り戦争はなくならない。
私たち日本人がすべきは<戦争なんていらない。戦争がない平和を作ろう。>
と発信することなのに、ピース<V>と言って60年生きてきたんです。
しまった、失敗した・・・と思って学生さんたちに謝りました。
「済まない。人間は正しいことをしていると思っても間違うね。
若いころは気づかなかった。
貴重な敗戦体験を持つ日本人は、戦争がない本当の平和を作ろうと世界に発信しなければならないのに。
どうか君たちは21世紀、戦争のない明日を作るため、戦争のないことこそ平和だと
いうマークを作っていってほしい。」と話して、自分もこれからの人生を、勝利ではない、
戦争のない平和作りに生きようと決意したんです。
アメリカ大統領が核兵器をやめようと宣言されました。
でもこれから使わないということで、広島・長崎は戦争を早く終わらせるのに
役立ったとアメリカでは市民の59%が信じているそうです。
駐日大使が8/6、広島の原爆慰霊式典に初めて出席されたけれど、スピーチはなさらなかった。
大使が広島に行くこと自体謝罪にゆくようでよくないという世論も国内にあるなかで、
やむをえない面はあるでしょうし、そのためか長崎へは足を運ばなかった。
(8/9は「スケジュール上の都合」として行きませんでしたが、
後日9/26に原爆資料館や原爆落下中心碑などを訪問しました。:しげぞー補足)
難しいことはありますが、敗戦後65年にして、
日本から、本当に戦争のない平和を作る機運が起こりつつある気がします。
人間は間違えたり転んだりしますが、少しずつ世界は良い方向に向いてゆくのではないかと。
そういう力の1つは平和で穏やかな毎日を心豊かに過ごすこと。
こうして映画学校が開催されることも未来を平和な1日にする、小さいけれど大きな一歩です。」
(続く)
しげぞー