「時をかける少女」ロケ地めぐり その14

ひがしざわ 

2010年06月11日 08:00

◎涼太がバスに乗る新宿バスターミナル:群馬県高崎市 高崎音楽センター



 −高崎城跡に作られた音楽ホール。
  1961年に建てられ、日本のモダニズム建築の代表作と言われます。
  涼太が出てきた出入口、深町にあかりが腕をつかまれたシーンの大きな室外機もあります。
  停車する古いバス、様々な表示類やエキストラの方々のファッションなどで、
  昔の新宿長距離バスターミナル風に変身しました^^。
  (スキーウエアやカービングでないスキー板、ビンディングなど懐かしい♪)



(アナウンス)「−行きは、本日乗り場変わりまして・・・」



「すみません!秋田行きのバスはどこですか。」
「秋田行きのバスはあちらですよ。」



「涼太!涼太・・・涼太!」



「はなして!」
「未来から来た人間が過去を変えてはいけない。」
「なら私は未来に帰らない!」
 (☆左手に撮影者の小生が写ってしまいましたが、このアングルだとどうしても・・・。
 映画本編でもよく目を凝らすと、そこには何かが?!(笑))



−現実の新宿では当然撮影できませんし、昔のターミナル風で、夜を徹して撮影でき、
 バスを走らせるのにそれなりのストロークで直線が確保でき、東京から比較的近く・・・。
 まさにここしかない!という感じだったのでしょう。

 あかりが能代行きバスを追いかけるシーンは横からのアングルで、そこには弦楽器の形の
 公衆電話がありますが、地元の方はすぐ分かってしまうのでCGで消したと^^。

 このシーン、懐かしいデザインの観光バスが出てまさに1970年代なのですが、
 よーく見ると・・・。
 手前の秋田行きバスは前乗り中降りの路線バスタイプです^^。
 (巧みなアングルやカット割りでよくみないと気づきませんが。)

 また実はバスは2台しかありません。最初のカットで4台ありますが手前3台は同じ車の合成。
 秋田行きバス車内から見た能代行きバスのカットで2台になっているのも同様です。
 稼動する古いタイプの大型バスをそろえるご苦労がうかがえます・・・。

 撮影では、エンドロールにある、草軽交通さまのご協力で、同社の虎の子、
 車歴29年のノスタルジックなバス、日野RC701が使用されました。
 予備車ながら当時は現役で、毎年気候のよい時期に軽井沢近辺で時々稼動し、
 バスファンを楽しませていましたが、2010年3月の車検満了をもってついに退役、
 過去帳入りとなってしまいました。

草軽交通「日野RC701」さよならツアー
 
 映画製作が1年ずれていたら・・・既に解体・更地になってしまったゴテツのアパート、
 あさま荘同様、映画には「出演」できなかったわけです。
 下吉田駅も改装され、おでん屋台・月江寺商店街のアーチも撤去され・・・
 どれも昨年の春でなければ撮れなかった映像ばかりです。
 もはや現実には見られない風景がスクリーン上に記録され、いつまでも思い出として残るのは
 嬉しいですね。

 つくづく、大林宣彦監督がよく口にされる言葉
 「映画は辻褄のあったウソ(何事も偶然ではなく必然)」を痛感します。
 偶然や自分の意思で撮ったと思っていても、何か天上の大きな意思のようなものが存在し、
 その掌の中、このタイミングしかない、という感じで「撮らせてもらって」いる必然、と。

 スタッフやキャストがスケジュールを合わせてこの作品を作るため集まられたこと、
 ロケ地や当時を彷彿させる大小いろいろ貴重なもの。
 天候やスポンサーなどもそうでしょう。
 それらの条件が全てそろって1つの作品を作り出すのはほとんど奇跡です♪
 (1つ条件が合わなくても同じものにならないわけですから)

しげぞー

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