長岡百花繚乱の紀~映画『この空の花』公開初日レポート⑤

 さて、このワンダーランドの中で演じられた松雪さん。
 大林監督も思わず、
 「普通の劇映画だと、ここで泣きます、怒ります、というようなことがあって、やり易いのですが、この映画は、初めてのことを体験して、驚いたり納得したりする、受けの芝居だったので、演じる方は、大変だったろうと思います。」と労います。
 その労いに対して、
 「監督が描かれた世界が、毎日毎日、自分の想像力を遥かに超えるところで展開していくので、撮影現場に行くのが、本当に毎日ワクワクして、驚きの連続でした。キャラクターと同じように、常に新鮮に反応していくことを心掛けました。」と語る松雪さん。
 「現場の中ではきっと、「私、ここで芝居をしたのかしら」みたいなね。実は、これは普通の女優さんでは、なかなか出来ない役なのですね。映画が出来上がってみると、「さすが松雪泰子はすごいなぁ」と思いました。皆さんもそうですよね。」との監督の投げかけに、大きな拍手が沸き起こる会場。
 松雪さんも、「大林組にまた呼んでいただけるのであれば。」と話されていたので、次回作にも登場、なんてこともあるかもしれませんね。


(平潟神社)

 さて、実は、本作のパンフレットの中には、髙嶋さんが演じた健一と松雪さんが演じた玲子の手紙が掲載されています。
 監督は、このことにも触れて、パンフレットを手に取りながら、
 「このふたりは、玲子と健一に成り切って、手紙のやり取りをしてくれていたのだそうです。みんなそうやって役作りをしてくれたということで、僕は演出をする必要がないぐらいやってくれていて、映画が終わった後も、玲子と健一のままで、ここに手紙が載っているんですよ。これは素晴らしい手紙だったね。僕は感動しました。俳優が役に成り切ってくれたら、演出は何もしなくて良いのです。今回は、楽な演出でしたよ。」と感激されていました。
 「劇場内で絶賛発売中です。」と宣伝する髙嶋さん。
 監督にも内緒で書いたという、『この空の花』の終わったちょっと後の、玲子(松雪さん)と健一(髙嶋さん)ふたりの想いを綴った手紙が掲載されたパンフレット。皆さん、映画を観に行った際は、ぜひお手に取ってみてくださいね。




(平和の森公園)

 そして、映画初出演にして大林組の一員となった猪俣さん。ベテラン俳優に囲まれての撮影について感想を聞かれて、
 「撮影の毎日が緊張して、不安で仕方がなかったのですけれども、監督に1から指導していただいて、他の支えてくれるスタッフさんや応援してくれている友達や家族に励まされながら一生懸命頑張りました。」と、しっかりした声で自分の想いを伝えます。

 さて、猪俣さんは、現役の大学生で、パンフレットでは数学とありますが、実際は地学を学ばれていて、将来は、理科の先生になるのが夢だそうです。
 そこで、司会者から、これからも女優業を続けるのかを聞かれると、
 「まだ学生なので自分のできる範囲で、またこのような機会がありましたら、続けていけたら良いなと思っています。」と答える猪俣さんに、
 「やっぱり女優さんになりたいの?」と返す大林監督。
 「あの…」と迷ってしまった猪俣さんに、「検討中だそうです」とすかさずフォローを入れる司会の藤井さん。

 話しは尽きない舞台挨拶でしたが、「大林監督にこれ以上質問をすると、あと30分や1時間は時間がかかってしまいそうですので」との司会者の笑い話もあり、地元長岡での舞台挨拶は、これにて終了となりました。



 舞台から降りる前に、「南ちゃん、今日は何時からだっけ。」と猪俣さんに語りかける大林監督。
 「3時からです。」と答える猪俣さんに、「3時からアオーレ長岡のアリーナでね、南ちゃんや一輪車軍団たちの一輪車ショーがあるのね。だから、何て言うんだっけね。」

 「……そこでアオーレ。」

 と自ら先にネタをばらしてしまう大林監督。
 「監督が先に行ったら駄目ですよ」と司会者からのツッコミも(笑)

 仕切り直して、猪俣さんから
 「アオーレで、会おうレ!」との掛け声に、

 「カット、OK!」との声で応える大林監督。

 …ということで、猪俣さん渾身のダジャレも飛び出しましたが(笑)、新生長岡の記念日となるであろうこの日、4月1日に開館したばかりのアオーレ長岡でも『アオーレ誕生祭』と称した施設のオープン記念イベントが開催されていました。会場では、ところ狭しとフリーマーケットや長岡のご当地グルメを扱った露天が数多く出店し、またアリーナに設けられた舞台では、AKB48ならぬご当地アイドルY.O.Yのライブありと、多くの来場者で賑わいを見せていました。



 この『アオーレ長岡』は、アリーナやナカドマ、市民交流ホール、市役所が一体となった全国初の複合施設で、皆が集う、市民協働・交流の拠点として建設されました。旧厚生会館の木材を活用したという木の温もりと吹き抜けがとても心地よい施設です。


(アオーレ長岡)

(りょう)

つづく  


2012年04月30日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

長岡百花繚乱の紀~映画『この空の花』公開初日レポート④

 また、本作『この空の花~長岡花火物語』は、2時間40分という上映時間もさることながら、これまでの大林映画とは、また違った趣の作品に仕上がっています。手法的には、セミドキュメンタリー形式と言えるでしょうか。この点について、司会者から聞かれた監督は、
 「野心作と言うよりも、これは映画にならないと思いました。今も映画を創ったという感じではないんですよ。だって、こんな映画、初めてご覧になったでしょう。僕も初めて創っちゃったし。普通、映画にしようとすると、話を少し絞って創りますから、これを普通の映画にしようと思ったら、今日皆さんがご覧になった情報量の10分の1入るか入らないかぐらいなのですよ。ところが、3月11日の震災を受けて、長岡で私が体験したことの全てを、世界中の人に知ってもらわなくてはいけない、これを全部映画にすることは無理だけれども、僕は、例えば、今回も学生さんがたくさん手伝ってくれましたが、大学で教授をやっているときの学問が、映像社会学というのですよ。映画は、単に映画が好きな人間だけが見るのではなくて、昔、『映画は学校』と言われて、映画は、学校では学べない社会のことや、人生のこと、色々なことを学ぶ場所だった。そういう映画に、僕たちは育てられた人間だから、ここでもう一度、映像社会学というもので、この映画を語ったらどうなるだろうか。」
 話にあるとおり、大林監督は、尚美学園大学大学院の芸術情報研究科・情報表現専攻で教鞭をふるわれています。
 「映画監督が創った映画よりも、映像社会学の先生が映像を使って、この長岡の物語を、ファンタジーあり、ドキュメンタリーありという、映画の形にこだわらずに描かなければ、この感動は伝えられないと思い、それで、こんな型破りの劇映画というよりも、何かエッセイみたいな、あるいは寓話みたいな映画ができました。そう言って褒めてくださる方もいるけれども、これはやはり長岡との出逢いと、そして3月11日を受けたことで、この新しい映画を創ってしまった。だから、おそらく皆さんも、今日1度ご覧になっただけでは、あそこはどうだったかな、ここはどうだったかな、と整理がつかないと思うのですが、むしろこのワンダーランドの長岡の中で、迷子になって欲しいのです。そして、迷子になった中から、ポンポンと頭に残ったもの、心の中に残ったものについて考えていくと、段々とそこから色々なことが繋がって、物が見えてくるという、本を読むような気持ちで、この映画と向き合ってもらえたらと思います。私も、8回観てようやく、「おお、分かってきたぞ」という感じですから。ただ、嬉しいのは、皆さんが、何だか分からないけれど涙が出ちゃったということ。これが大事で、パンフレットにも書いてありますが、脳科学者の茂木健一郎さんが、人は脳が追い付かないときに感動するのだと。脳が追い付くと、分かったと感心してはもらえるのですが、脳が追い付かないから感動する。ですので、脳が追い付かない映画を思い切ってこしらえてみようと思いましたので、長岡魂は1回や2回では、理解するのは難しいかもしれませんが、それをひとつひとつ、みんなで語り合うことで、この映画が益々深く、面白く見えてくる。そういう映画が出来たのではないかな、と思っております。」

 観るたびに色々な気づきがある本作。長岡の皆さんは、公開初日にして、既に試写会も含めて3回目、4回目の鑑賞という人も!
 皆さん、ぜひ1度と言わず、何度でも足を運んで、ワンダーランドの世界を巡ってくださいね。


(信濃川河川敷)

(りょう)

つづく  


2012年04月29日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

長岡百花繚乱の紀~映画『この空の花』公開初日レポート③

 大林監督からは、「長岡魂を発信する仲間」とのお言葉も出ましたが、先にも書いたように、この映画には、のべ1,600人をも超える一般市民が関わっています。
 その市民エキストラとの共演について、髙嶋さんは、
 「パンフレットの方にも書きましたが、映画撮影の数か月前に衣装合わせで東京の日活撮影所まで行きまして、そこで、どれを着ようかと悩んで、監督に「どちらが良いですか」と尋ねたところ、監督が「どっちが良いとかじゃないんだよ。これは、セミドキュメンタリーなのだから、片山健一、君が何を着たいかなんだよ。だから、僕に聞くのはおかしい。」と言われて、自分はもうここで痺れて、これは、この空の花、この片山健一という役を、演じるのではなくて、もう長岡、山古志、この辺りで生きなくてはいけない、ということで、現地に入りました。それ以来、長岡で、皆さんにはボランティアやエキストラで参加していただいたのですが、この人たちをエキストラと思ったことはないです。全員が同じ、普段俳優という仕事をしている人も何もない、『この空の花』というこのひとつの作品というか、大きな船というか、この映画自体が大きな花火ですね。だから、誰がどうとかいうことはなかったのですが、その反面、ここ長岡で協力してくれた、いわゆる俳優ではない人たちの生のリアクションの素晴らしさに、もう毎回感動していました。それを、自分も何とかそこに入り込んで、そこで自分も生きなくてはいけないという、そんな思いでやっていました。本当に、皆さん素晴らしかったです。ありがとうございました。」
と感謝の言葉を述べられています。

 りょうも、旧島田小学校などの撮影現場で、俳優の尾美としのりさんとご一緒させていただきましたが、非常にエキストラに気をかけていただいて、撮影中や撮影の合間など、壁を作らず、同じ仲間として、気さくに話しかけてくれたことが、特に印象に残っています。まさにみんなで創った作品です。


(旧島田小学校)

 そして、髙嶋さんの心意気は食の域にも。長岡の食について聞かれた髙嶋さん、
 「長岡の食は最高ですよ。まず駅から泊まっていたホテルまで歩いていくと、いっぱいお店があるのですが、そこからちょっと行った、ちゃんぽんの長崎亭、後は3回も行ってしまった青島食堂、そして、炎天下の日、駐車場まで並んで2回食べたのが、いち井ですね。他にも色々なラーメン屋、それから居酒屋、後は、フレンドのイタリアンも食べましたし、これが不思議でして、焼きそばに、ミートソースがかかっていて、チーズが乗っかっているじゃないですか。何だこれ、と思うのですけれども、食べると何か、昔食べたような、ラザニアみたいな味がして、懐かしい気持ちになりましたね。そして、付け合せが餃子という、何とも不思議な、不思議なんだけれども、癖になる。もう長岡最高です。後、お酒です。越乃景虎、極上吉乃川、もう上げたら切りがないですが、もう大ファンになりました。」

 これには、大林監督も
 「あのね、あの忙しくて時間のない撮影中に、良くもこんなに食べてたなぁ、と思ったんですよ。」
と、呆れられているのかと思うと…、

 「そうしたらね、そうじゃないんです。撮影がないときにも現場に来て、そして、食べて、この長岡の里の人間になろうと努力してくれていたんだよね。」と、髙嶋さんの姿勢に感嘆する大林監督。


(町中の商店街もお祝いムード一色)

(りょう)

つづく  


2012年04月28日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

長岡百花繚乱の紀~映画『この空の花』公開初日レポート②

 それでは、物語を初日舞台挨拶の模様に戻すことにしましょう。
 本編2時間40分間の長岡ワンダーランドの世界への映画の船旅が終わり、興奮覚めやまない会場からは、満開の拍手の花が咲く中、大林宣彦監督、遠藤玲子役の松雪泰子さん、片山健一役の髙嶋政宏さん、元木花役の猪俣南さんの4人が登壇されます。
 レポートの中で、ロケ地の写真もいくつかご紹介していきますね。

 登壇される際には、純白のスクリーンに向かって、“アイ・ラブ・ユー”のサインを贈る大林監督。監督の「ただいま」のひと言に、劇場内からの「お帰りなさい!」の声から始まった舞台挨拶は、まずは、4人からひと言ずつ頂戴しました。


(エキストラ参加者に配付された、記念の“アイ・ラブ・ユー”ピンズ)

○ 松雪泰子さん
 「今日は初日にありがとうございます。観てくださった皆さんの熱気が、まだこの空間に残っている感じで、凄く興奮しています。」

○ 髙嶋政宏さん
 「こんにちは、髙嶋政宏です。この映画を通じて、長岡は僕の第二の故郷になってしまいました。今日は戻って来られて最高に嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。」

○ 猪俣南さん
 「今回、映画に初めて出演させていただきました猪俣南と申します。今日は、撮影を終えてから何か月かぶりにこの長岡に戻って来られて、本当に嬉しいです。今日はありがとうございました。」
 いつもとは違う雰囲気のステージに、少し緊張気味の猪俣さんです。

○ 大林宣彦監督
 「昨日の東京は、もう春の陽射しで、満開の桜に見送られて、新幹線に乗りました。国境の長いトンネルを越えて、今朝はホテルの窓から見事な雪を見ました。レストランに降りると「この雪は、長岡風の歓迎の雪なのです」と言われました。そして、ブログを見ていたら「この雪もまた、空に咲く花ですね」という言葉を見つけ、とても感動しました。普通は、どちらに伺っても、こういうことがあると「生憎の雨」となるのですが、ここでは「生憎」ではなくて「歓迎」であったり、「空に咲く花」だと言うのですね。実は、雪と一緒に暮らしているから、このように言えるのですね。この「生憎」を「恵み」に変える力が、文化の力だし、その心が魂なのですね。今度はまた、長岡の冬の魂を映画にしたいなぁ、と今日はそんな気持ちです。」

 思わぬ続編の話も飛び出し、すかさず「監督には、また長岡に何度か足を運んでいただけるということですね。」と返したのは、この日の司会進行役、長岡まつり協議会実行委員長の藤井さんです。



 また、続けて、大林監督からは、映画の完成にあたり、長岡市民へのメッセージとして、
 「皆さんには、いま映画をご覧いただきましたが、金太郎飴はどこを切っても金太郎飴ですが、この映画は、どこを切っても長岡魂なのですね。そして実は、この映画を創ったちょうど去年の今頃、山古志の麓でこのシナリオを描いているところだったのですが、去年の3月11日、日本中の我々表現者は、何を表現したら良いのか分からなくなって、もう心の中のスクリーンが真っ白になっていたのです。その時に、唯一表現をしていた人たちがいましたね。それは、東日本の被災地の方たちです。ご自身が一番辛くて苦しいのに、「私よりもまだ苦しい人がいるから」と、愚痴は言わないで他人を思いやる。そして、たくさんの支援を受けて、それに恩返しをするためにこの里を復興させます、と。これこそが正に、日本人の美しい姿を私たちに表現してくださって、世界中の人が感動しましたし、私たち日本人も、「ああ、これが本当の日本の美しさだな」と思ったものです。そして、そのときの私は、この長岡の花火に込められた映画のシナリオをほとんど書き上げていたのですが、この映画こそは、今年、いま創っていかなくてはと想い、これからの日本を再生するヒントが、この長岡魂、この花火の物語の中にあると意を起こして、この映画を撮ろうと思い立ちました。この映画のことを日本中の人が、そして世界中の人が、見つめてくれています。日本がこれから美しい人間的な復興を遂げるためには、正にこの映画に込められた、物や金だけじゃない、効率だけじゃない、本当にこの古里を愛して、この古里を穏やかな里にしようという若い人たちを育てることこそが、復興再生だと、そういうことを、世界中の人たちが見守ってくれています。だから、この映画を世界中に発信する、その原動力として、この長岡の映画館の、この長岡の観客の皆さんの熱さが、日本中、世界中の観客の皆さんに伝わって行きますので、どうか皆さんも観客ではなく、この長岡魂を発信する仲間として、一緒に作品を送って、育ててもらえたらと思います。本当に皆さんおめでとうございます。ありがとうございました。」
とのお言葉をいただきました。


(T・ジョイ長岡劇場内には、ロケの模様を紹介した特設ブースも)

(りょう)

つづく  


2012年04月27日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

長岡百花繚乱の紀~映画『この空の花』公開初日レポート①

 この『転校生さよならあなた日記』でも、何度かご紹介した大林宣彦監督の最新作『この空の花~長岡花火物語』。

・2010年12月24日付け日記『大林宣彦監督最新作「この空の花」(仮)公式サイト』

・2011年4月1日付け日記『大林宣彦監督作品をみんなで観る上映会』

 全国公開に先駆けて、いよいよ先日4月7日土曜日から、新潟県内で先行ロードショーが始まりました。



 『市井の人々の勇気と祈りで平和を創り、何度でも蘇り、復興を遂げてきた町、長岡』を舞台とした本作。長岡の町は、戊辰戦争、太平洋戦争における長岡空襲、そして、平成16年10月の新潟県中越地震と、まさに長岡花火で打ち上げられる“フェニックス花火”の名のとおり、その度ごとに危機を乗り越えてきました。



 この映画のメインモチーフとなっている長岡の花火は、放浪画家・山下清画伯の貼り絵になっていることでも有名な花火大会で、毎年8月2日・3日には、多くの観光客が長岡を訪れます。りょうも、かつてはそんな観光客のひとりとして、長岡花火を観に訪れたことがあります。ですが、この映画『この空の花~長岡花火物語』を通じ、観光ではない、長岡花火に託された本当の意味を知ることで、また新たな気持ちで、長岡花火を観ることができるようになることでしょう。


(JR長岡駅前のモニュメント)

 この作品のロケ地でもある新潟県長岡市では、4月7日午前9時からのT・ジョイ長岡での第1回目の上映後に、初日舞台挨拶が行われ、大林宣彦監督、主演の松雪泰子さん、髙嶋政宏さん、ヒロイン猪俣南さんの4人が登壇されました。

 『この空の花~長岡花火物語』では、のべ1,600人もの長岡市民を初めとする一般の人たちが、ボランティアやエキストラで参加しています。初日舞台挨拶が行われた、379人の収容力を誇るT・ジョイ長岡10番スクリーンには、この作品に参加した“戦友”たちが集まり、超満員。その中には、エキストラとして参加した、りょうやしげぞーさんも(笑)


(T・ジョイ長岡)

 さて、『この空の花~長岡花火物語』の誕生秘話は、長野の『転校生~さよならあなた』と、非常に良く似ています。
 長野の『転校生~さよならあなた』は、江守代表を初めとする七人の侍たちが、東京の大林監督の事務所を訪れて「50年後の長野の子どもたちに見せたい映画を創ってほしい」との想いを直談判したことで産まれました。そして、長岡の『この空の花~長岡花火物語』は、「長岡映画」製作委員会代表の渡辺千雅さんが、大林監督の叙勲を祝う『大林さん、次の映画はまあだ会』の会場で、大林監督に「長岡花火の映画を創ってください」と直訴したことが始まりだそうです。

 長野の『転校生さよならあなた』は、映画の最後に「人は誰も、生きて、その物語を残す。人の命には限りがあるが、物語の命は永遠だろう。未来の子供達よ、今も元気で暮らしていますか。」との監督からのメッセージで締めくくられます。そして、長岡の『この空の花~長岡花火物語』は、冒頭「未来を生きる子供達へ 過去を生きた大人達から 今、この映画を贈る」とのメッセージで物語が始まります。同じ“長”という漢字を持つふたつの里が、しっかりと想いのバトンタッチをして、長く次世代に伝え、残そうとしていることが分かります。

 長野の『転校生~さよならあなた』が「路地裏映画の傑作」だとすれば、長岡の『この空の花~長岡花火物語』は、「里気づき映画の傑作」と言えるのではないでしょうか。

 そして、忘れてはならないのが、『この空の花~長岡花火物語』では、我らが蓮佛美沙子さんが『転校生~さよならあなた』以来、大林監督作品に帰ってきてくれたことです。

 「お帰りなさい、蓮ちゃん!」

 蓮佛さんが、どんなシーンで登場するのかは、ぜひ皆さんご自身の目で確認してみてくださいね。
 他にも、森田直幸さんを初め、寺島咲さんや厚木拓郎さんなど、『転校生~さよならあなた』に縁の深い大林組オールキャストが登場されています。

 4月7日、訪れた長岡は、すっかり雪化粧。空からは、長岡花火ならぬ雪の花が舞い降りていました。4月の積雪は、雪国の長岡でも珍しいそう。『この空の花~長岡花火物語』の公開に合わせた、神様からの贈り物のように思えました。


(T・ジョイ長岡外観)

(りょう)

つづく  


2012年04月26日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ