お帰りなさい!~映画『シグナル』凱旋上映会レポート⑥

 そして、トークショーは、会場内からの質問コーナーへと移ります。
 初めの質問が、劇中登場する千曲川のシーンについて、「あんなに堂々と水が流れている風景は、初めて見ましたが、何かあったのですか。」という質問です。
 この質問に対し、谷口監督から、
 「あの川での撮影の時に大雨が降ってしまったのですね。もちろん、撮ったときは、雨が止んでいた日に撮影をしているのですけれども、どうしても前の日までにいっぱい雨が降ってしまったので、川は増水していますし、僕らもどうしようかと思ったのですが、その日は陽も射して、良い塩梅だったので、「これでも良い画が撮れるから」とスタッフの人が言ってくれたので、「これは撮ろう」ということで、撮りました。」


(千曲川で撮影中)

 りょうも、この千曲川の野外ロケにエキストラとして参加しましたが、撮影場所が土手の内側ということで、予定日の初日は、降雨による増水を考慮して、中止となりました。予定されていたシーンが、100人以上のエキストラを動員した大規模ロケだったので、中止に伴う日程変更など、スタッフの皆さんは大変だったと思います。


(劇中にも登場した上映スケジュール表)

 続いて、長峰池の特徴的なレイジの家についての質問があり、稲葉ラインプロデューサーから、ロケに至るまでのエピソードが語られます。
 「あのロケ物件は、業界用語で物件と言うのですが、地元の方の繋がりでご紹介をいただきまして、個人宅の別荘なのですね。偶然の人の繋がりで見つけられた物件で、あのような建物を制作部の花岡さんと言う方が、ロケーションの場所を探す一番のトップだったのですが、彼女が見つけてきて、監督にプレゼンテーションして、監督が気に入って撮影ということになるのですが、ロケの醍醐味は、やはりそういう出逢いから、思わぬこういう副産物というか、最高の画のスパイスが見つけられちゃうというのが嬉しいことですし、最高な一番の想い出ですね。あの物件は、僕は気に入っています。」
 また、谷口監督から、
 「あの物件は、レイジというちょっとユニークなキャラクターを凄く表してくれていると思っています。先ほどおっしゃったように、劇中登場する水辺が川と湖ということで、ルカと恵介のふたりを表現するには、次々と水が流れている川と言うのはふたりのイメージで、レイジというのは、ちょっとああいう人なので、湖の水はずっと静止したままどこに流れることもなく静かにそのままそこにあり続けるということで、キャラクターを画くうえで、長峰池の存在が、ひとつの良いところに左右するかなと思ったのがありました。見つけたのは花岡ですけれども、結果的にそういう風になれて良かったなと思っています。」


(来場者に配布されたロケ地マップ)

 続いて、三根さんに、「上越での撮影で、一番印象に残ったことは何だったでしょうか。」という質問です。
 「地元のお母さん方が、毎日ご飯を作ってくれて、お昼と夜に、おにぎりだったり、カレーの日もありました。それが凄く美味しくて、温かいご飯を毎日食べることが出来て、それもやはり毎日の力になっていたというか、凄く地元の皆さんには感謝しています。」
 「ロケ地での食事は、結構楽しみにしているんだよね」と付け加える三浦さん。
 「そこは、プロデューサーの腕の見せ所ですね。」と、笑いを誘う司会の荒井さんでした。



 そして、銀映館での楽しい時間もあっという間に過ぎ、トークショーも終わりの時間を迎えます。最後に、いま取り組んでいることや、これからの抱負をと言うことで、まずは谷口監督から、
 「『シグナル』の公開の後、ついこの間完成したばかりなのですが、日本の昭和の文豪たちの短編小説をオムニバスで映画化したもので、6本の短編の中の1本をやっています。僕は放浪記で有名な林芙美子さんの名作を担当させてもらいまして、『幸福の彼方』という作品なのですが、30分少々の短編の作品を創りました。他にも、宮沢賢治の『注文の多い料理店』ですとか、坂口安吾の『握った手』という小説だったり、永井荷風の短編小説だったり、それをいま人気の山下監督ですとか熊切監督とか、そういう若手の気鋭の監督が集まりまして、僕もそこに入れてもらったのですが、それぞれ3本3本でまとめた2時間程度のものが、そんなに公開規模は大きくないのですが、9月29日から角川系列の映画館でかかりますので、ちょっと気にしていただいて、東京や大阪では間違いなく上映されますので、何かのついでで訪れたときに気にかけていただければ嬉しいです。アルファベットで『BUNGO』とインターネットで引っ張ると情報が出てくると思います。」


(「BUNGO~ささやかな欲望」のホームページはこちらから)

 「映画は、俳優さんだったり、スタッフだったり、人との物づくりで、何と言っても、人につきるなぁとつくづく思っているのですが、完成した後に、こうやってお客さんに見てもらえているというのも人との出逢いで、それが、何よりも一番お世話になった劇場で、こんな風に温かく笑顔で迎えられることは、こんなに幸せなことはなくて、出逢えてよかったなと、本当につくづく思っています。ありがとうございます。それと、やはり、こういう歴史のある場所を撮ったときに、ここでは、これまでたくさんの何千何本という映画がかかってきたでしょうし、その1本1本に、映画人としての魂が込められているものがあって、まだまだ自分たちはそんなに大した者だと思っている訳ではないのですが、1本の映画には違いがないし、その積み上げられた先に自分たちがいることには違いがないので、何かそのことを、こういう場所で撮らせていただくことで、そういう畏れと言うか、そういう場所に自分たちもいるんだということを、あらためて実感して、ちょっと気が引き締まるというか、でも、凄く特別な経験をさせていただいたなぁ、と思っていて、このご時世、映画創りの状況も変わってきて、簡単ではないことも多いのですけれども、やはり、ちゃんと映画を頑張ろうと思いました。本当にありがとうございます。」


(ロビーのパネルにサインを記すスタッフたち)



 続いて、三根梓さんに、「三根さんは、この世界館のあそこの立てつけの悪いドアを開けて、一歩踏み出して、あのプラットホームのような通路を歩いて旅立ち、デビューしました。これからの抱負、聞かせてください。」と荒井さん。
 「まだまだ演技の勉強を続けて、特定の色がつかない、演技に幅のある女優になれるように頑張りたいと思っていますし、たくさんの方々に愛していただけるような女優になれるように、これからももっと努力を続けていきたいと思います。本日は、足をお運びいただき、本当にありがとうございます。」
 と力強いメッセージをいただきました。谷口監督作品出演をきっかけに大きくブレイクした、先輩の仲里依紗さんや桐谷美玲さんのように、三根梓さんも映画女優として羽ばたいてほしいですね。


(世界館通路)

 最後に、この日の司会進行を務められた上越映画鑑賞会代表の荒井さんから、
 「私たち、映画ファンに何ができるかを考えたときに、やはり、こういった輝きのある映画、光っているものを持っている映画を、きちんと評価をして、お金を払って映画を観る。それで、DVDが出たら、DVDもちゃんと買う。そういったことで、実は、ここにいるスタッフの皆さんが、また次の新しい作品にトライできるし、役者さんは新しい作品に声がかかるということで、私たち観客は、そういった形で、映画創りというものを支えていきたいなと思います。皆さん、どうでしょうか。」
 と訴えると、場内からは、賛同の大拍手が。

 名残惜しい中、場内からの盛大な拍手に送られて、三根梓さん、谷口監督、スタッフの皆さんが、退場されます。
 退場する三根さんには、「頑張ってください。」という声援も。


(映写窓から)

(りょう)

つづく  


2012年08月31日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

お帰りなさい!~映画『シグナル』凱旋上映会レポート⑤

 「西島君や高良君との想い出はどうかな。」と三根さんに尋ねる谷口監督。
 「西島さんとは、一緒にいる時間が一番長かったので、私が緊張しているときに、変顔して笑わせてくれたり、このステージに立って、歌ったり踊ったり、凄く現場を盛り上げてくださるお兄さんのような存在で、私も何度も助けられました。高良さんは、お会いする前は、凄くクールで、あまり近づけないようなイメージがあったのですが、全然そんなことはなく、凄く温かくて、私が、「このシーンがちょっと難しいのですけれども」と相談をしたら、「あまり緊張せずに、深く考えずに、自分の気持ちでぶつかれば大丈夫だよ」と温かい言葉をかけていただいたりしました。本当に周りの皆さんに支えていただきながら、何とか最後までやり遂げることができました。」


(キャスト&スタッフサイン入り瓦。左が西島さん。真ん中が三根さんのものです。)

 さて、三根さんは、本作が映画初出演にして初主演。ミスマガジンのご出身ですが、テレビドラマや舞台も含めて、演技をすること自体が人生初めての体験だったそうです。そんな三根さんに、初めての主演についての感想を聞いてみます。
 「本当に、初めてのことばかりで、不安やプレッシャーがたくさんあったのですが、スタッフの皆さんや共演者の方々が、凄く温かく見守ってくださいました。ですので、悔しい想いもたくさんしたのですけれども、皆さんの支える愛のおかげで、この映画を私は最後までルカとして演じきれたと思っているので、本当に『シグナル』と言う作品は、私の一生の宝物になると思っています。」

 「私たちも、あなたのデビュー作に、一緒に参加することができて、本当に嬉しく思います。」という、司会の荒井さんの言葉に、場内からは想いを同じくするエキストラ&ボランティアたちからの温かい拍手が。りょうも、上田の野外ロケで三根さんと同じ撮影に参加しましたが、三根さんの一度きりのデビュー作に、同じ場面でご一緒できたことはとても幸せに思います。


(黒板も撮影当時の様子そのままに)

 そんな初めての演技に、「谷口監督の演技指導で、1年経った今だから言えるようなことはありますか」という質問を受けた三根さんは、
 「私に分からないところがあって、しつこく聞いたりすると、とても丁寧に教えてくださったりして、凄く優しい監督なのですが、私がまだまだ勉強不足なところもあり、セリフのトーンが違うですとか、体が固まっているですとか、色々な注意を毎日毎日受けて、そこの裏の所で泣いていたりしていました。でも、泣いたら目が腫れてしまうので、メイクさんにちょっと迷惑をかけてしまったりもしました。怒られたり、凄く厳しいことを言われたりするときもあったのですけれども、たまに「さっきの良かったよ」と褒めてくださることもあって、アメとムチで鍛えていただきました。」
 三根さんのアメとムチ発言に、場内大爆笑。
 「ということで、監督いかがでしょうか。」と司会の荒井さんが、谷口監督に事情聴取(笑)。
 「鞭を打つのは、僕も辛かったりするのですが、映画のためには、という気持ちがあって。でも、本当に凄く頑張ってくれて、例えば映画の前半、最初の月曜日に、色々とあって、恵介が第一映写室に乗り込んで行って、「今日はなんだったんですか、ルカさん」と詰め寄ったときに、彼女がちょっと涙を流した顔で振り向くシーンを撮影するときに、あれはもちろん「ルカに成り切っていれば、当然涙が出るはずだ」ということで、撮影をするのですが、そうはいっても、いきなりそのテンションに持って行けというのは、かなり酷な要求です。でも、何か目薬をつけたりして適当な顔でやっても絶対にダメなので、20テイクぐらいだったかな、延々2時間ぐらいずっとあの顔だけを撮るためだけにやっていて、彼女もヘロヘロになって、僕たちもいつ終わるのかドキドキしながらやっていたのですが、結果的には、良い顔が撮れていたので、20数回の中の一番良い瞬間のものを使っているのですが、大変だったろうけれども、「打たれ強い人だな」と思いました。」


(劇中、ルカがレイジから逃れるためにこもった映写室の小部屋)

 続いて、劇中登場する“名脇役”屋上菜園の野菜たちに関して。どのように準備されたのかについて美術の三浦さんへ質問です。
 「高田世界館は、1スクリーンですが、劇中の映画館の設定は2スクリーンなので、もうひとつは上田で撮りました。最初に上田の仕込みがあり、彼女の部屋が出てきましたが、あれは上田映劇の中に作ったのです。」
「何でもない小部屋を全部片付けて作ったのですよ。」と稲葉ラインプロデューサー。


(第二映写室へ。ちなみに、本物の高田世界館には第二映写室はありません。)

 三浦さんが続けて、
 「古い倉庫のような所だったのですが、元々は従業員の方の住居だったみたいです。そこの仕込みが最初でした。皆さんご存知でしょうけれども、プチトマトとかきゅうりとかは、育てるには時間がかかる訳ですね。プランターであのぐらいのものをいっぱい作らなくてはならないので、真っ先に上田にお願いをしていたのですね。高田にお願いをするのには、僕が高田に入るのがまだ随分と後だったので、先に上田にお願いをして、2トントラックの荷台が満載になったのですが、途中でこちらに持ってきて、屋上にあげたのです。」
 と三浦さん。最後に「プチトマトは美味しかったですよ。」と笑いを誘います。


(懇親会で出されたプチトマトときゅうり)

 続いて、「2人が野菜を食べながら、地這いきゅうりですか、あれを食べながら西島君と芝居をするあたりは凄く良いなぁと思ったのですが。」と司会の荒井さんが感想を言うと、場内からは、ちょっとした笑い声が。
 その笑いに、谷口監督から、意外なエピソードが披露されます。
 「西島君はねぇ。きゅうりが徹底的に駄目なんですよ。ちょっとトラウマになっちゃうぐらい、彼の中では嫌いな食べ物だったのですよ。」
 「これは西島ファンの人は、皆さん常識ですか。彼がきゅうりを食べられないというのは。」と司会の荒井さん。
 「彼は公言していますから、みんな知っているはずですね。」と谷口監督。
 「これは、ニコニコして食べているのですが、本当にプロだと思いました。見事でした。」と西島さんのプロ根性を称賛する上野さん。


(名古屋からはるばる高田世界館を訪れたファンの方が製作したフィギュア。エクレアまでも再現。)

(りょう)

つづく  


2012年08月30日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(3)未来に紡ぐ

お帰りなさい!~映画『シグナル』凱旋上映会レポート④

 そして、遅れていた三根梓さんが世界館に到着されたとの報が入ります。
 この日一番の拍手で、三根さんをお迎えします。場内からは、「三根さーん」という若い女性の歓声も。
 トークに先立ち、「ぜひ三根さんに花束を届けたい」というファンの方から、三根さんに花束の贈呈が行われます。これには、司会の荒井さんも、「私も花束を持って来れば良かった」と笑いを取ります。


(チケットも銀映館仕様。券面に「ようこそ、銀映館へ」とのメッセージが添えられています。)

 まずは、三根さんから自己紹介と、1年ぶりの高田世界館を訪れた感想を聞かれて、
 「こんにちは。三根梓です。撮影をしていたのが1年前で、あらためてまたこの銀映館に来させていただいて、でも、いま見て、「あっ、全然変わっていないな」と思って、やはりこういう歴史のある建物は、1年とかでは、そう簡単には変わらないというか、何かまたあらためて歴史の重さというか、荘厳さのようなものを感じて、またこの地に来られたことを、凄く嬉しく思っています。今日は、お越しいただき、ありがとうございます。」
 ひと言ひと言を選びながら、ゆっくりと話す三根さん。


(世界館劇場内)

 「せっかく三根さんにお越しいただいたので、ロケ中のエピソードや想い出のシーンをご披露していただければ」と司会の荒井さん。
 「たくさんあるのですが、私が一番印象に残っているのが、最後のレイジとルカと恵介がここで、3人で対決をするシーンがあって…」
 「それは、ここら辺ですね。」と、指をさす荒井さんに、場内大爆笑。
 「はい。さすがに凄く緊迫したシーンで、その日は1日、現場がピリピリしているというか張りつめた空気で、1日中そのテンションを保ち続けるのが、凄く大変だったのですが、その日は夜中の1時か2時ぐらいまで撮影をしていて、でも、その日を撮り終えたときに、凄く達成感を感じたので、やはり一番印象に残っています。」


(ルカ「殺せば!」)

 続いて、谷口監督から、
 「今日、映画を観ていて、やはりこの劇場のシーンが出てくる度に、何とも言えない、これはなかなか無い経験だと思うのですが、スクリーンのこちら側と自分たちのいる場所が、何かこう一体化してしまって、いまそこに本当に西島君が座っていたり、高良君が立っていたり、ルカがそこから出てきたり、しそうな、しているような気がするというのを、映画を観ながら感じて、でも、何かこう、『シグナル』の封切から色々な劇場でかけていただいて、本当にそれぞれに有難く思っているのですが、ここでの上映と言うのは、ちょっと一生忘れられないものになりました。ここでかけてもらえたというのは、この日のためだけに撮影をしていたのではないですが、やはり今日のこの日がなければ『シグナル』は終われないというか、それはどこか撮影している時も、絶対にここでかけてもらいたいとは思っていたので、それが果たせたというのが嬉しいし、何か、向こう側とこちら側が一緒になるというのが面白かったですね。ちょっと自分もドキドキしながら観ていました。」


(西島さん着席シート)

 りょうも、スクリーンに登場する“銀映館”こと高田世界館で観る8回目の『シグナル~月曜日のルカ』。銀映館でのレイジと恵介との対決シーンでは、思わず映写室に振り返ってしまったり、スクリーンと劇場が一体となった“リアル3D”とでも表現すれば良いでしょうか。これは初めての体験で、言葉にはできない何とも不思議な幸福感に包まれました。

 「私たち観客も何か不思議な感覚でいっぱいでした。そういった意味で、今回、三根梓さんに、西島君に高良君、若手の役者さんを起用して作品を撮った訳ですが、彼らの役者ぶりというのは、いかがでしたか。」という荒井さんの質問に、キャメラマンの立場から見て、ということで、上野さんから、
 「西島君は、かわいいですよね。笑顔がとても良いですよね。それと、僕は技術の仕事をしているので、映写室の大きいマシンとか大きな音とか、油臭い匂いとか、そちらの方は慣れているのですが、三根さんは凄いよね。機械が怖くないんです。」
 と、三根さんからは、すかさず「怖いとは思わなかったですね。」と力強い返事。
 続けて上野さんは、
 「今回、映写を東京地区で教えていただいた荒島さんが、この間お会いしたときにおっしゃっていたのですが、三根さんが凄いのは、機械を怖がらなかったこと。普通は、あの機械を見ただけで怯んでしまって、もう近づけなくなってしまう女性がいっぱいいるそうです。更には、男性もなのだそうです。西島君も、全然OKでしたし、確かに彼は、ミュージシャンですので、大きい音には慣れているのだと思うのですけれども、そういう意味では、本当に、こういった作品に必要な技術を短期間で覚えて、最後には教える立場になっている訳ですから、それを普通にリアルにきちんと演じられたというのは、凄いと思いますし、よく頑張ったと思います。お疲れ様でした。」


(映画止まってるよ)

(りょう)

つづく  


2012年08月29日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

お帰りなさい!~映画『シグナル』凱旋上映会レポート③

 話のテーマは、「高田世界館との出逢い」から。
 実は、昨年は高田世界館が、明治44年の開館からちょうど100周年を迎えた節目の年だったそうです。そんな記念の年に、『シグナル』撮影の話が飛び込んで来て、実際に撮影が行われたというのは、とても不思議な縁を感じます。
 この映画の神さまが紡いだ“縁”について聞かれた谷口監督は、
 「そうですね。この話をやるにあたっては、やはり趣のある、こういう映画愛そのものを表してくれるような場所がどうしても必要だと思っていました。今はインターネットもあれば、このような歴史のある映画館を紹介してくれている本もありますので、色々と見た中で、いくつか候補のような場所があったのですが、一番良いなと思ったのが、この世界館さんでした。ですので、最初にロケハンでまずここを見てみたいということで、上野さんや三浦さんと来たら、この後も色々と見てみないと、その時には結論は出せないけれども、多分、これ以上の舞台はないかもしれないなということは、見た瞬間に思いました。それで、映写室に見に行ったときには、「ああ、これはもうここしかない」となりました。映写室は狭いので、映画の撮影では、映写室の中で全部を撮るのは大変なので、当初は撮影所にセットを組めないものかどうかという話も出ていたのですが、隣にいる美術の三浦さんが、この映写室を見たときに、「このクオリティは、セットでは出せないので、苦労してでもここで撮った方が良い」という話をいただきました。」


(映写室)

 この『シグナル』は、スタジオセットを使わずに、全篇オールロケで撮影されています。世界館でのロケハンについて、美術の三浦さんは、
 「ここを最初に見て、他の場所もいくつか見たのですが、後はもう素材のつぶし合いでしかないという結論でした。それに、映写室とこの劇場の空間を、映写室のセットで切り離してしまうと、統一感が絶対に取れない。加えて、圧倒的な存在感がこの映画館にはある。ただ、表が外に出ると前が駐車場で、道路まで少し遠かったりというのがあるのですが、入口を出たあの通路が、道までちょっと距離があるというのが、逆に最後の作業に、映写機に走っていくというところに、かえって良い効果を表したと思います。美術的には、何も引かずに、銀映館のテイストを出す看板だけを付けて、味わいを活かす形で創ってみました。皆さん、どう思ったでしょうか。」
 と、場内からは大拍手。


(ロビーに貼られた『シグナル』の映画ポスターには、「GINEIKAN」の表看板のところに、「ここ私」という三浦さんのサインも。)

 映写室の話ということで、続いて撮影監督の上野さんからは、
 「我々、映画を制作している者にとっては、映画館というのは学校と同じようなところで、こういう空間からある意味育ってきたという状況の中、映画館はとても大切な所なのです。この空間を見たときに、果たして我々が尊敬の念を持って、映画館をまるごと描くことができるのかどうか、という難問がおそらく出てくるだろうと思っていました。今日は、皆さんにひと言、ちょっと残念なことを言わなくてはならないのですけれども、主人公のルカというのは、フィルムの映写技師なのですね。こちらの映画館には、2台の古い映写機が存在していて、これが、メンテナンスをやられてきたおかげで、生きています。こういった映画館はあっても、本当にフィルムの映写ができる上映館というのは、日本でも本当に少なくなってきていまして、昨今、皆さんもご存じのように、デジタルの波が訪れてきております。我々映画屋としては、ぜひ、このフィルムを愛する文化の物語を撮るためには、ぜひフィルムで撮りたかったのですが、色々な事情がございまして、ここ1、2年の間は、もの凄くデジタルの進歩が速くなりまして、フィルムの画質を凌駕するぐらいまで来ています。皆さまにご迷惑をかけないような創り方で、映像を創れる自信が出来てきたのが、ここ数年なのです。ですので、今回は、デジタルカメラを持って、撮影をすることになりました。と言うことで、今日は、デジタル上映でお願いをしていまして、ここでちょっとご紹介をしたいのですが、今日の映写の状況は、完ぺきに満足な上映でした。本当にありがとうございます。ご苦労様でした。東京の編集所で創った画質とほぼ同一の画質で今日は上映されていたと思っています。」
 上野さんからの賞賛の言葉に、会場からは拍手で恩返し。“映画は学校”という言葉は、大林宣彦監督も良く使われていますね。
 続けて上野さんは、
 「この映画館には、そういった施設が、とても大事にされています。狭い映写室というのは、当たり前なのですね。2台の映写機が動いていればそれで済むわけですから。後は、狭い中で、どうやって我々がお芝居を撮っていくのかというのは、色々な難問はありましたが、それをひとつひとつ乗り越えることによって、何とかルカの気持ちを撮ることが出来たのではないかと思っています。ですので、この映画館の関係者の皆さまに大変感謝しています。ありがとうございました。」


(映写機)

 フィルムで上映できなかったことについて、谷口監督は、
 「そうなんですよね。フィルムのプリントがなくて、映写機でシグナルをかけられなかったのは本当に申し訳ないのですが。そこの映写室にいつもいらっしゃる久保田さんが今日もお見えになっていますけれども、現場でも色々とご指導をいただきました。そして、何よりも一番なのは、映写室と言うのは神聖な場所だと思うのですが、そこを快く貸していただけたことに本当に感謝しております。久保田さん、どうもありがとうございます。」

 と、ここで、銀映館の本物の“技師長”久保田さんも壇上に合流し、ひと言いただきます。久保田さんご自身は、世界館で映写技師は自分ひとりだから、技師長ではなく技師だとおっしゃられているそうですが(笑)。


(久保田技師長登壇)

 久保田さんは、ルカ役の三根さんに、銀映館の映写機の使い方を指導されていたそうです。また、エキストラとしても、あるシーンで、バッチリ登場されています。
「去年の8月6日から8月31日までの間、その間、1週間ぐらい上田に行かれましたけれども、後はずっとこちらで撮影をしていました。私は、映写技師として、最初の日に丸1日ほど、梓さんに教えることになりました。上映された映画を観れば分かるように、ちゃんと技師長らしくやっていましたので、大したものだと。去年は、19歳でしたか、若いから凄くものわかりが良くて、頭が良いのだと思います。そんなに簡単には、普通はできません。」
 「おかげで技師長らしくなりました。」と谷口監督。

(りょう)

つづく  


2012年08月28日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

お帰りなさい!~映画『シグナル』凱旋上映会レポート②

 Kyleeさんの歌うエンディング曲が流れる中、エンドロールが上がると、場内からは割れんばかりの拍手の花束が。

 そして、お待たせしました。いよいよトークショーの開始です。
 上越映画観賞会代表の荒井治喜さんの司会進行で、谷口正晃監督、上野彰吾撮影監督、三浦伸一美術監督、稲葉尚人ラインプロデューサーが、劇中でレイジこと高良健吾さんも上がった銀映館の舞台上に登壇されます。三根梓さんは、11日がちょうどお盆初日ということもあり、東京から長野経由で高田世界館に急ぎ向かっている途中ということで、まずはスタッフの皆さんだけでトークショーを始めます。


(翌日の上越タイムス紙面)

○ トークショーの模様は、上越タイムスや上越タウンジャーナルのサイトにも
上越タイムス http://www.j-times.jp/news.php?seq=5913
上越タウンジャーナル http://www.joetsutj.com/archives/51957519.html

 まずは、それぞれ自己紹介ということで、登壇したスタッフの皆さんから、ひと言ずついただきました。

谷口正晃監督
 「今日の上映と1年前の8月の撮影と、本当にありがとうございます。今は、それしか言葉が出てきません。今日はよろしくお願いします。」

上野彰吾撮影監督
 「1年前の今のシーズンに、こちらの世界館をお借りして、3週間ほどの撮影をさせていただきました。そのときにご協力をいただいた方々のおかげで、このような映画ができました。そして、このような凱旋上映という形で来させていただき、本当に感無量です。皆さま、暑い中、集まっていただきありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。」

三浦伸一美術監督
 「去年のちょうど今頃は、ここで撮影の真っ最中でした。風鈴の町ということで、音を止めていただいたり、色々とご協力をいただき、ありがとうございました。感無量です。」

稲葉尚人ラインプロデューサー
 「本日は、こんなにたくさんの人にお集まりいただき、どうもありがとうございました。昨年の今頃に撮っていた場所で、まさか自分が一観客になって作品を観られるというのは凄く幸せです。僕の映画人生でも初めての経験なので、僕自身も感動しています。今日は本当にありがとうございます。」


(スタッフ登壇)

(りょう)

つづく  


2012年08月27日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)未来に紡ぐ

お帰りなさい!~映画『シグナル』凱旋上映会レポート①

 8月10日(金)から本日8月26日(日)まで、“銀映館”こと高田世界館さんで連日開催されている『シグナル~月曜日のルカ』凱旋上映会。

 最終日となる本日(26日)には、谷口正晃監督が高田世界館を再訪され、14時の回と19時の回に舞台挨拶が行われることが、急遽決定したそうです。
 作品のロケ地、銀映館こと高田世界館で観られる最後の貴重なチャンス。皆さん、この機会をぜひお見逃しなく!

 そして、11日(土)には、昨年8月の撮影以来1年ぶりに銀映館へと帰ってきた、主演の三根梓さんを始め、谷口正晃監督、上野彰吾撮影監督、三浦伸一美術監督、稲葉“イケメン”尚人ラインプロデューサーによるトークショーも開催され、さながら世界館は同窓会といった雰囲気に包まれました。



 久しぶりに“チーム長野”でお邪魔した高田世界館。本日からの転校生日記では、凱旋上映会の模様を皆様にお届けしたいと思います。

 今回の凱旋上映会に合わせて、高田世界館では、通路の飾りつけや“GINEIKAN”の看板も取りつけられ、すっかり銀映館仕様。劇中の銀映館がスクリーンから飛び出してきたかのようです。



 『シグナル~月曜日のルカ』の上映は、午後3時からでしたが、りょうが到着した朝の9時半過ぎには、ロケ地マップを手にした若い女性2人組が早くも世界館を訪れ、館内の恵介こと西島さんが座った座席などを熱心に見学されていきました。また、この日は、普段は立ち入ることができない貴重な映画室も一般公開され、劇中登場した映写機を前に、それぞれが三根さん演じるルカや西島さん演じる恵介になりきって、作品の世界に浸っていました。三根さんも、トークショー終了後、1年ぶりに映写室を訪れ、懐かしそうにされていたそうです。


(高田世界館全景)

 15時の上映開始前には、180席の集客力を誇る世界館の場内は満席に埋まり、かつての銀幕が熱気ある頃の姿を取り戻していました。


(活気あふれるロビー)

 予定では、上映後のトークショーのみでしたが、場内の熱気に推された谷口監督からは、急遽上映前にもひと言来場者に向けてメッセージが。


(上映前の挨拶に立つ谷口監督)

『シグナル~月曜日のルカ』 高田世界館凱旋上映
本日(8月26日)最終日
谷口正晃監督による舞台挨拶も決定!
14時&19時の上映回


(りょう)

つづく  


2012年08月26日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)未来に紡ぐ

『シグナル~月曜日のルカ』 高田世界館追加情報

 昨日の転校生日記でお知らせした、8月11日(土)の高田世界館での谷口正晃監督による舞台挨拶ですが、監督に加えて、主演の三根梓さんの来館も決定しました☆
 また、当日は、エクレアの販売に加え、西島隆弘さんが劇中食べていたキュウリの販売も予定されているそう。
 準備万端。当日は、まさに街をあげての“シグナル祭”になりそうですね♪

 イベントの詳細はこちらから
http://www.joetsutj.com/archives/51955807.html

 皆さん、8月11日は『銀映館』でお逢いしましょう!



(りょう)  


2012年08月10日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

『シグナル~月曜日のルカ』 高田世界館での上映決定

 先日、転校生日記にて『シグナル~月曜日のルカ』に登場する映画館“銀映館”こと『高田世界館』のこの夏の一般公開をお知らせしました。
 その中で、「凱旋上映会があるかも!?」とお伝えしましたが、ついにその日程が決定しました。

・ 8月10日(金)~8月26日(日)
・ 連日:10時、14時、19時
※ 休演日がありますので、詳しくは、こちらのホームページでご確認ください。
http://www.joetsutj.com/archives/51952491.html

 また、8月11日(土)には、谷口正晃監督による舞台挨拶も行われることが、あわせて発表されました。

○  『シグナル~月曜日のルカ』 高田世界館・谷口正晃監督舞台挨拶
○  8月11日(土) 15時からの回上映後


 そして、舞台挨拶当日は、劇中で西島隆弘さんや白石隼也さんが美味しそうに食べていたラ・ソネ菓寮さんの『エクレア』も、限定100個ですが、世界館で出張販売されるそうです。こちらも楽しみですね。

 スクリーンの中に登場する映画館で観る『シグナル~月曜日のルカ』。
 作品の世界の中に自分がいる。この貴重な体験を、ぜひ多くの皆さまに触れていただければと思います。



(りょう)  


2012年08月09日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

長岡百花繚乱の紀~『長岡まつり大花火大会』レポート②

 そして、映画はEND Markを付けぬまま、信濃川河川敷の花火会場へ…
 午後8時15分「世界中の爆弾が花火に変わったら、戦争が無くなる。都市には志がある。戦火で2度灰塵と化した長岡は、その都度、見事な復興を成し遂げた。この長岡の花火の魂はいま、大林宣彦監督の手で、スクリーンに見事に蘇り、世界に平和を訴えていく力を、若い世代に訴えている。長岡市民の熱い想いを胸に、今宵、長岡の空に初めて咲く、情熱の長岡魂。久石譲さんの主題歌に乗せて、平和の心を世界に伸ばそう。超大型花火物語、この空の花。」のナレーションとスポンサー企業(映画のスポンサーさんとほぼ同じです)の紹介のあと、久石譲さんの『この空の花メインテーマ』に乗せて(サントラCD18番の曲です)、いよいよ大手大橋と長生橋間400mに渡り繰り広げられる3分間の超大型ワイドスターマイン“この空の花”花火、打ち上げ開始でございます☆

(“この空の花”花火の一部を写真でご紹介。15mmの広角レンズを使用して撮影しているのですが、観覧席が花火に近すぎて、全てを画面に収めきれていませんがご了承ください。)













 You Tube上で、“この空の花”花火の打ち上げの模様を公開してくれている方がいますので、動画でご覧になられたい人は、こちらから。
 http://www.youtube.com/watch?v=UbKfli4KwjY

 初めて長岡の夜空に咲いた“この空の花”花火は、雄大さの中にも、繊細さがある大林監督らしい花火で、野に咲く花のような約千発の花火の中には、彩色千輪や結晶花と呼ばれる花火玉やニコちゃんマークの花火など平和を願う監督のメッセージが存分に込められていました。
 りょうも含めて会場では、映画のように夜空を指差して「花だ!」と叫びながら涙を流す、夜空に咲いた満開の『空の花』に、花火会場はまさに映画の大団円のシーンが広がっていました。


(「花だ!」)

 スクリーンから飛び出した長岡花火は、劇中の野瀬さん(嘉瀬誠次さん)のお言葉のように、本当にしんなりと開いて、まるで流れ星や涙の雫のシャワーのように、ゆっくりと花火の花が頭上いっぱいに降り注いで来きました。東京や埼玉でも数多くの花火大会がありますが、視野に入りきらないほどの花火の百花繚乱は初めての体験でした。その様子は、言葉にすることがもったいないぐらいの感動です。

 まさに、『長岡の花火は、世界一の花火』。
 長岡花火に込められた想い、そして、長岡“魂”、長岡の人たちの“粋”をシッカリと受けとめさせていただきました。



 翌日4日付けの新潟日報では、「映画『この空の花~長岡花火物語』を記念したワイドスターマインが3日夜、長岡まつり大花火大会で打ち上げられた。平和を願う色とりどりの“花”が夜空に咲いた。作曲家の池端信宏さんが演出。久石譲さんが作曲した映画の主題歌に乗せ、笑顔の形をした花火など約千発が上がった。長岡まつり協議会は新たな名物花火にしたいとしている。映画は長岡空襲と慰霊の花火を題材に『世界中の爆弾が花火に変わったら、戦争がなくなる』との思いも込められている。映画に出演した長岡市の中学生は『平和を象徴する花火として、ずっと続いてほしい』と話した。」との記事で紹介されていました。
 何度でも観てみたい。“この空の花”花火、ぜひとも新たな長岡花火の名物としてシリーズ化してもらいたいですね。

 そして、長岡花火と言えば、正三尺玉。日本国内にはこの長岡花火の正三尺玉よりも大きい四尺玉の花火も存在しますが、長岡の正三尺玉に詰められた火薬量は、現在日本国内で認められている最大量で四尺玉と同量なのだそうです。それだけ、ギュッと詰まっているのですね。長岡では、かつて3.5尺玉も打ち上げられたことがあるそうですが、研究を重ねた結果、一番美しく花開くのがこの三尺のサイズなのだそう。ただ、途中で割れずに打ち上げるためには、相当の技術力が必要で、長岡でも失敗をしてしまうことがあるほどだそうです。(以上、長岡市の福島さまよりご説明をいただきました。ありがとうございます。)


(長生橋のナイアガラと正三尺花火)

 3日、夜空を彩った約1万発の花束。
 花火大会のラストは、観客席から花火師の皆さんに向かって、「ありがとう」の気持ちを込めて光のメッセージを届けます。


(各々持ち寄ったライトによる光のメッセージ)

 長岡の皆さん、そして、酔火連の皆さま、素晴らしい体験をありがとうございました。



 今宵、長岡の夜空を見上げた子ども達の心に、希望という名の種が蒔かれ、僕らが想像力を育み、君らの時代には、平和の花が満開に咲き誇っていますように…



 花火観覧後は、映画公開を記念し、数量限定で販売されている吉乃川『この空の花』吟醸酒で、エキストラ仲間とともに長岡花火に乾杯☆



 それでは、本日の転校生日記は、「bye!ここで」

(りょう)  


2012年08月08日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

長岡百花繚乱の紀~『長岡まつり大花火大会』レポート①

 8月3日、長野松竹相生座・ロキシーさんでの『シグナル~月曜日のルカ』谷口正晃監督舞台挨拶では、平日夜の時間帯にもかかわらず、本作ロケ地の上越市高田からを始め、ご来場いただいた多くの皆さま、そして、長野市までわざわざお越しくださった谷口正晃監督、どうもありがとうございました。

 そして、8月1日22時30分、サイレンと寺社の鐘の音とともに長岡大空襲犠牲者を追悼する3発の花火の打ち上げから始まり、2日・3日の両日開催された長岡まつり大花火大会。2日は、映画『この空の花~長岡花火物語』に出演したエキストラ仲間が一同に会し、信濃川右岸土手にて観覧会が、そして3日には、映画『この空の花~長岡花火物語』の上映を記念して“この空の花”花火の打ち上げが行われ、大林宣彦監督もご家族で来祭されたそうです。


(花火大会プログラム)

 本年の長岡大花火大会開催にあたり、映画にも登場する森民夫市長(映画で「長岡の花火は、世界一の花火だ!」と力強く宣言しているのは村田雄浩さん演じる長岡市長ですが、あるシーンでは本物の森市長も登場されています)は、
 「昨年の花火大会で『長岡の花火は日本一ではない。世界一の花火だ』と、申し上げてから1年が経とうとしています。この間、長岡花火は海を越え、ホノルルやワシントンDCで戦没者への鎮魂と平和への祈りを込めて大空に咲き、米国市民を魅了いたしました。この長岡花火には、長岡空襲で亡くなられた方々への慰霊と平和の祈り、震災復興への願い、そして支援をいただいた多くの方々への感謝という、たくさんの『想い』が込められています。昨年、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市の花火大会で、長岡の復興のシンボル、フェニックス花火が東北の夜空を舞い、多くの方々が涙を流したと聞いております。本格的な復興へ立ち上がる仲間のために、今年も8月1日に石巻でフェニックスを打ち上げます。そして、翌2日、3日には長岡で復興への思いをリレーし、石巻と長岡の絆を深めます。さらに、古里映画の巨匠・大林宣彦監督が手掛け、大勢の市民の皆様がエキストラや裏方スタッフとして参加し作り上げた、長岡の宝ともいえる作品『この空の花~長岡花火物語』が全国各地で公開されています。この映画の上映を記念した花火も打ち上げますのでご期待ください。昨年に引き続き、『今こそ届けよう!感動と勇気!』をスローガンに掲げ、熱き長岡魂が燃え上がる長岡まつり。どうぞ皆様、心ゆくまでご堪能ください。」
 とご挨拶をされています。




(長岡まつりは、観光だけのお祭りではありません。アオーレ長岡での柿川灯篭流しを紹介するパネルと献花会場。りょうも一輪の菊を手向け、空襲犠牲者に平和を誓います)

 そして、“この空の花”花火の打ち上げに際し、大林監督からは、
 「あの3・11を体験した2011年、長岡花火と長岡映画は共に『この空の花』と咲いた。東日本のひとびとと共に、日本の新たなる再生を願い祈る、約束の花となれば、と。都市には志があるという。長岡花火とこの映画は、長岡という都市の志を伝えるものだ。明治、日本に近代国家が創出されたあの時、長岡は戊辰戦争により灰塵と化した里を見事に復興させた。勝者の新政府軍は物と金による繁栄を望み勝ちだが、長岡の里は美しく賢い人をこそ育てようと欲した。負けた里の痛みから学んだ長岡魂・米百俵の精神である。真の復興・再生とは物金のみに頼らず人の智慧をこそ尊む。この志を以て太平洋戦争敗戦後、中越地震被災後のこの里を復興させてきた、そのシムボルたる長岡花火は、正に3・11後の日本の再生の筋道をこそ示すだろう。燥ぎ過ぎた平和の覚束無さが痛いほど身に沁みた今、この映画が伝える長岡魂は全国に、世界に広がってゆく。殊に戦争を知らない若い世代が、わが事のようにこの映画を広めてくれる一所懸命が有難い。今年3月には姉妹都市を提携したホノルル市で、長岡花火と共に映画を上映。心の底から世界の未来を見据えて、今年こそ『平和』の意味をより噛み締めてみたい。『この空の花』をふり仰ぎながら、心をひとつにして。長岡花火は、有難い。」
 とメッセージを寄せられています。


(『カーネーションプラザ』で長岡まつりに合わせて開催されていた映画『この空の花~長岡花火物語』パネル&セット展示)


(長岡まつり、駅前の賑わい)

 8月3日、りょうは、初めて間近で観る長岡花火を前に、今月9日まで上映が延長されたTジョイ長岡にて、映画『この空の花~長岡花火物語』自身7度目の鑑賞をし、いま一度、長岡花火に込められた想いを再確認し、気持ちを高めます。深谷&川越とフィルム上映でしたので、久しぶりに観るデジタル上映でしたが、劇場内の長岡の人たちの反応が、映画にまた違った雰囲気を与えてくれます。映画はまさに観客の喜怒哀楽が最後のアクセントとなって完成するものなのですね。上映後には、関係者の舞台挨拶がある訳ではないのに、自然発生的に場内から拍手の花が咲いていたように魂を揺さぶられる作品です。


(長岡花火は、慰霊の花火。花火の前に平潟神社にて祈りを捧げます。この日の長岡は、空襲があった日と同じような灼けるような暑い陽差しが降り注いでいました)

 長岡花火の歴史については、映画『この空の花~長岡花火物語』に委ね、詳細は割愛させていただきますが、終戦からわずか1年後の昭和21年8月1日に長岡復興祭花火の打ち上げ以来、昭和35年「ベスビアス超大型スターマイン」、昭和61年市制施行80周年記念「米百俵花火・尺玉百発」、平成8年市制施行90周年記念「超大型ワイドスターマイン」、平成10年「超大型ミラクルスターマイン」、中越大震災の翌年、平成17年には「復興祈願花火フェニックス」、平成21年「天地人花火」と、年を追うごとに、色々な光の花束が加えられてきました。


(天地人花火)

 今年は、2日間で延べ80テーマ、約2万発の花が夜空に咲きました。
 8月3日19時15分、群青色に染まりつつある信濃川の空に、メッセージ花火の打ち上げから始まり、ラストの匠の花火まで、約2時間の百花繚乱。


(3日の長岡市の最高気温は、33.5度。その中でも、早くから大勢の観客が、お花見のように競って信濃川の土手に席を確保していました。3日だけでも約46万人の来場があったそうです。)

(りょう)

つづく  


2012年08月07日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

長野松竹相生座・ロキシーさんで『シグナル』舞台挨拶決定!

 7月21日より長野松竹相生座・ロキシーさんで上映されている『シグナル~月曜日のルカ』。明日(8月3日)、本作の谷口正晃監督が来館され、19時20分の最終上映回終了後に、舞台挨拶が行われることが、急遽決まりました。

 『シグナル~月曜日のルカ』谷口正晃監督舞台挨拶
 ○ 日時:8月3日金曜日 19時20分の回上映後
   (舞台挨拶は21時20分ごろからを予定)
 ○ 劇場:長野松竹相生座・ロキシー(長野市権堂町2255)


長野松竹相生座・ロキシーさんのホームページはこちらから

 これまでも何度かこの転校生日記でも作品の紹介をしましたが、本作『シグナル~月曜日のルカ』は、スタジオセットを一切使用せずに、オールロケで撮影されており、新潟県上越市高田と長野市のお隣、長野県上田市で撮影が行われました。また、名画座と呼ばれる歴史ある映画館とフイルムを回す映写技師をテーマにした作品で、明治44年開業の高田世界館と大正6年開業の上田映劇を中心に撮影されました。
 そして、8月3日に谷口監督の舞台挨拶が行われる長野松竹相生座・ロキシーさんは、高田世界館さんよりさらに古く、明治25年に開館してから、ファサードは若干変わっていますが、当時の姿ほぼそのままに、現存する木造映画館としては、日本最古級と伝えられており、映画『転校生~さよならあなた』の劇中にも外観が登場する、大林宣彦監督もとても気に入られている場所です。

長野松竹相生座・ロキシーさんの紹介記事はこちらから

 支配人の情熱で実現した今回の舞台挨拶。
 そんな、映画『シグナル~月曜日のルカ』の雰囲気にもぴったりな劇場の舞台に立つ谷口監督から、どんなお話しが飛び出すのか、とても楽しみです。
 くしくも8月3日は、長岡まつり大花火大会において、『この空の花』花火の打ち上げも行われ、イベントが重なってしまいますが、谷口監督の舞台挨拶は、夜の19時20分からの回上映後ということですので、お近くにお住まいの方はお仕事帰りでも十分に間に合います。そして、ロケ地上田市の皆さまにも、谷口監督を長野県に「お帰りなさい!」の言葉で温かくお迎えができるよう、ぜひたくさんの皆さまに、劇場までお越しいただければと思います。

 多くの皆さんで、谷口監督の来館を盛り上げましょう☆



(りょう)  


2012年08月02日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ