川越スカラ座☆トークショーレポート ⑥

インタビュアーの、「おじいちゃんがとし子と言う名前をつけたから、ママは死んでいくの」
この言葉を聞いたとき、残酷なシーンだなぁと思った、との感想に。

映画だから残酷な“シーン”で済む。
だけど映画を創るほど残酷なことはない。
それは、人の人生を借りて別の人生を描くものだから。
黒澤明さんや淀川長治さんら先輩たちは、
映画の恐ろしさに打ち震えながら、映画を創り、観てきた。
そこには、ものを創る“楽しさ”と“見識・畏れ”の両方があった。
これは、映画の芸術としての大事な要素でもある。

「ウソからでたマコト」が映画という芸術の役割ではあるが、
1960年代以降、願いや夢が信じられない時代が続き、
映画の夢に裏切られた人たちは現実世界に逃避し、
映画も喧嘩や破壊、殺戮や戦争などのホントらしいものを求めるようになった。
その結果、9・11テロで、テロリストが映画の夢を盗み、映画が戦争と同じになってしまった。

ここで、いつものジョージ=ルーカスさんの話題を出しながら…
映画が、平和と戦争、生と死をもてあそんではいけない。
映画をひとつ創るには、ビル1軒ほどの資材が必要になる。
だから、商売になることで成立していることは仕方のないことでもある。
だけど、「当たらないといけない」ということが、映画をおかしくもしている。

「淀川さんの生きていた時代の映画を、
いま一度検証しないと、日本映画がとんでもないことになる。」

幸いにも、いまの若い人たちからは、文明や経済に対する疑問の声が出始めている。
人間が美しく生きるための文化を護ろうとするこの動きに、
まずは映画という文化が動かなくてはならない。

黒澤明さんは、「本当の良い刀は、鞘に収まっているもの」と言った。
戦後60年、日本人は抜き身の刀の如く、金と物で生きてきた。
刀を鞘に納める力が文化であり、刀の納め方を描くのが映画の役割である。
いまこそ良い日本人は、刀を鞘に納めなくてはならない。

自分は、黒澤さんや淀川さんから勇気をもらってきた。
今度は、あなたのような世代が、いまの若い人たちに勇気を与えてほしい。
自分も、淀川さんのような存在でありたいと思う。
と結ばれました。

川越スカラ座☆トークショーレポート ⑥

続く

りょう



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2009年05月16日 Posted byひがしざわ  at 08:00 │Comments(0)未来に紡ぐ

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