さぬき映画祭<蕎麦のさとからうどんのまちへ> 後編

さぬき映画祭<蕎麦のさとからうどんのまちへ> 後編

今回の日記は、しげぞー&りょうの『ふたりでひとりの物語』、
同じモチーフをもとにした連作・合作です。(まさに「転校生」風?)

ここからは、蓮佛さんレポートを中心にりょうがお届けします。
りょうは四国には初上陸。これも、大林監督そして映画祭のおかげとまずは感謝。
蓮佛さんも、本場の讃岐うどんを食べられてから、会場入りされたそうです。
(もしかして高松駅前の手打ちうどん屋さんで?!)




さて、今年8月蝉の鳴き声こだまする真夏の杉並で会った蓮佛さん、
それからわずか3ヶ月、純真な感じはそのままに、だいぶ大人っぽく成長されていました。

監督も、この時期の女性は、わずか数ヶ月の間に大きく成長するもの。
だから、いまの二人では同じ『転校生さよならあなた』はもう撮れないよね。大人の女性になった美沙子に、
がに股で歩く男役は似合わないしね。いまの美沙子には、いまにふさわしい役柄がある。
とお二人の成長を心から喜ばれ、温かい眼差しをおくっておられました。
はじめ新人女優だと思って騙されてたと笑いながら語る大林監督、
他の映画作品にはない昼夜問わずの撮影に美沙子も驚いたでしょう、との問いかけにも、
眠いときも確かにあったけど毎日の撮影が楽しみだったこと。
撮影中、長野の美しい紅葉やそこに住む方たちからの声かけに励まされたことなどなどを話されました。
監督からは、二人とも撮影中はよく食べたねぇとのエピソードも。

壇上では、マイクがなくても一歩前に出て観客にしっかりとお辞儀をして「お願いします」と挨拶された蓮佛さん、
終始監督やアナウンサーの一言一言に真剣に耳を傾け、監督からのお褒めの言葉には、
小さく首を横に振って謙遜されていました。

若干緊張気味(?)のなかにも、キラキラと輝くその瞳に、年甲斐もなく(笑)ドキドキしてしまったりょうでした。
監督からは、「きれいになるな。かわいくするな。人間であれ。」とエールをおくられた蓮佛さん、
これから25年後・50年後も、チャーミングな映画女優であり続けてほしいですね。

映画の世界は、一期一会。
その日その時間の一瞬一瞬の輝きを切りとったものなのだなぁ、とあらためて感じたりょうでした。
そして数多くの映画作品を通じて、蓮佛さんと森田さんの成長をこれからも見守って、
いえ、ともに歩んでいきたいです。



また、今回さぬき映画祭で素敵だなぁと感動したことを、ひとつ紹介したいと思います。
さぬき映画祭実行委員会では、映画祭とは別に、
普段映画を観る機会が少ない人を対象に出前上映会を実施し、映画の鑑賞機会を提供する趣旨で
『シネマキャラバン』という素敵な事業を行っているそうです。
平成19年度は、8の小学校・4の中学校・2の高校・外1校の計15校で上映済みもしくは上映予定です。
8月にシネマキャラバンを行った小学校からの声を抜粋して掲載します。
「どこかで見た光景が画面に出てきたり、知り合いの人が
エキストラで出演したりしていたのでとても関心が高かった。
いつも見ているお遍路さんがそれぞれの思いをもって歩いていることを知り、新たな感動を得たようであった。」

長野でも、できるだけ多くの子どもたちに、監督から子どもたちへの温かい気持ちが
たくさん詰まったこの『転校生さよならあなた』に触れていただいて、
美しい郷土の姿をそして感動を、共有してもらえる機会があると良いですね。

帰りは高松空港で監督と恭子さんのお二人にバッタリ再会。
しかも機中では、ちょうど監督夫妻・りょう・しげぞーと縦に座席が
並んで、この偶然の縁に驚くとともに出逢いに感謝して…

(以上、りょう版「さぬき映画祭」笑。)


しげぞー&りょう


  


2007年11月30日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)各地映画祭巡り

さぬき映画祭<蕎麦のさとからうどんのまちへ> 中編

さぬき映画祭<蕎麦のさとからうどんのまちへ> 中編

今回の日記は、しげぞー&りょうの『ふたりでひとりの物語』、
同じモチーフをもとにした連作・合作です。(まさに「転校生」風?)




監督は、京都の芸術系高校での「尾道転校生」上映・講演から高松入り。

蓮佛さんや森田くんと同年代の若者たちを前に話をした際、
彼らが抱える「これで将来食べてゆけるのか」という悩みを打ち明けられ
「よい暮らし、贅沢な暮らしをしたければITに行きなさい。芸術ではそれはできない。
でも、夢を作ること、人に夢を与えることができる。前者はある意味、
競い合い切磋琢磨してともに高めるという競争社会、ナンバーワンを目指すもの。
それはそれで大事だが、争いや戦争をもたらす恐れがある。
それに対して芸術は、1人1人違うことが魅力。オンリーワンを目指すことができる。」と諭したところ、
<迷いの吹っ切れた子供たち:監督の表現>の目が再び輝き、
「将来○○を目指す」「50年後、大林監督の世界を引きつぐ」などと言ってくれた、
子供たち、若者、には無限の可能性が秘められている、いいねぇとうれしそうに語られました。

更に関連して、他の映画祭でも語られた<海彦・山彦>の話、
「ふるさと:まちおこしでなく、街の<しわ>を守るまちまもりの大切さ」
「現在の映画隆盛:興行収入と作品に対する評価について」
「大通りにある<文明>路地裏にある<文化>」
「袖触れ合うも何かの縁・狭い路地<仁義道>ですれ違う時の思いやり<傘かしげ>の美しさ」
「撮影中には雨が降ることもある。でも、それは<あいにくの雨>ではなく<恵みの雨>と思うべし。
それによってかもし出されるものもある」

「TVと映画の違い:チャンネルの有無による中途選択の有無:役割と作り方の違い。
映画は大きなテレビではない」
そして「真っ白な映画スクリーンに対する想い」
「ある映画にかかわったことで、人生が変わってくる」などと語られました。
「この宇宙はどこも生命で満たされている。こんな真っ白な何もない画面を作り出したのは人間だけ。
神様から<人間はおろかな存在であるが、ここに何を描くことができるかやってみなさい>
と課題を突きつけられたようなもの。だからこそ怖い。
神様にほめられるものを作らなければならない。
インパクトや面白さからすると殺人や成長を描くのが一番ウケる。
しかしそれは<夢>を描くのではなく・・・」と「スターウォーズでなくスターピースへ」という話題に進められました。

そして、「転校生さよならあなた」を生み出した信州、
そして先週のNAGANO映画祭での盛り上がりについてもかなりの時間を割いて言及されました。
信州の風景の美しさ、「50年後の子供たちに残したい映画を」という長野の皆さんの想いから
生まれた作品であること、撮影時の絶大なご協力、
そして、NAGANO映画祭で立ち見も出るほどのお客様が詰めかけてくださったこと、
ロケ地めぐりに県外からだけでなく、
地元からも多数参加しわがまち・ふるさとの魅力を再認識してくれたことなど。
そして映画祭会場に貼り出されていた作品への沢山の<あつい想い>の中にあった
「これは、路地裏映画の傑作である」というフレーズを紹介し、
これまで出身地の尾道をはじめ、四国、北海道、九州と長年にわたって積み重ねてきた
<ふるさと映画>作家としてはこのうえなく光栄でうれしい、と述べられました。

そんなこんなであっという間の1時間が経過。
最後に、若い2人に対して贈る言葉を。
「テレビであれば、カメラの前での器用さが必要だがそれはタレント、<芸能人>。
えてしてそういった場所で表舞台に出る人は<自分が魅力的だから、美人だから>
と勘違いして天狗になることがある。
周囲のスタッフ・裏方そのほか、沢山の方々に支えられて自分が輝いていることを忘れるな。
<芸能人>になるな。人間・<常識人>、それもチャーミングな常識人になれ。
よき夫・よき奥さん、よい父・よい母、ステキなおじいちゃん、おばあちゃんになるまで
ぜひ女優・男優を続けていってもらえると、とてもウレシイ。」

そして映画祭に関連して、地元出身の映画監督「釣りバカ日誌」の朝原雄三さん、
「踊る大捜査線」「UDON」の本広克行さんに対しても
「若い才能が開花し、素晴らしい作品を作っている。でもちょっと稼ぎすぎたね(笑)」
などと少々辛口さをちりばめながらも大いなる期待をこめたエールを送り、
盛大な拍手のなかお開きとなったのでした。

ホールを出て空港へ直行。するとなんと監督ご夫妻と搭乗ロビーでばったり。
こちらもびっくりしましたが、「まあ、どうしてここにいるの?」
と予想もしなかった場所での再会にご夫妻も驚かれたご様子^^;。
(同じ便での帰京だったようで、帰りの機内もすぐ近くの席。)
ご挨拶とともにNAGANO映画祭のお礼も申し上げて東京羽田までご一緒した次第でした。
別れ際、笑顔とともに温かい大きな手で握手してくださった監督、
そして恭子さんも同じく笑顔で「じゃあ、また明日ね~」と手を振ってくださり恐縮!
そして物語は続くのでした^^。
(以上、しげぞー版「さぬき映画祭」笑。)

明日の後編、りょう様編へ続きます。

しげぞー&りょう


  


2007年11月29日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)各地映画祭巡り

さぬき映画祭<蕎麦のさとからうどんのまちへ> 前編

さぬき映画祭<蕎麦のさとからうどんのまちへ> 前編

今回の日記は、しげぞー&りょうの『ふたりでひとりの物語』、
同じモチーフをもとにした連作・合作です。(まさに「転校生」風?)

11/17(土)から24(土)にかけて、高松をはじめ観音寺、丸亀など香川県各地で開催されているのが
「さぬき映画祭2007」です。
映画祭の歴史としては昨年に続き2回目ですが、地元にゆかりの映画やなつかしの名画、
更に大林監督作品の上映(昨年は「22才の別れ」)とともに、映像作品やそれらの企画を広く募集し、
それらを審査・表彰するコンテストも開催されているのが特徴です。

大林監督も、映画祭開催に向けた企画からかかわってこられたということで思い入れが深いとのことでした。
過去にも、監督は観音寺市を舞台に「青春デンデケデケデケ」という作品を撮影されています。
(この街も、瀬戸内海をはさんだ対岸の尾道以上に、時間の流れの穏やかなところです。
時代劇「銭形平次」のオープニングに登場する、砂浜の巨大寛永通宝がある街ですね^^)

高松は正に「うどんのまち・海のまち」。
駅前には瀬戸内の海水を引き込んだ池があり、海魚の群れが普通に泳いでいます^^。




今回の映画祭では11/23(金)に大林監督が登場。
高松城(玉藻公園)隣にある香川県県民ホールにて「転校生さよならあなた上映、
そして大林監督と蓮佛美沙子さん&森田直幸くんの「転校生」主演コンビによるシネマトークが開催されました。
ということで、NAGANOに続き行ってまいりました、日帰りで。
さすがに先週の長野、東京よりずっと温暖で暖かいのは瀬戸内ならでは。

「転校生」、香川県では未上映で今回初上映とのこと。
会場には沢山の皆さんが続々と足を運んでこられました。

映画上映後、お三方による1時間ほどのトークショー。
司会をつとめる男性アナウンサー氏のご紹介で蓮佛さん、森田くん、大林監督と順に登場。
いつもながらにこやかな監督、映画撮影時は15歳であった主演の2人も、1年たってともに16歳。
凛として聡明そうな大人びたレディーとなった蓮佛さん、
笑うと目がなくなってしまうような愛嬌ある笑顔の森田くん、
みなぎる若さの中にもそれぞれにしっかりとした成長がみられていました。




トークショーは司会の進行で、信州の美しい風景についての印象、撮影時のエピソード、
男女入れ替わった演技の苦労、
監督(撮影中とこの日のトークを聴いて違いを感じたか)に対する印象などについて、
順繰りにコメントを求めるような形式。
司会からの問いかけに一生懸命自分の言葉で答えようとする2人を黙って優しく見守る監督の目が
とても印象的でした。
2人とも、30日間という短期間集中の撮影、緊張はしたけれども、
空気のキレイさと風景の中に立ったとたんすっとその世界に入れたこと、
スタッフやエキストラを含めて地元の皆さんの温かさを肌で感じて頑張ろうと思うとともに、
人と人のつながりの素晴らしさを実感した、と。
男女の入れ替わりについては、お互い「相手のイメージする自分<役>」について
まとめて意見交換しあったり、家族や電車の中などでしぐさを観察して研究したりと苦労したようです。
そして、監督のイメージについては、撮影中もこの日のトーク中も、
全く変わらない雰囲気で接してくださっている、とのコメントでした。

それを受けて、実際にピアノを弾く場面のある蓮佛さんが連日の
練習・努力で見事に弾きこなすようになったばかりか、
スポーツ少年でピアノにふれたことなど全くなかった森田くんまで・・・
(今はピアノにハマっているとのこと)という話なども。
弾き語りシーンでは、ピアノを弾いているのが一夫、歌(物語)を歌っているのが一美、
「入れ替わっただけでなく、2人で1人ということを表現する意味もあって、
ピアノと歌が完全にぴたりではなく、ビミョウにずれるようにしてあること、
でもそれはプロのアーティストでは決してできないこと、
それを見事に演じてみせた若き役者さんの努力と能力をたたえる監督でした。


明日のしげぞーさんの中編に続きます。。。

しげぞー&りょう
  


2007年11月28日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

高崎映画祭-オータムレイト上映会-



本日から高崎映画祭-オータムレイト上映会-繋ぐ未来のために ←詳しくはコチラまで☆

が高崎市文化会館にて開催され、
「ヒロシマ ナガサキ」「ヒメユリ」「TOKKO-特攻-」「ゆきゆきて、神軍」「ミリキタニの猫」が上映されます。

「ミリキタニの猫」は長野の映画好きの方達の間では上映が待ちきれない!と
話題になっておりました。
「ヒロシマ ナガサキ」「ヒメユリ」「TOKKO-特攻-」も今、一番見たい映画の3本です。

「ゆきゆきて、神軍」も映画好きだったら、かつてその衝撃を受け止めて乗り越えてきた同志ばかりでしょう。

こんな作品をいっぺんに見れるなんて!!
さすがに伝統ある高崎映画祭の皆様の選定は凄いです!!

高崎映画祭の皆様、今回のながの映画祭へのご来場誠にありがとうございました。
ロケ地めぐりも来ていただき、お土産のお菓子まで頂いて恐縮しております。
ご馳走さまでした。

これからもながの映画祭をどうぞご指導下さいませ。

  


2007年11月27日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)映画上映

熱いメッセージ!



このブログを通しても募集さてせいただいてた大林監督への“熱いメッセージ!”
多くの方からメッセージを頂き、誠にありがとうございました。

当日映画祭会場にて大林監督に目を通していただき、とても喜ばれていたのが印象的です。

また映画祭広場でも“50年後の子供たちへ”というメッセージを映画のポスターに寄せ書きいただき
こちらも多くの方達のご協力をいただきました。

寄せられたメッセージの中に
“路地裏映画の傑作!”
と書かれていたのが印象的だったと監督がおっしゃられてました。
多くの方から“監督、長野を舞台にしてくれて、こんなに素敵に撮っていただいてありがとうございました!”
というメッセージを頂き、“こんな路地裏があったなんて!!”と驚き、
監督と一緒に来場されてた南助監督さんは
“こう驚いてもらえるのが一番うれしい!地元の人があまり知らないような路地をたんねんに歩き回って
探したからねー!”とにんまり。

これらのメッセージは責任を持ってお預かりして大林監督にお届け致します。

11/22の信濃毎日新聞さんの建設標欄に
“「転校生」見て古里をほこりに”というながの映画祭に来場頂いた方からのご意見が掲載されてました。

多くの方に私達の素晴らしい古里を見てもらいたい事、
50年後の子供達も安心して映画を楽しめる世の中に。。。と締め括られてました。
ありがとうございました。

まさしく私どもの熱い願いでもあります。来年1月にはDVD発売が予定されており
また多くの方にこの物語が届けられる事でしよう。

ひがしざわでした。  


2007年11月26日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(4)みすずかるしなのNAGANO映画祭

ものがたりの中へ



カサカサ。。。
踏みしめると、足元で落ち葉が囁きます。
ここは“転校生 さよなら あなた”のクランクイン初日の舞台、「田島新道」。

NAGANO映画祭で訪ねた“歴史の町長野を紡ぐ会”様のご案内によるロケ地めぐりの1コマ。

映画を撮影して、編集して、試写があり、公開日を迎え全国あちこちで上映され
そして11月17日に再び監督をお迎えして、ここながの映画祭で上映することになり
ロケ地めぐりでちょうど1年でくるっとひとまわりでここに帰ってきました。

撮影時と同じ風景が私達を迎えてくれました。
私達はものがたりの中へと踏み入るように落ち葉を踏みしめ、一夫と一美の姿を探すように
何度も何度も振り向きながら歩みます。

そしてたぶん畑に埋めて肥料としてお使いになるのでしょう。
落ち葉を集めて袋につめられている方がいらっしゃいました。
大林監督がおっしゃってた、“賢い暮らしの後ろに美しい風景がある。”
まさしくその言葉通りの光景でした。



ひがしざわ  


2007年11月25日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)みすずかるしなのNAGANO映画祭

TAMA映画フォーラム



11/24(土)に
TAMA映画フォーラム←詳しくはコチラまで。
「大林宣彦監督特集」 (パルテノン多摩小ホール)として
12:00-13:51 なごり雪
14:30-16:29 22才の別れ Lycoris-葉見ず花見ず物語
16:50-18:50 転校生 さよならあなた
19:05-19:45 トーク 大林宣彦監督

3作品が上映され、大林監督のトークショーもあります。

先日ご案内した23日のさぬき映画祭の翌日ですので大林監督は大変忙しいスケジュールですが、
いろいろな映画祭で“転校生 さよなら あなた”が上映されるのを大変喜んでいらっしゃいました。

いつまでも愛されるロングセラーな映画をつくりたいと。
旬の俳優さんを使って一時的に熱狂的に迎えられ、やがてすっかり忘れられてしまう映画ではない、
25年前の尾道“転校生”のような。

他にも24日は特集「世界の映画祭を席捲した話題作」 (やまばとホール)として
「殯の森」もがりのもり
「バベル」
「ボルベール<帰郷>」など魅力的な映画の上映や

特集「生命の尊厳を考える」 (ベルブホール)
「TOKKO-特攻-」
「パラダイス・ナウ」など戦争を考えるいい機会の素晴らしい映画が上映されます。

11/20に特集「80年代の日本映画 Vol.1」 (やまばとホール)にて
1982年度の尾道“転校生”も上映されました。

作品選定や運営等、ながの映画祭も勉強したい映画祭です。
ひがしざわでした。

  


2007年11月24日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

はままつ映画祭

はままつ映画祭

かなりさかのぼります(笑)が、10月6~14日、
浜松で開催された「第6回木下恵介記念はままつ映画祭2007」レポを。

この映画祭は「楢山節考」「二十四の瞳」などで有名な浜松出身の映画監督、
故・木下恵介さんを記念して2002年から毎年開催され今年6回目。
市内複数のホールや映画館で様々な関連イベントが開催されます。木下監督は長野にもゆかりが深いですね。

今回は10/7昼から『22才の別れ』上映&大林監督・筧利夫さん・山下康介さんのトークショー、
夕方から「山下康介ピアノリサイタル&トークショーwith大林宣彦監督」
そして夜「転校生 さよならあなた」舞台挨拶つき上映と、NAGANO映画祭にもひけをとらない(笑)?
大林作品三昧の1日とのことで、出かけてまいりました。

山下康介さん。
「三毛猫ホームズの冒険」以来、大林作品の殆どで音楽を担当している、
浜松出身、新進気鋭の若手実力派音楽家です。
他にも数々の映画やドラマでご活躍中。そして「22才の別れ」主演・筧利夫さんも浜松出身ということでゲストに。

「22才の別れ」上映の<はまホール>は収容1500名の大きなハコ。
隣には五社神社という由緒ある神社が鎮座しています。
徳川2代秀忠公の産土神として崇敬され、子守り・子育ての神として信仰されています。

上映後、司会の紹介で壇上に登場のお三方。
いつもながらにこやかな監督、緊張気味ながら晴れ晴れした笑顔の山下さん、
そして(映画とは正反対、本来の?)ハイテンションで司会を差し置いて自ら仕切りだす筧さんと三者三様。

監督は「お2人の<ふるさと>にお招きありがとう。素晴らしい役者さんと才能あふれる音楽家を
生んだ浜松という街にも感謝します。」とコメント。
山下さんは普通の作曲と映画音楽の違いと苦労について話し、監督も
<今の日本で1、2を争う優れた映画音楽家>と大絶賛でした。

そして筧さんは「隣の五社神社、実は自分の初宮参りの神社。フシギな縁を感じます。」
「昔は娯楽といえば<まち>に映画観に行くに!と(笑)。
そう、家がある○○<地名>から浜松の繁華街は<まち>って言ってましたね。」
などローカルトークで盛り上げてました。

また、トークショーでは、「22才の別れ」や「転校生」で特徴的な<斜めアングル>について、
監督自ら「最初ちょっと気になったでしょ?でもこれは古いハリウッド映画などにも見られる手法。
例えば2人の人がいて叱る人と叱られる人。叱る人は前のめりになるし、
叱られる人はちょっと引き気味になるわけで、それを視覚的に映したのがあのアングルなんです。」と。
実は木下監督作品にも多いとのこと。

ある時、ある方に「あなたは木下監督の作風を継承されておられる」と言われたことを引き合いに、
その木下監督の名前を冠した映画祭に縁のあるのも不思議ということや、大林作品「異人たちとの夏」中で、
TV画面に映された古い映画が木下監督の「カルメン故郷に帰る」(これも長野にゆかり!)
だったことなどにも言及されました。

ご自分の<ふるさと>尾道の「転校生」ダブル上映会では予定を大幅に上回る勢いで
トークを繰り広げられた監督(笑)も、今回は少し抑えられたご様子で時間通りに終了。

最後、司会の方から「これを縁に、浜松を舞台にした作品ができるとうれしいですね」とふられ
「まだまだ作りたい作品は沢山ある。そういう機会があるといいですね」と。




続いてピアノリサイタル&トークショー。浜松はご存知の通り、うなぎ・・・そして楽器の町でもあります。
ヤマハホール(MAX144名)でこじんまりと、でもじっくり聞けるリサイタルでした。
山下さんのピアノをメインにフルート、バイオリン、チェロの
3人の美しい女性音楽家の方々も加わっての生演奏。

監督とのトークも交えつつ、「三毛猫ホームズの冒険」から、
近く公開される映画版「花より男子」のテーマ、「22才の別れ」そして「転校生~愛のテーマ」と・・・
それぞれの作品の感動が鮮明に蘇る素晴らしい音色に監督も目を閉じて耳を傾けておられました。
「転校生」はサントラが発売されていないこともあり感動はひとしおでした。
(「22才の別れ」と合作でもかまわないのでぜひ要望!)

そして「転校生」上映のシネコンTOHOシネマズへ。
舞台挨拶は上映前でしたが予定より数分早くスタート。

大部分の観客が前会場からスライドの熱烈なファンで早めに着席していたこと、
後に深夜上映の別作品が控え上映時間厳守のため、(トーク時間を確保すべく)気を利かされたのかも。

内容は前2回とほぼ同じでしたが、ひとつだけどうしても最後に、と、司会の方を制して・・・
「映画は現実にありえないことを見せて夢を与えるが、SFXによる戦闘シーンなどで
テロリストにヒントを与えて9.11につながってしまった。
偉大なジョージ・ルーカス氏も9作作るつもりだった「SW」を6作で終わると宣言した。
次回作を作れば大ヒット確実なのに。
アーティストとしては「スターウォーズ」でなく「スターピース」を作るべきと悟ったのかもしれない。

自分は今回、50年後の子供たちに見せたい映画を撮ってほしいと請われて「転校生」を作った。
しかし今50年後映画が残っているか、未来が明るいか、
子供たちが幸せに暮らしているか明確に答えられる人はいない。
戦争や環境問題など世界は激動の中にある。自分もどれだけ続けられるか分からないが、
映画人はそれでも悲観せず未来に希望を抱き、観客に持たせる作品を
作り続けてゆくのが使命だと思っている、と締めくくられたのでした。





13時の「22才」から22時前の「転校生」終了まで延々9時間。へとへとながら楽しい1日でした。
映画祭自体も街全体で一体になって盛り上げようという感じがあふれていました。
監督が話される内容は今回のNAGANOと多くの部分で重なりますが、
それだけ常日頃お持ちの想いなのだと。
(聴衆は「一期一会」。各地で何度も聴講?するのはごく一部でしょうし^^;)
映画祭の盛り上がりには「スケール感」そして地元密着という面で大いに目を見はりました。

NAGANO映画祭も同じかそれ以上の熱気に包まれていましたね。
長~いレッドカーペットが敷かれて一般の観客よりも報道陣が多い?
国際映画祭のようなビジネスライクさもなく、メイン会場にイベントを集約したことが一体感を生み、
ぬくもり・手作り感も満載、NAGANOならではの「100%濃縮信州りんごジュース」
「いろんな具がいっぱいつまって、何が出てくるか楽しみなおやき」
のような映画祭になったと思います(^O^)。

そしてなにより50年先までのロングセラーになりうる素晴らしい作品「転校生さよならあなた」
を生み出した舞台、凱旋なのですから。

しげぞー

  


2007年11月23日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

のぶひこパン



PANINOパニーノ様プレゼンツ’07年NAGANO映画祭限定“のぶひこパン”。

おかげさまで映画祭初日午前中に完売となってしまい、急遽追加して頂きました。
チョコで書いた監督の似顔絵がかわいらしい、ふかふかのチョコぱんでした。

この写真のパンは売っていた“のぶひこパン”とは違いますが、ながの映画祭の
看板娘ならぬ看板パンとして大活躍。

監督も気に入られたようで、パンと並んで写真を撮っていらっしゃいました。

実行委員一同で美味し~く頂きました。
ご馳走さまでした。





  


2007年11月22日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)みすずかるしなのNAGANO映画祭

師匠変化

見たいです!とご要望をいただきましたので、ゲストで来て頂き楽しい“シネマ落語”を
ご披露いただいた立川志らく師匠の2変化をご紹介。
どちらも志らく師匠です。

その①


その②


②枚目は大林監督との2ショット。
お互いのファンでもあるお二人は映画の話となるといつまでも止まらないご様子。
恭子プロデューサーさんに止めていただかなければ映画祭の全日程がトークショーになりそうな勢いでした。。。
とても楽しいお話をいろいろご披露いただきました。

ひがしざわでした。  


2007年11月21日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)みすずかるしなのNAGANO映画祭

盛況御礼!映画祭報告①



皆様、映画祭へのお出で、誠にありがとうございました。
ご協力をいただいた関係者各位様も誠にありがとうございました。

おかげさまで1日目600名超、2日目400名超のお客様に来て頂き、2日間で1000人を
越す入場者数のなか、大きな混乱もなく無事に終了させて頂きました。
ロケ地めぐりも伝説の晴れ男大林監督としげぞーさんの力を得、まぶしい位の晴天のなか、大盛況。
写真はその出発を待つお客様です。

特に“転校生 さよなら あなた”の上映は満員御礼となり、ロキシーさん前の広場は
お客様で溢れ、大林監督が目を細めて喜んでいらっしゃいました。

小さな映画祭ならではの、大林監督さんのファンの方には、すぐそばに監督がいらっしゃり、
お話したり、気軽にサインして下さったり、大林監督自ら手をさし伸ばして握手して
下さったり夢のような時間を過ごしていただいたことでしょう。

監督はあまり行き届かないスタッフの労をねぎらって下さったり、いつも穏やかな笑みを絶やさず、
監督のお顔を見るたびに実行委員の疲れは銀河外?へ飛んでいってしまうような気がしました。

立川志らく師匠も気さくな素晴らしい方で、サングラスとスカジャンでさっそうと登場された
ときは、実行委員の女性全員、くらくら致しました。
また着替えた後の和服姿の粋こと。

初めて生で聞いた落語は面白くて、面白くてにわか江戸っ子に。
でも最期はほろりとして笑い泣きという、志らく師匠の思うつぼに。(笑)

映画祭の報告続報、大林監督の講演会のお話や
夜の打ち上げで炸裂した映画製作ボランティアYちゃんの話(大爆笑!聞いていた全員が酸欠に!)など
このブログはまだまだ続きます。

ひがしざわでした。



  


2007年11月20日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(7)みすずかるしなのNAGANO映画祭

灯火を愛でる。尾道・臼杵

ロケ地めぐり 番外編
<秋の夜長に・・・灯火を愛でる。>尾道・臼杵

秋は全国でお祭りやイベントが目白押しです。今回上映の大林作品にゆかりのある2つのイベントについて。
(いずれも既に今秋は終了しています)

尾道では、9月から10月の週末「尾道灯りまつり」が開催されます。

期間中は、商店街や海岸通りにイルミネーションがなされ、
最終日には尾道水道に面する雁木から尾道三山の中腹にたたずむ寺々へ続く参道や境内に灯りをともし、
かつて北前船が目印とした常夜灯の雰囲気を醸し出します。
その数なんと3万個!

エリアごとに地元の皆さんが協力し、子供たちの書いた絵の灯篭が町中の路地や坂道に延々並んで、
「昇り竜」のようにみえるさまはなんとも壮観です^^。
自分の書いた灯篭を一生懸命探しすお子さんに手を引かれて歩く親子連れ、
市内外から三脚に自慢のカメラ?を手に訪れる多くのアマチュアカメラマンで大賑わいでした。

もともとは映画「なごり雪」のロケ地、大分県臼杵市との交流のなかで、
尾道大林映画研究会のメンバーが同市の祭り「竹宵」をヒントに始めた「ろうそくの灯り」活動が始まりで、
その後、尾道大学の美術学生が主体になって長江地区の寺社での夏イベントに広がり、
更に旧市街地の七か寺や駅前広場を舞台に「灯りまつり」として、
ろうそくの炎が尾道の町を静かに彩る秋のイベントとして定着したもの。
10/27最終日出かけてみました。

灯火はグラスキャンドルに絵や字を書いた紙の筒をかぶせたもの。
エリアごとに各学校の子供たち、先生方、父兄の皆さんが分担して火を守ります。

千光寺まで伸びる坂道に並ぶ無数の光にドビンも「何が始まるの?」と興味津々。


尾道水道に面した駅前の芝生広場に光の輪が広がります。
浮かぶ満月、光の競演です。


「東京物語」や大林作品「ふたり」の国宝・浄土寺には竜の顔も。


「あの夏の日」の<長恵寺>こと天寧寺は「漢字」の灯篭。三重塔も背後に浮かびます。


元祖・臼杵の「竹宵」にも出かけてみました(11/3)。
今回上映の「なごり雪」そして「22才の別れ」にも臼杵の風景として登場しますね。

臼杵中心部にある二王座歴史の道は、城下町のたたずまいが残る石畳と白壁の家が軒を連ねる道。
周辺で開催される「うすき竹宵(たけよひ)」は、日暮れ時から石畳の道に置かれた
2万の竹ぼんぼりにろうそくが灯され、幽玄の世界を演出します。

臼杵石仏を造ったとされる真名長者の娘、般若姫の遺物が里帰りしたとき、
里人達が竹のぼんぼりを灯して迎えたという伝承にちなんで、
般若姫一行がぼんぼりの明かりの中を歩く「般若姫行列」も開催されます。

(今年の般若姫役は「22才の別れ」のヒロイン鈴木聖奈さん。
以前「なごり雪」のヒロイン須藤温子さんが扮した年も)

祐作の母親・道子の葬儀が行われた多福寺の石段はこんな不思議な空間に。


「雪よ!ほら、雪よ!」雪子の家の前もこの通り。。。


「なごり雪」水田の家水田酒造(小手川酒造さん)の前の通り。「22才の別れ」ではエンディングに登場。


そうそう、中にはこんな竹ぼんぼりも。火の玉風のものや、お化け風。
実はこれ、昔からの深い夜の<暗闇>に潜む妖怪を通じて歴史ある街のよさを見直すという、
地元の「臼杵ミワリークラブ」が手がけたもの。

お分かりですか?「うすき・みわりー」→「うすきみわりー」→「薄気味悪い」(笑)。


「なごり雪」ではリアルな本数だった竹ぼんぼりですが、「22才の別れ」エンディングでは一気にグレードアップ
?通常の数倍の数(逆に通行人は数分の一(笑))で画面を華やかに彩っていたのが印象的でした。

お祭りというと、「わぁーっ!」と騒いで盛り上がるものと、対照的に静かに味わうものの2種類がありますが、
こういう楽しみ方も日本的な風情を感じられてよいですね。

しげぞー


ながの映画祭、無事に終了致しました。
ご来場下さった皆様、及びゲストの皆様に厚く御礼申し上げます。

不行き届きの事が多々あったかもしれませんが、皆様とお会いでき実行委員一同幸せな時間を
過ごさせて頂きました。
改善すべきところはしっかりと反省し、これからもより良い映画を皆様にお届けできるよう
努力する所存でございます。

また皆様と再会できる日を楽しみにしております。
記事は明日以降少しずつUPする予定です。
ありがとうございました。



  


2007年11月19日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(4)ロケ地巡り

ながの映画祭、開催中!②



本日は懐かしい映像や、弁士による無声映画上映(トークショーつき)
長野初公開の<タイマグラばあちゃん>(こちらもトークショーつき)など盛りだくさんです。
是非お出で下さい~。
引き続き大林宣彦監督への熱いメッセージも募集中です。

会場は権堂アーケード中央、長野ロキシーさん(TEL 026-232-3016)です。

11/18(日)のスケジュール

10:00~12:04
<ニュー シネマ パラダイス>

12:15~12:45
<昭和4年の長野> 無料

13:00~15:10
<タイマグラばあちゃん&トークショー>

15:30~16:00
<無声映画 「はたちの頃」&トークショー> 無料 

16:30~18:30
<ローマの休日>

みすずかるしなのNAGANO映画祭への来場を、一同心よりお待ち申しております。  


2007年11月18日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)みすずかるしなのNAGANO映画祭

ながの映画祭、開催中!①



皆様どうぞお出かけ下さいませ。

本日は大林宣彦監督と落語の立川志らく師匠がお見えになります。
会場にて大林監督への熱いメッセージ募集中です。

会場は権堂アーケード中央の長野ロキシーさん(TEL026-232-3016です。)

11/17(土)の上映スケジュール

AM10:00~11:59
<22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語>

<昼休憩>

12:30~15:00
<オープニングセレモニー 転校生 さよなら あなた>

15:20~16:50
<シネマ落語 立川志らく+大林監督とのトークショー>

17:00~18:53
<転校生>

19:10~21:01
<なごり雪>

<22才の別れ>と重複してしまいますが、AM9:00~11:30まで善光寺界隈のロケ地ツアーと
大丸さんにて大林監督との交流会を行います。
(ロケ地めぐりの募集は終了致しております)

みすずかるしなのNAGANO映画祭への来場を、一同心よりお待ち申しております。  


2007年11月17日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)みすずかるしなのNAGANO映画祭

ロケ地めぐりの魅力?

ロケ地めぐり 最終回
<ロケ地めぐりの魅力?:映像のマジック、現実と虚構>

ロケ地めぐりの魅力って何でしょう。人それぞれでしょうが、一例をちょっとお話ししましょう。

映画は「架空の物語」ですが、舞台は「現実」で、「現実」を組み合わせて
新たな「架空」を作り出している不思議さ。
「現実」の集まりですがノンフィクションなドキュメンタリーではないのです。
この路地を抜けるとここに・・・という論理や連続性をも超越する、
全く別の「もう1つの現実っぽい空想物語」が作られてゆくわけです。
リアルなバーチャル、という不思議さがロケ撮影(映画やTVドラマなど)にはありますね。

3つほどポイントがあると思っています。
まずその作品が好き!
(原作や監督さん、出演の役者さんを含む。地元とか、好きな街、というきっかけも^^。)
実際のロケ地に立つことであたかも自分自身、物語に入り込んだような錯覚を覚えることができます。

第2に基本的にもとからの風景であること。(最初からそのために作られた風景やセットではなく。)
その世界は「架空」でありながら「現実」でもあるのです。1から作るセットはいわばテーマパーク。
いくらリアルに仕上げても所詮は模型、「つくりもの」に過ぎません。
(勿論テーマパークには現実を完全に忘れられる良さもありますよ^^:)

第3に、特に大林作品の場合、その風景はよそゆきの絵葉書的<観光名所>ではなく、
普通の町並みや路地裏。
必ずしもキレイな絵でないかもしれませんが、生活や暮らしの息遣いがじわっと伝わってきます。
街は暮らしや時代とともに少しずつ変化してゆきますし、その変化を観察し続けてゆくのもまた一興。
時間が止まったように変わらないロケ地に数年ぶりにあった時には驚きますし、
逆にもう跡形もない・・・というのもまた、時の流れを感じることができます。

実例を1つ2つ。尾道は比較的長く風景を保っています。
「尾道転校生」で一夫の家となった某邸宅、25年後の今でもほとんど変わらず「長野転校生」にも登場しました。
尾道には古い神社仏閣も数多くあるし、驚かない、と言われるかもしれませんが
「観光地」「名所」ではない、生活がある普通の「家」は
通常5、10年もすれば便利さや快適さを追求し大幅に変化するもの・・・。
その意味でこのロケ地にはとても驚きます。

一方、同じ尾道にすっかり変わった風景もあります。
「時をかける少女」の<竹やぶの道>。撮影数年後には竹が伐採されブロック塀が作られ・・・
路傍の石が面影をとどめるだけ。
生活のある風景だけに仕方のないことですが、はかなさ、危うさをありのまま受け止めつつ、
今この瞬間、目の前にある風景は今だけであり、
一方でフィルムに焼き付けられたかつての風景に思いをはせることも1つの楽しみ方でしょう。

長野でも・・・「赤十字 血液センター」の木造建物は既に過去となり、
いまやスクリーンでしか見られなくなりましたね^^。それはそれで1つの形なのです。



映像のマジックといえば、設定上の場所とロケ地は同じ場合もあれば全く違うこともあります。たとえば・・・
ここは、型破りな検事が主人公の映画(笑)で物語の発端となる事故現場です。




東京の山の手、世田谷の三軒茶屋、という設定ですが実は隅田川沿いの下町、墨田区向島だったりします。

また、ベストセラー小説が原作の映画では、主人公が福岡の筑豊出身。
幼少時代を過ごした母親の実家がある炭鉱町(筑豊)、そして時々出かけた父親の実家(小倉)、
実はどちらも、昭和の懐かしい街並みが残っていた、宮城県の山間にある、細倉鉱山住宅で撮影されました。
2軒はほとんどお隣さん(笑)。




母と過ごした廃病院の借家は埼玉県熊谷市、
一人暮らしのため旅立つ駅は千葉県の小湊鉄道・里見駅でした^^。




そして、実家を引き払って上京した母親を迎える東京駅。




大きなターミナル駅ですが、ロケは東京駅でなく博多駅でした。
いまや東京土産の代表である「銘菓ひよこ」の看板に騙されますが、
「ひよこ」が実はもともと福岡銘菓であることを知っていると「なるほど!そうきたか」と(笑)。

以上、20回以上にもわたり、ロケ地(めぐり)について、つらつらと書き記してまいりました。
このような場を提供してくださったひがしざわさまほか関係者の皆様に心から感謝します^^。

皆様も、映画を通じてそれぞれの楽しみ方を見つけて満喫してみてはいかがでしょうか。^^。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
人は誰も、生きて物語を残す。人の命には限りがあるが、物語の命は永遠だろう。
未来の子供たちよ、今も元気に暮らしていますか? 
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
「転校生さよならあなた」大林宣彦監督メッセージで締めましょう^^。さあ、映画館へ!



しげぞー

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2007年11月16日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)ロケ地巡り

まもなくです!!

いよいよ17、18日のながの映画祭が近づいてまいりました。

ロケ地でもある長野電鉄の車内吊り広告にもながの映画祭の
ポスターが登場して、お祭り気分を盛り上げております。



ポスター貼りのお願いでは権堂アーケード、中央通りのお店約130件余をまわり多くのお店で
心良いお返事を頂いてポスターをご掲示頂きました。
改めて皆様のご好意に心から御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。
ポスター貼りのついでにいろいろなお店に伺ってちょこちょこ買物したり、見逃していた素敵な
お店を発見したりして、ひがしざわ、楽しい経験でした。

地元の商店街の皆様とともに、愛される映画祭になるよう実行委員一同努力致します。
どうぞ皆様、お出かけ下さいませ。

そして遠くからお出での皆様にも心から御礼申し上げます。
どうぞお気をつけてお出で下さいませ。長野市はもうちょっと寒いです。
防寒のお支度もお忘れなく。

昨年の今頃、撮影は松代町、戸隠等の郊外でした。ロケ地を訪ねると映画と同じ風景に出会えることでしょう。

楽しい2日間になりますように。
ひと足さきに成功を祈って15日0時にボジョレーヌーヴォーで乾杯致しました。

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2007年11月15日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)みすずかるしなのNAGANO映画祭

忘れていませんか、あなたのまちの魅力

10月27日(日)長野市民会館にて開催された長野市制110周年記念式典。
その中のプログラムのひとつとして、大林監督をお招きし
『忘れていませんか、あなたのまちの魅力』という演題で、初めの30分は講演会、
後半の30分間は武田徹さんとのトークショーが開催されました。



この日は、善光寺での「転校生~さよならあなた」試写会を思い出すような強い雨にもかかわらず、
会場は多くの地域団体関係者や市議会議員、一般市民でにぎわっていました。
(監督も長野=雨のイメージが…)

司会者からの“監督おかえりなさい!”の一声で始まったこの日の講演会、
まずは、2年前の8月11日の“七人の侍”の訪問エピソードから監督自身の海彦と山彦の思いを交えながら、
映画『転校生さよならあなた』が誕生するまでのいきさつを中心にお話がありました。



続く武田徹さんとのトークショーでは、“文化と文明”ふたつの言葉をキーワードに、
日本の現状や子供たちの未来をみつめ心配されるそのお姿に、
監督の映画や子供たちに対する優しさや温かさがあふれた、そんな素敵なトークショーでした。

映画で撮影された路地裏の人々の営みを50年後の子供たちにも残していくことの大切さや、
長野市は都会と田舎の両方の顔を保つ貴重な場所であることなど…。
この長野の街やそこに暮らす人々が本当に好きなんだなぁということが、
聴く者にもじんわりと伝わってくる、あっという間の一時間でした。



残念ながら、この日は長野で次回作!のお話しはいただけませんでしたが(武田さんも振られたのですが)、
11月のながの映画祭にまた招かれています、とバッチリ宣伝をしていただけましたよ~。(^_^)v

追伸:大林監督には、ながの映画祭前日の16日(金)にも、
再び長野を訪れて講演をいただけるそう。その日の楽しみのために、
今回のレポートでは詳しい内容にはあえて触れませんでした。
(ほぼ前回のコメントの焼き直しになっているのはそのためです。)
ぜひ多くの方に会場まで足をお運びいただいて、講演をお聴きいただければと思います。

今度こそは長野市で2作目!の声が聞けるかも(笑)。
そして、皆さんで「監督お帰りなさい!」と温かくお迎えしましょう☆

りょう


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2007年11月14日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

谷根千工房



11/18日に上映されるドキュメンタリー映画“タイマグラばあちゃん”

こちらの映画は地域雑誌『谷中・根津・千駄木』の編集人、作家の“森 まゆみ”さんのご推薦を
いただいて上映の運びとなりました。
ロキシー様で昨日まで延長上映されて大好評だった“水になった村”のちらしにも文章を
寄稿され大のお薦めになってますね!!

昨年ご紹介いただいた映画“ヨコハマメリー”が大好評だったので今年も、もちろん必見です。

そして地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を発行されている谷根千工房様 ←詳しくはコチラまで☆
より山崎範子様、川原理子様にご来場頂きトークショーもございます。

1984年10月に創刊以来、23年間に渡って雑誌を刊行され、多くの方達を谷中・根津・千駄木に魅了させ、
足を運ばせた谷根千工房様のお話を聞くのはとてもとても楽しみです。

映画だけでなく自分の“まち”や“まちづくり”を考えられている方にとってもいい刺激になると思います。

長野市の中心市街地を元気にしよう!遊び場にしよう!といろんな企画をされてながのを楽しくしている
ながのまちづくりカフェ” ←詳しくはコチラ☆
こと、まちカフェの皆様との交流もあるかも?

是非お出かけ下さい。

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2007年11月13日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)みすずかるしなのNAGANO映画祭

水場。。。

ロケ地めぐり 第21回
<水場。。。>

20回以上にわたって書かせていただいてきたロケ地めぐりシリーズもいよいよ大詰め。
撮影から1年、そして公開から約半年。
久々にロケ地めぐりフリークのツボにハマッた作品でした^^。

スクリーンに映し出される味わいある風景、そしてロケ地マップ「映画の撮影された場所」など
この作品を愛し大事にしてゆこうとする信州の皆さんの想いが、各所からにじみ出ていました。

それぞれの場所をきままにぶらりと訪れてシャッターを切ったスナップに、
思いつくままコメントをつけただけの記事、
お恥ずかしい限りですが、少しはお楽しみいただけたでしょうか。
いよいよ開催されるみすずかるNAGANO映画祭に向け、少しはお役に立てたならば。。。

というわけで、『転校生 さよならあなた』ロケ地の最終回は、とっておきの<さびしらの水場>を。

これまでのロケ地めぐりにも出てきましたが、
水場は「昌禅寺」のスロープ(第3回)を登ったところに「松代清滝」(第7回、8回)があり、
その下にあるとの設定です。
実際、2人が落ちたのがここ、長野近郊某所に作られたセットで撮影されました。
(水中でもがくシーンは上田市内のプール「アクアプラザ上田」。水中の背景の石組みもセット。)

直径2メートルほどの「池」、正面に建つ石柱に彫られた道祖神の足もとから「湧き水」が湧いています。
左右から水汲み場に向かい階段が設けられています。
木の枝で測ってみたところ、水深は2メートル弱ほど。
(これならば飛び込んでも水底に頭をぶつけることもなく大丈夫ですね。
晩秋の屋外、さぞや寒かったでしょう^^;)

このセット、地元の水周り工事業者さんが担当されただけに本格的。
近くの水源から水を引き、ポンプで循環させているそうです。

尾道に限らず観光地でなく人の生活が感じられる実在の街の風景を借景にし、
ちょっとした小物を除いて、作品完成後はオープンセットの類を残さない大林監督でもあり、
すぐ解体されたと思っていましたが、このセットは完成度の高さ、
また土地所有者の方が気に入られたとのことで、若干手直しのうえでとりあえず現存しています。
(私有地内のため一般には非公開)


7月、とあるテレビ番組で大林監督がロケ地を再訪する企画があり、
その際ちらりと映ったことから現存を知り、機会があればぜひ一度見てみたいと熱望しておりました。
このブログにかかわらせていただくなか、ご厚意で特別にご配慮で見せていただきました。

水場のたて看板もあります。


そしてあの「長ひしゃく」も。


この本格的なセットと、松代清滝がミックスされて、あの「さびしらの水場」ができたのです。


映画では、うっそうとした森の奥にあることになっていますが、
実際にはこのようにちょっと開けた場所にあります。背後の立派な枝ぶりの1本松も、これはこれで趣が^^。


ストーリーの中でも重要なシーンで使われ、とても印象的に描かれていたこの「水場」、
いずれ何らかのかたちで公開が実現するとよいですね。
なにせ、尾道転校生の御天満宮同様、作品一番のキーとなる場所ですから^^。

しげぞー


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2007年11月12日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(7)ロケ地巡り

さぬき映画祭



香川県高松市で“さぬき映画祭” ←詳細はコチラまで☆
が開催されます。盛大な映画祭です。
最近香川県では「機関車先生」「世界の中心で、愛をさけぶ」「春の雪」「県庁の星」「UDON」…などなど
話題作が多く撮影されてますね。

香川ゆかりの作品をはじめとする映画を上映するほか、映画監督などによるフォーラムや
ゲストによるトークショーを開催するそうです。

 ・日程 平成19年11月17日(土)~24日(土) 8日間
 ・会場 【高松会場】
      かがわ国際会議場、香川県県民ホール、e-とぴあ・かがわ など
      【地域会場】(上記日程のうち、1日)
      土庄町立中央公民館、ベッセルおおち、丸亀市綾歌総合文化会館、観音寺市民会館

そして11/23(金・祝) 13:00~16:15 香川県県民ホール アクトホール
“転校生 さよならあなた”の上映があり、
大林宣彦監督、蓮佛美沙子さん、森田直幸さんがトークショーで登場されます。勢揃いですね。

さぬき映画祭での反応が楽しみです。

ながの映画祭も開催まで後1週間をきりました~。ご来場を心からお待ちしてます。
映画、落語、映画祭広場での食べ物販売、古いフィルム上映、弁士による無声映画上映等々
たっぷり楽しめます。

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2007年11月11日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)各地映画祭巡り