『BUNGO~ささやかな欲望』初日舞台挨拶レポート③

 次に、『ささやかな欲望』という本作のサブタイトルにちなんで、キャストの皆さんの「ささやかな欲望」について聞いていきます。

 石原さんのさささやかな欲望は、「グリーンスムージーにはまっているので、バイタミックスというミキサーが欲しいです。」
 「私もほしいです!」とお隣の水崎さん。

 「石原さん、ちょうどこの下がビックカメラですよ。今ならポイントも貯まります。」と司会者。

 ちなみに、このやり取りは、1回目と同じ絡みなのですが、「これ、初めての人には、意味が分からないですよね。」とちょっとウケていた石原さん。


(角川シネマ有楽町の入るビル。8階が映画館です。)

 「それと、最近、今更ながら気が付いたのですが、私には親友が3人いるのですが、週に何回も会うぐらい本当に仲が良いのに、1度も旅行に行ったことがないんです。住んでいる地域以上、出たことがないんです。だから、ちょっと遠出したいなというのが、ささやかな欲望です。」

 続いて、橋本さんのささやかな欲望は、「1か月休みが欲しいです。別に、忙しいとかいうことは全然なくて、ド暇なんですが。1か月お休みをもらって、自分が触れたいものに全部触って、帰ってきて、またお仕事に活かしていけたらなと思います。」

 「触れたいものは、何ですか」と司会者に聞かれて、
 「もう、何でも、そこら辺にあるモノとか、映画だったり、音楽だったり、色々なモノに触れたいです。」

 司会の方からは、「ドはつけなくて良いですよ」と言われていた橋本さん。16歳という若さながら、今年公開された作品だけでも、7本以上の作品に精力的に出演されているので、ド暇というのは謙遜で、お休みがほしいというのは、切実な願いなのでしょう。学業もあるでしょうし、どうかお身体を壊さないようにしてくださいね。

 1回目の舞台挨拶では、「今は制服が着たいです。私服でもOKな学校なので、制服を着ても良いのですが、ケチってしまいまして(笑)。役でははとんど制服なのですが、実生活でも制服を着て学校に行ったり、街を歩いたり、16歳の橋本愛として、普通のことをしたいです。」というささやかな欲望でした。

 続いて、波瑠さんのささやかな欲望は、「この頃思うのは、部屋のクローゼットに限界がなければ良いと思います。」
 これには、他の登壇者の皆さんも「あーっ」と共感されます。

 「女の子だと、服の好みがどんどん変わってくるじゃないですか。でも、捨てられないので、どんどん服が増えてしまって入らなくなってしまうので、これが無限だったら、どれほど良いだろうかと凄く思います。」

 「ドラえもんの4次元ポケットみたいな感じですね」と司会者。
 「本当に、そうですね。これは、ささやかな欲望に当てはまりますかね。」と波瑠さん。

 「ちなみに、この劇場の空間ぐらいのサイズは、無限に入りますか」と聞かれて、
 「無限ではないですね。」と答える波瑠さんに、237席入る会場から驚きの声が。

 ちなみに、1回目の舞台挨拶の際の波瑠さんのささやかな欲望は、「自分がもう1人いてくたら良いなと思います。休日を満喫して趣味に走る自分と仕事を頑張る自分、どちらもフルに活用したいです。それと、寂しい時には一緒にいてくれる自分がいたらイイなと思うときがあります。」でした。

 続いて、水崎さんのささやかな欲望は、「全然関係ないのですが、趣味になってしまったのが、13か国語で、「トイレはどこですか」と聞けるようになったのですけれども、それをもうちょっと増やしたいなと思っていて、自分からは言えるのですが、その国の言葉で返されても答えられないんです。海外旅行やロケで行く度に、その国の言葉を覚えていたら、お手洗いというのは、一番重要じゃないですか。ご飯であれば我慢ができても、トイレは我慢できないので。ですので、その言葉をもう少し増やしたいなと思います。」

 この日は、実際に流暢なフランス語と中国語で「トイレはどこですか」を実演された水崎さん。凄いです。

 1回目の舞台挨拶では、「5人姉妹が集まる機会がないので、揃ってご飯を食べに行きたい。」という本当にささやかな欲望でした。



 ここで、時間がきてしまったということで、キャストの皆さんから最後にひと言ずついただきます。

○ 石原さとみさん
 「実は、私の出演している『注文の多い料理店』は、観ていただくと分かるのですが、後から声を乗せているのですね。なので、ちょっと、いつも観ている映画と何か違和感があるとか、ちょっとファンタジーな感じがすると思うのですが、現実なのか夢なのか分からないという。だから、映画館で、スクリーンがあり音響あってという状態で観るということが凄く重要になってくるというか、ですので、この作品というか、この『BUNGO』は、ぜひ映画館で観てほしい作品なので、皆さん、広めていっていただけたら嬉しいです。今日はありがとうございました。」

 石原さとみさんとお逢いしたのは、つかこうへいさんの舞台「新幕末純情伝」以来でしたが、少し早口で、テンションが高めの話し方が特徴的な石原さん。周囲への気配りが抜群で、この日の登壇者の中では一番のベテランらしく、司会者の突然の振りにも、上手に場をまとめられていました。

○ 橋本愛さん
 「この作品をおひとりで鑑賞される方は、ひとりで映画を観終わった後に、じっくり味わっていただきたいなと思いますし、友人や知人と一緒に観に来ていただいた方には、映画を観終わった後に、またどこかで、この後、たくさん語っていただきたいなと、そういう映画であったなら、凄く幸いだなと思っています。映画を楽しんでいってください。ありがとうございました。」

 舞台上では、常にクールな表情の橋本愛さん。ですが、周囲の会話に時折見せる笑顔がとても可愛らしい方です。トークには独特の世界観をもっていらっしゃいますが、そこも名前の通り愛らしいです。まだ弱冠16歳、これからどんな名女優さんに育っていくのか楽しみで、注目していきたい女優さんです。

○ 波瑠さん
 「私が出演している『幸福の彼方』という映画は、女性の芯にある部分の強さが画かれていて、それでいて、夫婦の愛って何だろうとか、親子の愛って何だろうとか、そういう風に、自分の中に問いかけられているような気分になる映画なので、ぜひ自分の大切な人と観てもらえる映画になれば良いなと思っています。今日は楽しんで行ってください。ありがとうございます。」

 先日の公開直前イベント時のカジュアルな雰囲気とは変わり、この日は作品に合わせた和服姿で登壇された波瑠さん。どちらも似合いますね。昭和の時代に舞台挨拶に立っていた女優さんは、こんな雰囲気だったんだろうなぁ、と、映画女優の波瑠さんがそこにはいました。

○ 水崎綾女さん
 「6つのオムニバス映画なのですが、文豪が好きな方はもちろん、文豪にあまり触れたことのない方にも、楽しめる作品になっていると思うので、見つめられる淑女たちをまだ観ていない方は、この『告白された紳士たち』を観た後に、もう一度、そちらも観てください。両方観てください。2つともよろしくお願いします。」

 この日の舞台挨拶で、一番楽しそうにしていたのが実は水崎さん。昭和のレトロファッションも、とても似合っていました。本当に明るい方ですね。

 以上、女優として輝いている皆さん。映画に対する姿勢も素晴らしく、しっかりと舞台挨拶の場をしめてくださいました。

 『BUNGO~ささやかな欲望』は、どの作品にも、静かな時間が流れる中に力強さがあり、鑑賞後には余韻の残る、まさに良き日本映画の素晴らしさを体現していました。
 また、谷口正晃監督作品の『幸福の彼方』では、波瑠さんの想いが、スクリーンからビンビンと伝わってきて、作品の世界にどんどん引き込まれました。波瑠さんは、本当に喜怒哀楽、自然体で素敵な表情を持っている方です。今度は、長編の谷口監督作品で、ぜひまたお逢いしたいと思いました。


(『BUNGO~ささやかな欲望』では、パンフレットの劇場販売はなく、電子書籍のみとなっています。)

 さて、この日の舞台挨拶に登壇されたのは、キャストの女優さんたちだけでしたが、会場には谷口正晃監督も駆けつけられていて、上映後のロビーでは、エキストラ出演者の方やファンの方たちと交流を深められていました。
 なお、初日の舞台挨拶とは別に、角川シネマ有楽町では、各作品の監督によるティーチインが、今後予定されています。貴重な機会ですので、ぜひ多くの方にご来館いただければと思います。
 谷口正晃監督のティーチインは、10月5日(金)19時30分の回上映後に行われます。

(ティーチインの予定はこちらから)

(りょう)  


2012年10月03日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

『BUNGO~ささやかな欲望』初日舞台挨拶レポート②

 続いて、司会者から、ひとりひとりに質問をしていきます。
 初めに、石原さとみさんへ、「宮迫さんとの共演はいかがでしたか」という質問です。
 「最後に、猫のヨダレが落ちてくるシーンがあるのですが、そのシーンで凄く難しいと思ったのが、垂れてきたのに気付かないでくださいと言われたんですね。もの凄く大きい塊が肩に落ちて来ているのに、それに全く気が付かずに、顔に垂れて来たところで気付いてくださいと言われて、気付かないということが、凄く難しかったです。それが、思いのほか冷たくて、ビクッとなってしまって、冬の撮影だったので、凄く寒かったんですね。だから、色々な葛藤がありました。後は、塩を投げるシーンがあったのですが、本番では、別カットでも撮っているんですね。その時に、投げられるということが、宮迫さんには分かるじゃないですか。だから、早めに目を瞑ってしまったりしていました。アクションではないですが、やはり、固形物や液体を使うときは、一度テストとかをしてしまうと難しくて、大変だったという想い出があります。」
 「塩を投げられると、結構痛いんですよ」という司会の芸人の方の実体験から出たコメントもありました。

 ちなみに、1回目の舞台挨拶では、「実は、宮迫さんは、ヌルヌルが大嫌いで、椿オイルを手につけるのも嫌だったみたいなのですが、頑張っていました。お笑いの人だから、そういうのには、慣れていると思っていたのですが。ただ、オイルマッサージをするシーンでは、すぐに私の脚で、オイルを拭いていました。それが、本編でも使われているので、ぜひチェックして観てください。」というお話しでした。

 続いて、橋本愛さんへ、「歳の差のある恋愛を画いた作品ですが、実際に歳の差の恋愛はどうですか」という質問です。
 「自分の中では、そういう経験はまだ1度もないのですが、全然アリだとは思います。」

 1回目も同じ質問内容だったのですが、そのときは、「年齢は、まだ統計がとれていなくて…基本、中身だと思います」とちょっと不思議な回答をしていた橋本さん。

 更に、「リリー・フランキーさんは、橋本さんのお父さんとの年齢と同じぐらいですか」と聞かれて
 「確か、近かったですね。」と答える橋本さん。
 「でも、リリーさんをお父さん的存在だということも、全然思えなくて、役が役だからだとも思うのですが、リリーさんは素敵な方で、素直に、「この人が、片思いの相手なんだな」という意識にすんなりと入り込ませてくれました。だから、年齢差というのは、そこまで障害でもなくて、純粋な気持ちの片想いは、いつの時代でも良いなと思いました。ただ、私は、そういう年上の人と出逢う機会が、仕事のときしかないので、お仕事で出逢う人には、そういう恋愛の対象として見ることは絶対にしないので、ないですね。」

 続いて、波瑠さんへ、「奥さんの役は初めてだったということですが、どうでしたか。」という質問です。
 「疑似体験ができたみたいで、家事とか楽しかったです。相手役の三浦貴大さんが、凄く何でも受けとめてくださる方だったので、私が何の相談もなく好き勝手にやっても、受けとめて、きちんと仕上げてくれる、素敵な俳優さんでした。本当に、お世話になりました。」

 続いて、水崎綾女さんへ、「『乳房』というタイトルが衝撃的ですが、最初にお話が来た時は、どのように思いましたか。」という質問です。
 「最初は恥ずかしかったのですけれども、もう乳房慣れをしました。」
 と、会場の笑いを誘います。
 「やはり、女の子から乳房という言葉を発するのは、恥ずかしいことだと思うのですが、戦時中のお話しで、音楽が最小限にしか使われていなくて、スローテンポで進んで行く感じの物語だったので、現場もスローな感じでした。撮影期間は、3日間だったのですが、私は2日間で、凄く早く撮らなくてはいけないのかなと思っていたら、そうではなくて、ゆったりとしたテンポだったので、凄く助かったのと、6月末ぐらいだったので、けっこう蒸し暑くて、床屋さんのシーンは、戦争中で、空襲警報が来て、隠れるシーンがあるのですが、凄く汗ばまないといけないシーンだったので、その気候にも助けられました。」

 また、1回目の舞台挨拶では、年下の男性との共演について聞かれて、「私は5人姉妹なので、男の子に接する機会がなくて、何を話したら盛り上がるのかが分からなくて、待ち時間は緊張していました。実際の歳の差は6~7歳下ですが、設定では10歳下なんです。近所の子という関係なので、ドキドキ感を出すために、たくさん話そうと思ったら、意外とあっけらかんとしていて、ボーっとされていたので、自分もあまり話さずにボーっとしていました。」というエピソードもお披露目されていました。


(『BUNGO~ささやかな欲望』を紹介した記事)

(りょう)

つづく  


2012年10月02日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ

『BUNGO~ささやかな欲望』初日舞台挨拶レポート①

 9月29日(土)に封切られた『BUNGO~ささやかな欲望』

 余談ですが、谷村美月さんが主演されている『人妻』(熊切和嘉監督)は、この日記で何度かご紹介している深谷市でのロケ作品。
 また、前作の『BUNGO-日本文化シネマ』には、蓮佛美沙子さんも梶井基次郎原作の『檸檬』(吉田恵輔監督)に出演され、ロケ地となった一昨年の『花の街ふかや映画祭』では凱旋上映も行われました。

 そんな縁もある『BUNGO~ささやかな欲望』公開初日の角川シネマ有楽町では、9時50分の『見つめられる淑女たち篇』の回上映後と12時25分の『告白する紳士たち篇』の回上映前に舞台挨拶があり、『注文の多い料理店』主演の石原さとみさん、『乳房』主演の水崎綾女さん、『鮨』主演の橋本愛さん、『幸福の彼方』主演の波瑠さんが登壇されました。
 石原さんと水崎さんは『見つめられる淑女たち篇』、橋本さんと波瑠さんは『告白する紳士たち篇』と、それぞれ別のフィルムに出られていますが、舞台挨拶には4人が揃って両方の回に登壇。今をときめく女優さんたちと一度に逢える、豪華な舞台挨拶となりました。


(登壇者のサイン入りポスター、向かって左から、水崎さん・石原さん・波瑠さん、橋本さんのサインです。)

 本日の転校生日記では、1回目の舞台挨拶は、ちょっとグダグダな感じになってしまったので(汗)、2回目の舞台挨拶の模様を中心に皆さまにお届けしますね。

 …というか、あまり批判的なことは言わない自分も今回はあえて小言を書いてしまうのですが、この日の司会進行役は、某お笑い芸人3人組でした。その人たち自身がどうのこうのは言いませんが、昭和の文豪たちの物語を題材にした、おごそかな作品に、MCが芸人というチョイスは、ちょっと合わないと感じました。
 波瑠さんや石原さんも、司会の質問内容や進行に、若干戸惑っているように見受けられ、また、女優さんの魅力をほとんど引き出せていなかったので、女優さんや作品、そして何よりも今日を楽しみに映画を観に来た満席のお客さんにも失礼だったのではないかと思います。
 おそらく、『注文の多い料理店』に出演された宮迫さんとの関係から呼ばれたのかもしれませんが、“役者”宮迫博之さんとしても、これでは不本意なのではないでしょうか。

 さて、通常、舞台挨拶では、最前列は空席にすることが多いのですが、この日のりょうの座席は、スクリーン前の最前列。舞台横の扉からキャストの皆さんが登壇される際には、4人の女優さんたちの芳りがフワッと。
 登壇者の皆さんは、映画の世界にちなんで、それぞれ昭和風のレトロなファッション。中でも『幸福の彼方』波瑠さんは、紫色地に花をあしらった艶やかな着物姿。

(当日のキャストの皆さんの昭和レトロファッションをご覧になられたい方は、作品公式サイトまで)

 名前を紹介されて登壇する際には、キャストの皆さん、会場の観客に手を振りながら登壇されていました。客席では、橋本愛さんへの手作りのメッセージボードを掲げた方など、熱心なファンの方が詰めかけていました。



 まずは、キャストの皆さんから、ひと言ずついただきます。

 ちなみに、本作は、2作で1つの作品のため、2回目の舞台挨拶には、1回目の舞台挨拶を聞いた方が、8割程度残っているという珍しい状況でした。皆さん、それを踏まえた舞台挨拶となっています。

○ 石原さとみさん
 「皆さん、こんにちはー。先ほど観ていただいた方も新しい方も、今日はわざわざお越しいただき、ありがとうございます。30分のオムニバスの作品が何本も続いているということで、文豪と言われても、楽しく観られる作品ではないのかな、と私は観て思いました。ですので、お薦めしていただけたら嬉しいですし、文豪という固いイメージがなくなったよと広めていただければ嬉しいなと思います。今日はよろしくお願いします。」

○ 橋本愛さん
 「また来ていただいた方も、そうでない方も、今日はこの作品を選んでいただけて、ありがとうございます。2本続けて観ていただく方は、合計で4時間ぐらい椅子に座っていただくことになり申し訳ないです。ぜひ楽しんで行ってほしいなと思います。よろしくお願いします。」
 客席からは、「愛ちゃーん!」という男性ファンからの掛け声も飛び出していました。

○ 波瑠さん
 会場からの「波瑠さーん」という男性客の声援に「いつもありがとうございます。」と応える波瑠さん。
 「波瑠です。今日はお越しいただいて、本当にありがとうございます。最後まで楽しんで行ってください。よろしくお願いします。」

○ 水崎綾女さん
 「水崎綾女です。初めての方も2回目の方も、ありがとうございます。ネタバレにならない程度に、楽しんで行っていただけたらなと思います。よろしくお願いします。」
会場からは、橋本さんや波瑠さんとは異なり、若い女性ファンの方から「綾女さん、頑張って!」と声援もありました。


(劇場には、作品紹介のパネルも掲出されていました)

(りょう)

つづく  


2012年10月01日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)未来に紡ぐ