門前でお買物②

善光寺門前で1000円で買物をするという突然始まった(笑)シリーズ、
2回目です。

このブログでもお伝えした、善光寺門前の
3つの蔵が平屋でつながった魅力的な建物、「KANEMATSU」を再生中の「ボンクラ」さん。
そこで1/24日に開かれたフリーマーケットの「ボンクラ門前市」 ←詳しくはこちらをクリックして下さい☆
に参加して参りました。
門前市の第2回のテーマは「本」でした。
出店する方は必ず1冊でも本も売ることになってます。

そこで買った本。

柳 宗悦著 「工藝文化」  昭和17年 文藝春秋社 500円
室生犀星著 「幼年時代・性に目覚める頃」 昭和34年 新潮社 300円
幸田露伴著 「五重塔」 岩波文庫 50円
坂口安吾著 「能面の秘密」  角川文庫 50円 しめて900円。



出版されてから年月を重ねてますが、どれも大切にされて綺麗な状態の本です。

柳宗悦さんの「工藝文化」は函から出すと金箔が施された美しい本です。
中の挿絵にもうっとり。




室生犀星さんの本も函から出すと表紙のイラストがとても可愛らしく
今室生犀星さんを読みたいと思っても新潮文庫の一部以外は入手することが難しいです。
全部とてもうれしい買物でした。
古い本がさらっと安い値段で置いてあるのに善光寺門前の文化の豊かさを感じました。
古本なので同じ条件で買い物は出来ないと思いますが、
まだまだ掘り出し物はたくさんありそう。
次回の門前市は3/21予定だそうです。  


2010年01月31日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)まち巡り

長野市で映画ロケ

長野市で映画のロケが今年6月行われることになりました。

内容は、ルパン参上!?
フランス人作家モーリス・ルブラン作のルパンシリーズの代表作
「奇巌城(きがんじょう)」の映画化で舞台を現代の日本に置き換え、
ルパンが狙うのは茅野市で出土した国宝「縄文のビーナス」などの土偶?だそうです。
何かわくわくしますね。

メガホンをとる秋原正俊監督は長野グランドシネマズ様で昨年上映された映画
「斜陽」で舞台挨拶され、「映画館が町にたくさんある長野市で映画を撮りたい」と
おっしゃってました。
早速実現の運びとなり、3月頃にはエキストラとロケを手伝うスタッフの募集が始まるそうです。
ルパン役は映画初主演の声優、山寺宏一さんが務めるほか、
岩田さゆりさん、ウド鈴木さんらが出演するそうです。

また続報をお届けしますね。

  


2010年01月30日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)映画関連

「星の降る里芦別映画学校」受け継がれる「ふるさと」への想い⑧

◇その8:才能の広がり。これからに向かって。

宣「ツルちゃんは着物のデザインもしているんだって?」

鶴「紙の絵を始めてしばらく後、土に描いてみませんかと言われて陶板に。
  土をねってみないか というので茶碗、絹にといわれて着物。
  更に、漆にというので漆器になったり。。。」

宣「やはり才能があったということですね。」

鶴「どうでしょう(笑)。全く知らなかったんですが、1つだけ言えるのは・・・
  先年母に<僕はなぜ絵を描くようになったのかなぁ>と言うと
  <何を言ってるんだ。祖父ちゃんは絵師じゃないか>
  <えっ?><子供の時分、羽子板があっただろう?祖父ちゃんが描いたんだよ。>
  <なんでもっと早く言ってくれなかったの?><知ってて描いてると思ったよ。>と。
  絵を描く後ろ姿が祖父そっくりだというんです。
  母は息子に自分の父親の面影を見る瞬間があるんですね。」

宣「親孝行にもなっているんだね。細山田くん、4歳というのはさすがに自分の意思でないよね。
  葛藤のようなものはあった?」

細「もちろん最初は親の意思で、児童劇団に入りました。
  僕は結構頑固で他の習い事をやれと言われてもいやだと絶対行きませんでしたが、
  この仕事は最初から楽しくて。
  小学校高学年のころ、大人になっても続けられたらなと。
  学校に行くのが当たり前のように普通の生活なので好き嫌い関係なく、
  自分のやることと思ってました。」

宣「僕が彼を好きな理由があって、今<役者>がほとんどいません。
  イケメンのタレントさんは沢山いるけれど、役者は覚悟がいる。
  ツルちゃんから名前が出て驚いたけれど、小林桂樹さんを目指しなさい、
  これが役者を一生やるということだよと。細ちゃんは見ての通り二枚目。
  でも、イケメン風カッコよさをするのが照れくさいのか、しっかり人間の芝居をしようとしています。
  大器晩成タイプだからいわゆるアイドルにはなりきれないかもしれないけれど・・・。」

鶴「絶対その方がいいと思います。僕も若い時は、売れたい、有名になりたい、
  お金がほしいという気持ちもありましたが、
  役者として人間をきちんと表現できる人になりたい想いも一方でありました。
  細山田くんも喜怒哀楽や不条理、心を表現したくてこの仕事をしているなと。」

宣「ツルちゃんには『女ざかり』で誰か分からないような特殊メイクで書道家を演じてもらいましたが、
  当時絵はまだ描いていなかったの?書道家は正解だったのかな(笑)」

鶴「まだでしたが、監督に<気配>を感じていただいたのかもしれませんね。」

宣「黒木瞳くんとの『SADA』ではベルリン映画祭で国際批評家連盟賞というのをもらいましたね。
  あの作品は一切裸体を出しませんでした。<襟をきちっと合わせて色気が出せるかどうか、
  役者としての力量だよ>と言って(笑)。」

鶴「私は、ちょんぎられちゃう(汗)相手の男、龍蔵でしたが、やりがいのある役でした。」

宣「『理由』で晩年の南田洋子さんと共演してもらったのも今はよい思い出です。
  さて・・・では長谷川さん、最後に芦別の皆さまへひとことお願いします。」

長「昔から映画好きでいつか映画の脚本と思っていました。
  今回監督にお声をかけていただき非常に緊張しておりますが、
  僕も長年劇作家をしてきたので遠慮はしません。
  青森を拠点に東京や海外へ出てゆくスタンスで活動を続けてきたので、
  今回も芦別を拠点にホンを書いて、オーディションなどもするかもしれません。
  監督が作る物語の土台を来年の映画学校までに上げたいですね。よろしくお願いします。」(拍手)

宣「細ちゃん、初めての芦別はいかがでしたか?」

細「『なごり雪』のころから映画学校のことは聞いていましたが、ようやく来られました。
  お招きいただきありがとうございました。
  帰ってこられるよう、そして芦別映画にも 参加できるようがんばります。」(拍手)

宣「ツルちゃん、再来年は<ちょっと病気>では済まないかもしれませんが(笑)、
  今日は健康でご病気になって下さりありがとうございました。」(大爆笑、拍手)

鶴「今朝初めて、芦別にまいりました。着いてすぐお墓参りに連れてゆかれました。
  お坊さまにお経を上げていただき・・・その方が実行委員長さんでした(笑)。
  そんなプロローグで始まる映画も面白いかなぁ、
  この後一体どうなるの?と考えながら楽しませていただきました。
  映画でまたお会いできることを願っています。」(大きな拍手)

宣「時は経つもので、終了時間です。終わりは始まりでもあります。
  実行委員の皆さん、市民の皆さん、ふるさとビデオを手に
  芦別に帰って下さる皆さんの来年は明日から始まります。
  元気な笑顔でまたお会いしましょう。(拍手)
  今日何度も出た鈴木評詞くんの名前。彼が亡くなった年生まれたお嬢さんは、中学2年です。
  彼女の笑顔を拝見すると、彼は今もこの世に存在し続け、そしてこの映画を誰よりも喜び、
  誇りに思っているのは自然界の中の評詞くんであり、彼が縁を結びつけ、
  映画を実現させてくれると信じています。
  (語りかけるように) 評詞くん、いよいよ始まるよ。ありがとうそしてよろしくね。
  皆さん、ありがとうございました。第17回星の降る里芦別映画学校、閉校です。」
  (場内、途切れることのない拍手。)



実行委員から特別ゲストと大林監督・恭子さんに感謝の花束贈呈です。
拍手の中、女性スタッフから花束を渡され、花束を掲げて皆さま笑顔で下がってゆかれました。



終了後、監督、恭子さんはじめお世話になった実行委員の方々にご挨拶して会場を後に。
日が落ち真っ暗になった駅に向かい、列車を乗り継ぎ新千歳空港経由で帰京、
家についたのは0時過ぎでした。



今回感じたのは、行政と民間どちらも大事ということ。どちらが抜けてもうまくゆきません。
芦別は炭礦の閉山で基幹産業が抜けて以来、
人口の流出や高齢化など「今そこにある危機」に強い危機感を抱いておられます。
「財産」を有効活用し町を生かしてゆくか切実で、観光振興やスポーツ合宿誘致もその1つ。
市長さまや実行委員長さまほかのスピーチにも胸を打たれました。
「町に残る我々の使命は、故あってここを離れた方にも誇りにしてもらえるよう、
そしていつ帰ってきても変わらぬふるさとを守り続けることです。」
「もし町が過疎になったとしても、心は過疎になってはなりません。」

印象に残った大林監督の言葉をもう2つだけご紹介して今回のレポを終わります。
まず、ビデオ大賞入選の高校生たちに送られた言葉。
「未来人の君たちは輝いている。他人のように成功しようとするより、自分らしく失敗しなさい。」
そして、叙勲お祝いを受け、亡きお父様からかつて言われたという言葉をご披露。
「信ずる道を行きなさい。どこかでちゃんとみてくれていて、いつかご褒美をもらう日もあるだろう。」
どちらも非常に深いですね。



しげぞー

このブログは昨日アクセスカウンターが20万を超えました。
(記念すべき20万はひがしざわが踏んでしまいましたが。。。汗)
読んで頂いている皆様のおかげと心から御礼申し上げます。  


2010年01月29日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

「星の降る里芦別映画学校」受け継がれる「ふるさと」への想い⑦

◇その7:「見直して気づく」こと、「覚悟を決める」こと。

鶴「両親宅からの帰り、タクシーの中で楽しい時を思い出して台詞を再現するシーンで
  思いだしたのは、ドラマでご一緒させていただいた小林桂樹さんのこと。
  若くしてお父様を亡くされたのですが、歳を重ねられてから
  咳払いの声がお父様そっくりになったとおっしゃる。
  毎朝<ん、ん!>と何度も声にして懐かしんでいるとか。心に残るお話です。
  もういない人の気配、父親の血が流れていると自分の声で確認するんです。
  <なぜ役者さんに?>と尋ねましたら、学生時代観たエジソンの映画だとか。
  後の発明家エジソンですがなかなか研究の成果が上がらない。
  部屋に帰って水差しの水を飲みながら物思いにふけり、飲みかけの水をすっと鉢植えの花にやる。
  その一部始終を引きのアングルで撮っているだけで、
  行き詰まっても優しさを失わない人物像がわかったそうです。」

宣「あの役者さんがかっこいい、あの役をやりたい、と思うだけならそこまでですが、
  桂樹さんは台本にも書かれていない日常の小さな仕草まで目にとめています。
  仕草の中の心の動きはあまり映らないので、
  演出で<水をやってます!>とわざわざアップにもしますが、
  そんな手法をあえてせず見せるのがいいですね。
  ハセやん、ぜひ引きのシナリオを書いてください(笑)」



長「舞台は物理的にアップにできませんし、注目させるにはスポットを当てるくらいですからね。
  (観客が各々好きなところを自由に楽しめるのがお芝居の面白さである反面、
  演者側からはNGややり直しができない分、
  一瞬たりとも油断できない真剣勝負のコワさもあるそうです。
  もちろん観客の反応がダイレクトに伝わる醍醐味や舞台と客席が一緒になって世界を作る
  一体感も魅力ですが。:しげぞー)」

宣「歌舞伎も観客がご贔屓の役者さんや役柄をアップにしてくれますね。
  最近の映像はやたらアップを多用しますがちょっと上品さに欠けるかなと。
  タクシーの運転手は一言も口を利かない。
  あの役もキャスティングが難かった。邪魔にならず、でも面白くて悲しく印象に残る・・・
  泣いているようで笑っているようなベンガルだ!と。
  あの存在感が『北京的西瓜』主役につながります。
  峰岸徹くんや松田洋治くん、高橋幸宏くんも忙しい中出てくれました。」

鶴「笹野高史さんも出ていましたね。」

宣「歯医者さん最高でしょう。いまや名優ですが、当時はヘンな人でした(笑)。
  何か20年の歴史が映っていて面白いですね-と語っているうちに時間も近づいてきました。
  さて、ツルちゃんは今どんなお仕事を?」

鶴「刑事ドラマの撮影中で、今月はほとんどかかりきりです。」

宣「ドラマ撮影中は本当に時間がないですよね。
  忙しくて時間がないけれども、時々病気になってきてくれると。
  内緒話ですよ、ははは(笑)。」(場内大爆笑、そして拍手)

鶴「ははは・・・<申し訳ありません!今日はちょっと重病なので!>と
  大きな声で元気に挨拶してきました(笑)。」

宣「かつての出会いを大事に、恩義を感じてくれているのは本当に嬉しいことです。
  そうそう、原作者というものは映画化にいろいろ想いがあって
  山田さんはしばらく何もおっしゃらなかった。
  何年か経って<良い映画をありがとう>とおっしゃり、ご自身の講演会でも上映くださいました。
  <良さが分かるまでいくらか時間がかかりましたが、
  鶴太郎さんはよかった。寿司も美味しそうでした。>と。
  寿司屋のカット、シナリオにはなかったけれど、粋でイナセなツルちゃんの職人姿
  をやはり見せておきたくて撮ったのを、目ざとく見つけてくださいました。 
  ハセやんのご予定はいかがですか。映画の脚本以外は舞台の演出ですか?」

長「基本的にはそうです。演出といえば、携帯電話が出て日常を描くのが難しくなりましたね。
  山で遭難しても家に電話すればいい。がらりと演出が変わったのではないでしょうか。」



宣「僕が携帯電話を初めて映画に出したのが、『転校生さよならあなた』。
  大林映画に携帯電話初登場!と驚かれる方もいました。
  携帯電話の使い方は韓国TVドラマが一番上手いですね。
  携帯電話なしでは成立しないドラマを書いています。ハセやんの世代でも難しいですか?」

長「携帯メールを打っている間は芝居にならない。
  だからフィクションということにしてなるべくは使わないようにしていますが・・・。」

宣「尾道で何本映画を撮っても車が走っていないのと同じですね(笑)。
  あの街には似合わない。そのことで逆に尾道が描けると思っています。」

長「必要なものとそうでないものを取捨選択するということですね。」

宣「これから芦別に足を運んでいろいろご覧になる中で、何を選んで何を捨てるかが大事です。
  17年間かかわっている僕は情報過多で、覚悟の決めどころがなかった。
  長谷川さんにお願いしてこれで覚悟が決まるぞと。
  僕は南の生まれ・育ちで寒い国には旅人として来ます。
  青森の長谷川さんと話していて<そうか!>と思ったことがあります。
  <大林さん、南の人は家から普通に出るでしょう?
  でも僕たち北の国の人間は決心して外に出るんですよ。>と。」

長「南の人は普通に下駄やサンダルで出るじゃないですか。
  冬は特にですが僕たちはジャンバーを着て靴を履いて、よし!と結構決意して出ますね。」

宣「北国ならではの物語は、僕が書く恋物語や家族物語と違うだろうと。
  (『はるか、ノスタルジィ』も小樽出身・山中恒さんの物語でしたね:しげぞー)
  ただ妹に会ってくるよ~ではさまにならないけれど、
  決意して出るなら凛としたドラマができそう、とわくわくしています。」

長「それが日常に染みついているので、北ではあまり音楽が生まれず、
  むしろ文学や思想として形になります。
  感覚的に音色を感じる土地柄と、文字や言葉で考える土地柄の違いでしょうか。
  太宰は生涯津軽弁が抜けなかったそうです。
  (そこで「つすますーず」になる本名の津島修治でなく、
  訛らない発音の太宰治としたとか?:しげぞー)」

宣「僕も文学少年時代、太宰の小説を読んで<お殺せなさいますの>とか見つけて、え?と。」

長「彼の小説に何度も出てくるので、標準語と思っていたんでしょう。」

宣「あなたは私を殺せるの?を敬語でいうと、お殺せなさいますの?と。
  その言葉に彼の書きたいことが詰まっています。
  そういえば、芦別では独特な表現というか方言のようなものがあまり聞こえませんね。」

長「もとは山形、富山からの文化らしいのでほとんど分かりません。
  北海道でも函館あたりでは、イントネーションが独特なところがあります。」

(続く)

しげぞー  


2010年01月28日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

「星の降る里芦別映画学校」受け継がれる「ふるさと」への想い⑥

◇その6:表現するということ。



宣「1カットだけの役が1番難しい。例えば根岸季衣くん。
  『女ざかり』で顔半分しか映らない店員役で出てもらいました。
  主役の後ろにずっと映り、でも目立ち過ぎて邪魔になってはいけない難役です。
  すると自分で脚本を書いてきたんです。どこで生まれどこで暮らし今ここにいるか。
  <これがないと私邪魔になってしまいます>と。こういう仕事をしてくれると嬉しい。
  細ちゃんもそういう役者になってほしいな。
  風間さんや鶴太郎さんの役をやりたいと言うなら<そう?>で終わってしまうけど、
  永島さんの役、ときたら<おお、そうかお前♪>となるわな(笑)。
  将来が面白い。ハセやんどうですか、新作はどんな映画になるかな。」

長「まだ真っ白です(笑)。劇作家なので極力言葉で説明してしまいます。
  雨も映画なら降らせばいいですが、僕たちは全て言葉で説明します。
  どんな雨が降っていてどう濡れて、と。それを、映像にしてもらわねばならない。
  <これは映画にならない>というのを指摘してほしいですね。
  書いたものが最後は半分以下になるかも。
  最初は芝居の台本のようになるかもしれません。」

宣「『津軽』を観てこんな脚本で映画を作ると面白いと思いました。
  映画の脚本は映像的すぎ。
  むしろ言葉のイマジネーションが見える方が面白い。
  亡き山田信夫さんが書いた『野ゆき山ゆき海べゆき』のシナリオにはこんな一節があります。
  <1人の少年が崖に立ち彼は落下した。と思いきやまだそこにいた。>
  <と思いきや>をどう絵にするの?と。僕はそういうのが好き。
  長谷川さんが<映画にならないだろう>と書くのを<映画にしてやろう>と(笑)。
  映画化不可能とか誰も映画にしないものを手がければ新しいものが生まれるかなと。」

長「『津軽』では太宰が10人一輪車に乗って登場します(笑)。
  そこまではなくとも、芦別の街で皆が踊っている等ありえないことも書くでしょう。
  ある約束事のもとなら許されることをストレートにぶつけたい。
  有名で実績ある監督さんとの仕事でも脚本家としては遠慮せず書きたい・・・と
  いいつつドキドキ、汗だらけですが(笑)。背伸びと知ったかぶりは大事で、
  まず宣言してしまい 後で必死に考えればいい。自分をできるだけ追い詰めようと思います。」

宣「我々は対話人間。哲学者だったら<我思うゆえに我あり:デカルト>と独り言で存在できるけれど、
  僕たちは<あなたが受け止めてくれるから我あり>。
  相手がどう受け止めてくれたかなので不言実行ではダメ、有言実行です。
  無謀でもまず約束する。
  叶えるためにどうすればいいか見つける過程は苦しいですが面白いから。
  どんなシナリオになるかわくわくドキドキです。
  それが長谷川さんにお願いしようと思った理由。
  何度も足を運び僕の知らない芦別を見つけて面白いホンにしてくれるかなと^^。」

長(客席に)「街で見かけてもなるべく声をかけないで(笑)。自分で見て、体験したいので。」
  (帰り、小生も乗換の滝川駅で長谷川さんを見かけましたが、お声をかけるのを遠慮しました。
  稽古中の舞台、脚本と、車中・道中も創作のための貴重な時間を邪魔してはと。笑)

宣「長谷川さんに似た人が芦別をうろついたり、隣のテーブルでガタタンラーメンを食べていても
  ほどほどにそっと迎えてくだされば、その温かみが映画に映るでしょう。それにしても・・・
  ツルちゃんが役者さんになってくれたのは嬉しいけれど、まさか画伯とはねぇ(笑)。」

鶴「自分でもです(笑)。『異人たちとの夏』頃はボクシングで目いっぱい、絵など予想もしませんでした。
  描き始めは38歳のころです。
  役者の仕事が増えてTVドラマもシリーズが続きましたが、
  40歳手前で終わりに近づいてきたんです。
  ボクシングも体力的に厳しくなり、30代に打ち込んだことが皆、引き潮のように終わってゆく感じで。
  後半生何を頼りに生きればよいかわからなくて、非常にむなしく物寂しい心境、
  でも友人に話しても伝わらないし・・・と悶々とする日々でした。
  冬の寒い朝、自宅を出ると後ろで何か気配がして、振り返ると赤い花が咲いていて。
  誰も見ていないのに凛と咲いている花はすごい、チャーミングだなと感動したんです。
  それが椿だということは後で知りました。
  音楽的才能があったり詩人なら、この感動を音の調べや詩で伝えられるでしょうが、
  自分の表現方法つまり演技や笑いでは・・・(笑)と考えて、
  音色やポエジーを絵で表現することにしたんです。
  早速、文具店に墨と硯と絵の具を買いに行きました。」

宣「そういう瞬間に出会えるのはすばらしい。
  この映画のでも演技者としてはまだまだながら見事演じたのも資質です。
  <後ろで気配がした>というのはまさに想像力。
  出会ったものを表現するため絵筆を握るなど、ウソから出たまことを信じる人です。
  以前草津の街で『片岡鶴太郎美術館』を見つけ、入ってみると、夕焼けの絵がありました。
  夕焼け空や山の稜線ではなく、夕焼け色の心を持った少女が立っている絵。」

鶴「男の子と女の子の下駄を並べて描き<妹のような君だった>と詩を書き添えて。
  すると監督がメッセージをくださいました。
  <妹のような君だった・・・この言葉だけで映画が作れます。>」

宣「下駄は単なる履物ですが、並んだ下駄は恋人か妻か娘かも知れないけれど、妹のような。」

鶴「21年前気づきませんでしたが風間さんを家に連れてくるシーン、玄関に下駄がありますね。 」

宣「2人がそこで暮らす気配を醸し出してます。映画は限られたシーンしか描けないので
  そこだけ描くことが多いけれど、いいところに気づいてくれました。」

鶴「母親のは行儀よく揃えているのに父親のは<おい帰ったよ>と
  脱ぎ散らかした下町の親父の気配がします。
  何年かして見直すと新たな発見があって新しい作品を見る感じがしました。」

宣「この作品ではお母さんの料理を一度も食べません。おふくろの味は一番日常的。
  だからTVドラマでは食卓を囲めば家族を描ける。でも映画だからそんなものなしに描きたい。
  家庭料理を食べられない切なさとあの下駄。朝昼晩毎日料理を作ってくれるお母さんの下駄です。
  これが想像力の面白さだと思いますが、細ちゃんいかが?」

細「昨日今日で思ったのは、画面に映るものや目に見えるもの以外、
  観ている方それぞれ想像力で違うものを感じていることでした。」

宣「劇作家の長谷川さんにお願いした理由の1つがそこ。それでもまだ映画は映せる。
  舞台は全て気配と想像力で表現しなければならない。昔の映画は舞台と似ています。
  映画だからといって何でも撮ろうとせず、ここはおのおの感じて、と。」

長「演劇ワークショップで大学生100人に<自分が子供と思う人>と尋ねると95人手を挙げます。
  <大人だと思う人>というとおそるおそる1人2人。
  また、ハンカチ落としゲームをやるんです。
  輪になって座り、ハンカチを持った鬼がまわりを回りながら誰かの後ろにハンカチを落とす。
  一周してその人が気づく前にタッチしたら鬼が交代するゲームですが、最近成立しません。
  回る鬼を見ながら鬼の心を予測することができない。
  鬼や周りの反応から、背後に何か落とされた気配を感じ察知する能力が極端に低下しています。
  最近のTVドラマが全部説明しないとわかりにくいといわれる所以です。
  映像過多は想像力を減退させます。映像があるとそれ以上は想像力が
  働かず、そこに文章で立ち向かうのが今回の<異種格闘技>なのかなと。」

宣「こうして語っているうちに辻褄があって、映画ができてくる感じだね。」



(続く)

しげぞー  


2010年01月27日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

「星の降る里芦別映画学校」受け継がれる「ふるさと」への想い⑤

◇その5:女優魂。



宣「初日は風間くんが両親と初めて逢う場面。終わってから彼女はニコニコとやってきて・・・
  <監督さん、わかった。不思議の国のアリスを演じればいいのね。
  名取さんの役は四谷怪談。>って(笑)。
  役者さんなりの納得の仕方なんでしょう、それからは嬉々として演じてくれた。
  彼女はユニークでチャーミング、常識家でもある。常識が少しユニークなだけで(笑)。
  息子役の風間さんが待っている時のこと。
  僕のディレクターズチェアはハリウッド風で座るところが高いんですが、
  彼女が<監督さ~ん、貸して。>というので<俺が座っていたら仕事にならないしいいよ>と。
  すると秋吉くんは風間くんが座っている前に椅子を持ってゆきどかっと座る。
  風間くんからは下着が・・・。これを意識的にするんです。
  年上の息子役が難しくて悩んでいる風間くんに、<息子は母親の下着など見ても何ともないはず、
  ここから産まれてきたんだから。>と。
  風間くんも最は気を遣い移動しましたがそのたび久美子くんが前に・・・
  やがて彼も<母ちゃん見えてるよ^^>と。
  これで親子関係が構築されたということ。ツルちゃんとの出会いも考えたんじゃないかな。」

鶴「そうかもしれません。本当にユニークな方です。衣装合わせでも・・・。」

宣「うんうん。あったね。」

鶴「朝8時から1シーン撮り次の出番を待っていたらそのままお昼休憩。
  スタッフに様子を聞くと <秋吉さんのお気に召す着物がなくて・・・>
  すると、お昼ころ彼女が楽屋に来て、<久美子でーす。ごめんねー、待たせちゃって。>と。
  <どうぞ気に入るまでやってください。役者は待つのが仕事と聞いてますから。>
  <何時間も待たせてごめんねー。風間くんは役者だからいいけど、
  イロモンのツルちゃんを待たせちゃ失礼じゃなーい?
  それだけあればいろんな仕事を入れられるでしょ・・・>とスゴイこと言うんです(笑)。
  <久美子さん、イロモンイロモンって馬鹿にしないでくださいよ~(笑)>
  <だってイロモンってお笑いのことでしょ?>
  <もともとあまりいい意味ではないんです。昔から寄席では落語家さんが主役で、
  演者の名が書いてあるめくりに落語家さんは黒い墨文字、
  私たちモノマネや漫才、漫談やマジック等は赤い字で書かれています。
  彩りを添えて色をつけるというのでイロモンというんです。
  落語家さんからは本道ではなく少し下にみるニュアンスで、
  あれはイロモンだからね、と使われるんです^^;>と説明したら
  <そうだったの。ごめんねイロモン♪>って(笑)。
  それがまた何ともチャーミングでカワイイんですよ。」

宣「あの日<もうイヤ>と一度帰ったんです。
  すき焼き屋の服なので彼女なりにこだわり大事にしたくて、
  衣装さんがそろえていた着物が気に入るかどうかより、
  10着くらいから選びたいのに3着しかなかったと。<監督、電話お願いします。>というので・・・。
  <どうしたの?いいんだよ、何なら降りても。><いいの?>
  <いいよ。君がそうしたいなら。でも俺は寂しいな。><寂しいの?大林さん>
  <さびしいよ。><じゃあ行く。>って(笑)。
  そうなるともう他の役者さんなど関係ない。女優さんは皆、監督は自分のものと思っている。
  女優が4人いたら体を引きちぎられる(笑)。
  実は、監督がサングラスをかけるのも、誰を見ているか分からなくして
  皆が自分を見ていると信じてくれればと(笑)。
  普通、主役を立てて最初に撮って後から新人を撮ります。
  主役の中には自分のカットが終わると帰ってしまい、
  相手役は助監督の握り拳を相手に演技することもある。
  風間くんに言ったんです。
  <今回はツルちゃんから撮るよ。><分かりました。結構です。>
  あえて理由は言わなかったし彼も聞かなかったけれど、分かってくれていたと思う。」



鶴「一番のクライマックス、風間さんの涙のアップでお客さんの心をつかむのが普通でしょうが、
  風間さんの最初の涙はカメラの向こうで流していて、最高の泣き顔は私しか見ていません。
  迫真の演技で魂をいただいたから私の顔があるんです。
  風間さんのあの涙は、フィルムにも残っていません。風間さんの顔は改めて撮ったんですよね。」

宣「映らない人がカメラの前にいると邪魔なので(拳などで)<はい、ここを見て>とやるけれど、
  それでは感情など出ません。
  <息子が泣いてますよ。よーいスタート!>と言ってもね。
  僕の映画では映らなくてもメイクをした相手役にいてもらい、空気を感じられるようにします。
  理由は2つ。1つはツルちゃんが新人だということ。
  きちんと芝居してもらうには風間くんにいてもらう方がいい。
  目薬を仕込めばともかく本当の涙は一度。
  風間くんの本当の涙を見てるからツルちゃんが良い演技をする。
  風間くんにキャメラが向いた時は涙が涸れて2度目の涙。でもそのくらいがちょうどいい。
  観客を代弁する<語り部>の主人公が泣いたりわめいたりすると
  かえって醒めるので少し抑え目に、ツルちゃんや秋吉くんを観てもらう方がいい。何年かして、
  ツルちゃんがいいことを言ってくれたよね。<風間さんと久々に共演します。自分が今度は
  風間さんを先に撮ってもらえるような役者になっているか、コワいけれど楽しみです>と。」

鶴「<あの時は涙をいただきありがとうございました。涙をいただき感謝しています。
  今度は風間 さんから・・・>と言いましたら
  <俺も早く帰りたいからなぁ(笑)>と冗談を言われて。」

宣「今回も来たがっていたけれど芝居の稽古中で来られなかった。
  ツルちゃんと秋吉くんは絶賛されたけれど、名取くんや永島くん、風間くんも無冠だった。
  でもこれがチームワークでよい作品になっている。
  彼らには借りがあるしいつか報われる仕事をと思います。
  今回はオイシイけれど今度は損な役回りでごめんと。皆大事なんだよね。細山田くん、どう?」

細「監督はほんの1シーンでも生きている役として撮ってくださるので、安心して演じられます。
  今日ここにいられることも含めて、とてもよい環境においてもらえていると感謝しています。」

(続く)

しげぞー  


2010年01月26日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

「星の降る里芦別映画学校」受け継がれる「ふるさと」への想い④

◇その4:大林流・役者さんの選び方。



宣「主役は顔だけで決めません。打ち合わせで助監督と打ち合わせ中、後ろから眺めたり・・・
  名優は後姿で演技します。後姿もチャーミングでなければ不十分。
  後ろは無防備で人となりが出ます。細山田くんもイケメンだけど、
  後ろからも<良い青年だな>と見える(笑)。
  ツルちゃんは演技賞・新人賞を全部もらったし今みてもすごい。
  新人であんな芝居をされたらそりゃ皆びっくりするよね。」

長「<滑舌>のよさが渥美清さんを彷彿させます。
  後姿の話が出ましたが、舞台で一番難しいのが黙って立っていること。
  しゃべらず動かずいるだけの佇まいが難しい。
  それができればもう演技に口を出す必要なしです。」

宣「我々の表現するものには<品>がなくては。ハセやんの舞台にも品がみえました。
  太宰は リアリズムでは下品にもなりますが、精神をきっちり描けば非常に品のいいものになる。
  今回の映画も純文学にしたいね。」

長「(舞台で主演した、太宰役の)村田雄浩さんはどう見ても太宰と違うタイプ。
  太宰に似せようと芝居したら全然でしょうが、
  彼なりの太宰像をつかんで消化したので非常に品がありました。」

宣「細ちゃん、この映画の役柄で演じるとしたら?」

細「そうですね。永島さんの役が面白くて気になりました。」

宣「面白い。あれは本来かっこいい役。
  お洒落なスーツを着て、しかも主人公の奥さんと結婚してしまうのだからロマンチック。
  普通そういう役者さんをキャスティングしますがそれでは面白くない。
  1サイズ小さい衣装で全部ピチピチ、下品になりかねない設定にして、
  それでも彼なら上品にできるのではと。
  劇中の<顔色が悪いね、光線の加減ってことはないよね?>というシーンのプロデューサー、
  あれがかっこよくモテるタイプ。
  商業映画はそう作るけれど僕は個人映画だし(笑)。
  確かに冒険でしたが今観るとリアリティある人物です。20年経って現実が追いついた。
  彼(永島さん)はそういう一風変わった役が上手い(笑)。細ちゃん、あらすじはどうかな?」

細「僕も、両親が元気で健在なうちに、できるだけ孝行しなくてはと思いました。」

宣「親孝行はなぜか生きているうちできない。僕もしたつもりだけれど・・・
  当時両親は存命でしたが、改めて観ると<親孝行しなかったな・・・>と。
  当時は孝行息子が映画を作ったと勝手に思っていたけれど。」

鶴「映画をご覧になってお父様は何と?」

宣「照れくさそうでした。息子の作るものは照れくさい。嬉しさ半分、照れくささ半分のようで。」

鶴「私も両親に観てもらい<親父がモチーフ。
  健在なうち役者としてこの作品に巡り合えた幸せを感じる>と伝えました。
  私にも息子が3人いますが、私がこの世を去る時、
  息子たちがこの作品を観たら想いを深くするだろうなとも思います。」

宣「久しぶりに観ると当時分からなかったテーマも見えてきます。
  ツルちゃんは新人として、母親役の秋吉くんも新境地を拓いたとして賞をもらいました。
  今日あっと思ったのは名取くん。当時あまり評価されなかった。
  最後のシーンなどむしろ要らない?とまで言われたり・・・。
  <私には代表作がないからこれを代表作にします>とはりきって
  体当たりで演じてくれた彼女がご褒美をもらえなかった。
  今日観ると実にいい。改めて役の存在を切実に感じます。
  都会のマンションに住む独居女性が孤独を覚え、
  意を決して<隣人>を訪ねるが、追い返されて絶望、自殺する。
  山田太一さんは、隣人との人間関係が薄れ交流できない現代、
  亡き両親と逢って むしろ温かみを感じるという構図で2つの異人たちを対比させ、
  遠くても通じ合える両親、近くでも通じあえない桂とのすれ違いを描きました。
  当時は両親との人情噺だけウケて、現代の孤独・桂は認められなかった。
  山田さんは<ちょっと早い>作家さん。
  この映画も時代より少し早かったのかも。」



長「僕も『アグリカルチャー(農業)』という新作の稽古中です。
  食料自給率が40%を切る日本は世界中から食料を買い何とか食いつないでいる。
  農林水産業いわゆる第一次産業の方々にも時代の波は
  否応なく押し寄せて資本主義や社会問題を抱えている。
  そこに、DVやモンスターペアレントの問題が起きたら?と描いています。
  シェークスピアも日本の芸能も、昔から亡霊が現れて生きる者を諭して去ってゆく、
  という手法をよく使いますね。」

宣「亡くなった人はリアリズムでは見えませんが、気配で背後から見守ってくれている。
  映画や舞台は新聞やニュースなど報道と違って、
  本当よりまことの世界を描くと人の想いがよく見える気がします。
  さて共演者の話をしましょうか。」

鶴「お二方とも憧れの存在。風間さんはひょうきん族というTV番組で
  『蒲田行進曲』をパロディにしましたし、秋吉さんも素敵な女優さん。
  忘れもしません、撮影初日、寿司職人役なので髪を短く刈って
  秋吉さんの楽屋へご挨拶に行くと姿がみえず、メイク室に行くともう先におられて。
  <あっ!>と思い慌てて<はじめまして、よろしくお願いします。>とご挨拶すると、
  鏡越しに私の顔をじぃーっと見つめて、返事もせずにぱっと行ってしまった。
  挨拶に来なかったと怒っているのかな?と困りまして^^;。
  1シーン撮り終わり昼休憩、ようやく少ししゃべれるようになり
  <お部屋に伺ったらおられなかったのでメイク室でいきなり会うかたちになりすみません。
  先ほどずっと私の顔をご覧になってましたが、もしや怒ってらした?>と尋ねると・・・。
  <ん~ん、ツルちゃん髪刈ったんだぁ、と思って見てたの。>
  <なんだ、言ってくださいよ!ドキドキなんですから(汗)>。」(大爆笑)

宣「ついでに裏話をすると、最初秋吉くんは桂でキャスティングしてたんです。」

鶴「そうだったんですか?!」

宣「彼女もはりきってましたが、山田さん・シナリオの市川森一さんと話すうち
  <待てよ、秋吉くんをお母さんにした方が面白い。>ということになり
  名取くんを桂、秋吉くんを母親役にしたんです。
  すると<主役をやるつもりだったのにぃ!>と(笑)。
  桂は確かにかっこいい。今風のマンションに住み、愛も孤独もある。
  <TVの日曜ドラマのおっかさんのような役を
  なぜ私がやらなくちゃあいけないの?やだやだ!>という最中(笑)。」

鶴「では監督が悪いんですね^^;。僕はとばっちりを受けたと(笑)。」

宣「うん(笑)。」

(続く)

しげぞー  


2010年01月25日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

門前でお買い物

1/16に行われた<長野・門前暮らしのすすめ>のワークショップに参加して来ました。
善光寺仲見世で予算1000円で買物して、どんなものが買えるかな?という宿題のもと、
お土産屋さん、仏具店さんが軒をならべた仲見世で約1時間あまり、
美味しそうに湯気を立てているそば饅頭や、みそソフトを横目でみながら、
何かお買い得で面白いものはないかな?ときょろきょろ走り回りました。

久し振りにじっくり覗いたお土産屋さん。
七味唐辛子や栗菓子、信州限定ポッキー等定番のお土産は相変わらず大人気。
そばや野沢菜のお漬物もはずせませんね。
こけしや、木刀、善光寺の名前入り提灯などちょっとほのぼのするお土産も並んでいます。
仏具店さんでは、とても綺麗なお数珠、木彫りの仏像が目をひきます。

さて、かなり笑いをとった862円分のひがしざわのお買物は

門前でお買物レポート(1)後編 ←こちらをクリック下さい☆
でどうぞ。
お店の隅で忘れられたように置いてあるものを中心に買いました。

もう1つ訪ねたのは横町の竹村陶器店さん。
昨年のJRの<大人の休日善光寺編>のロケ地でCMで吉永小百合さんと一緒に映っていた
青いノレンのお店です。




明治創業のこちらのお店はちょっと懐かしい渋い陶器がおちこちにあり、宝探し気分。
外国人の方に人気があるのが納得できます。

こちらでのお買物は
かっぱのお燗器(頭の皿部分からお酒を入れて直接火にかけれる)。 650円。
おばあちゃんが使っていたような湯のみ。線の滲み具合が可愛らしい。220円。
しめて870円のお買物でした。



善光寺門前で1000円でお買物をするシリーズ、今後も続きます。(笑)  


2010年01月24日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)まち巡り

「絵解きの夕べ」

このブログではりょうさまのレポでおなじみの「長野灯明まつり」。
長野の冬の風物詩として定着してきました。

この灯明祭りに合わせいろいろな行事が催されます。
まずは長野郷土史研究会様 ←詳しくはこちらをクリック下さい☆
の行事のお知らせを転記させて頂きます。

「絵解きの夕べ」
日時:2010年2月7日(日)18:30~20:00
場所:善光寺世尊院様(釈迦堂) 2階大広間
世尊院(釈迦堂)は、仲見世通りの中央より東に入った正面です。

解説 小林 玲子様(歴史の町長野を紡ぐ会代表、長野郷土史研究会幹事)
絵解き口演
「刈萱道心と石童丸」竹澤 環江氏(かるかや山西光寺副住職夫人)
「熊野観心十界曼荼羅」村主 尭春師(三重県鈴鹿市盛福寺住職)
参加費 1,000円 学生無料
申し込み不要

寒い冬の夜、あたたかな宿坊の一室で、地元のホープと鈴鹿市の大家をお招きしての絵解きの共演です。
釈迦堂の御本尊、釈迦涅槃像も特別公開中です。

そして歴史の町長野を紡ぐ会様 ←詳しくはこちらをクリック下さい☆
では、2月6(土)・11(木・祝)・13(土)・14(日)には、善光寺徳寿院で「紙芝居の夕べ」が行われます。

寒い時期ですが、普段なかなか入れない宿坊さんでの会は楽しみですね。
先日お知らせした演劇公演「柔かいモザイクの街」 ←詳しくはこちらをクリック下さい☆
と共にお出かけしましょう。

  


2010年01月23日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)まち巡り

「星の降る里芦別映画学校」受け継がれる「ふるさと」への想い③

◇その3: 21年前の記憶。



(「異人たちとの夏」上映後、休憩をはさみトークショーへ。
壇上にディレクターズチェアが4つ並べられ、中央の1脚には背当てに監督のイラスト、尾美としのりさん画、とか。
大林監督登場。)

宣「ありがとうございました。自分でも観たのは約10年ぶり。
  誰がこんな映画を撮った?と嫉妬しそうになったら実は自分だった(笑)。
  映画は自分で作っているようで、時代や環境、運命や縁でできるもの。
  もう一度といってもムリ。たまたま監督として携わっていただけなんですね。」
  (鶴太郎さん、細山田さん、長谷川さん登場(笑)。大きな拍手。)

鶴「久々に観ても目頭が熱くなりました。」

宣「役者さんを真ん中に、ハセやん(長谷川さん)と僕で囲んで座りましょう。」
  (俳優2人を中央に座らせようとする監督。恐縮して辞退する鶴太郎さん。)

鶴(監督の顔の椅子を示し)「(監督を尻に敷いて)ここに座るわけには(笑)。」
  (と椅子を交換、改めて全員着席。)



宣「ツルちゃんにはゆっくり思い出話を聞くとして・・・ハセやん、ご感想はいかが?」

長「劇作家の目で見ると舞台では出ないものがあります。例えば距離感。
  名取裕子さんと風間杜夫さん、秋吉久美子さんと風間さん。
  秋吉さんとの方がむしろ恋人同士のようでしたが、あの距離感が芝居では難しい。
  全てを言葉で説明しなくてはなりませんから。」

宣「芝居は自由でいいと思う。お客さんは最初から舞台の上の世界をウソだと思っている。
  映画は現実そっくりに映る分、事実と思って観る。本当はあくまで本当しか描けない。
  人は本当にではなくまことに感動する。
  映画を作る時はいつも、本当のように映るスクリーンにいかにウソを描くか考えます。
  4歳デビューの細ちゃん、33歳デビュー、ツルちゃんの演技はどう?(笑)」

細「皆さん大先輩ですが(笑)、鶴太郎さんはじめ出演される皆さんとても色気があって、
  作品も切ないけれどほっとするなと感じました。」

宣(笑いながら)「キャスティングは一番悩みます。僕が作ったといってもスクリーン外。
  皆さんは俳優さんをご覧になる。俳優さんで作品の味が決まる。庶民のお父さん役が既にいなかった。
  理想のイメージはエノケンさんだけれど既に他界されていて、はっと浮かんだのがツルちゃん。
  その10年ほど前、未来劇場の舞台で初めて出逢ったんだね。」

鶴「モノマネをしながらもいずれはお芝居と思っていて、水森亜土さんのご主人・里吉先生
  (劇団未来劇場主宰:里吉しげみ氏)を紹介いただき客演で参加していました。」

宣「未来劇場はずっと観ていてツルちゃんのことは知らずにいって出会った。
  モノマネが面白かったね。小林旭さんや渥美清さん、美空ひばりさん・・・」

鶴「舞台の役柄は言葉を失った料理人。
  人の会話できっかけとなる単語が聞こえるとスイッチが入りしゃべる。
  公園にいる男女。女<別れたい>男<そんなこと言うな、俺についてこいよ>。
  すると・・・<ついてくるかい~何も聞かないで~♪【ついて来るかい】。
  お2人さん、男女にゃいろいろあるもんよ。男がこう言ってるんだ、ついて行けよ>と旭さん調に(笑)。」
  (久々のモノマネに大爆笑、拍手)

宣「旭さんが唄って登場する姿、今でも覚えてるよ、唄いながら足をこう・・・。」(膝を伸ばしキック)

鶴「ついてくるかい~何も聞かないで♪と(立ち上がりモノマネ、笑)。」



宣「石原裕次郎さんは日本の俳優で初めて?足の長い方だったから普通に歩けばいいけれど、
  旭さんは・・・?(笑)
  <もっと>長く見せようと<長いぞ!長いぞ!ピッ!>と(笑)。
  僕たちがちょっとだけ気にしていたら、この人はそれをモノマネで強調して・・・。」

鶴「そりゃ、一所懸命観察してましたから(笑)。」

宣「何より<口跡>、台詞の言い方がキレイ。
  当時、日本の俳優さんはモゴモゴはっきりしゃべらないのが流行で、
  そんな時代ツルちゃんは発音がしっかりしてました。」

鶴「下町出身(東京・日暮里)で、渥美清さんの寅さん口調をマネしたり落語に触れたりしていたので、
  江戸の下町弁が身についてました。
  今だから言いますが、台本を読むと、しゃべり方やニュアンスがウチの父親そっくり。
  この役をできるのは世界で私だけ!と直感しました(笑)。」

宣「その記憶から現代のエノケンさんは片岡鶴太郎!がいる、と。
  ただ、当時のツルちゃんはTVで売れっ子ながら、ポマードで髪を固めて丸々太ってて。
  原作者の山田太一さんも、<とんでもない。鶴太郎が握った寿司など食えません・・・>と
  言うほど脂がよくのっていそうだったからねぇ(笑)。」

鶴「<脂性>とネタにされていたし、確かに江戸前寿司のイメージじゃない(笑)。」

宣「でも僕の中では以前のイメージがあるし、まず会おうと。するとすっきり脂が取れて(笑)。」

鶴「1年前まで本当にポチャポチャのギトギトでした。
  番組で寝る時間もなく、毎晩呑みにくりだす 怠惰な生活。
  しっかり生きねばという意識はあり、ボクシング好きでライセンス挑戦のリミットが33歳なので、
  32歳の時、1年でライセンスを取ろうと体重を絞っている最中でした。
  絞り始めて半年経ったころ監督からお電話をいただきました。」

宣「最初は断ったよね。」

鶴「映画が4~5月で6月のプロテスト直前。
  ボクシングで頭がいっぱいだし、スパーリングで顔も腫れる。
  引き受けても迷惑をかけるかもしれない。
  ありがたいお話でしたが、よく考えて、今はボクシングに集中したい、と辞退しました。
  ところが、監督が<ボクシングやっているの。応援するよ。映画は顔じゃなく人間を撮るんだよ。
  鼻血が出たり切り傷ができたら後ろから撮ればいいし、それでも心は伝わる。>と。
  その言葉に感銘を受け<わかりました、精一杯やります。
  でもボクシングも一所懸命やりたいので、撮影中もトレーニングさせてください。>と申し出ると
  <もちろん。プロテストには僕も応援に行くから。>と言って本当に来てくださいました。
  33歳は、映画初出演、ボクシングライセンスの2大イベントで、
  新しいことに挑戦した忘れられない1年でした。」

(来週に続く)

しげぞー  


2010年01月22日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

「星の降る里芦別映画学校」受け継がれる「ふるさと」への想い②

◇その2:開会宣言、17回目のただいま。



梅田・実行委員長さまの挨拶&開会宣言。

「第17回星の降る里芦別映画学校にようこそ。
 実行委員会からお礼を申し上げます。まず嬉しいご報告が。」と始まったご挨拶。
 長年の夢、念願の芦別映画製作とこれまでの支援・協力へのお礼、
 そして、実現まで皆で頑張りましょう、とアツく訴えられました。
 更に鈴木評詞さんの13回忌であることに言及し、大林監督を芦別にお連れして皆に引き合わせ、
 素晴らしい出会いを与えてくれたことへ感謝の念をこめ、皆で黙祷を捧げました。
「彼も喜んで見てくれているでしょう。
 校長が色紙に書いて下さる『映画は穏やかな一日をつくる』の言葉通り穏やかな日です。
 皆さまと共にふるさとを想い、心に灯りがともりますように。」(拍手)



林・芦別市長さまのご挨拶をはさみ、いよいよ大林校長先生登場です^^。
(以下、宣:大林監督、鶴:鶴太郎さん、長:長谷川さん、
細:細山田さん、は:はくどうさん、中:中島さん、恭:恭子さん)



宣「ただいま、17回目の帰省です。日本は文明や経済を大切にし過ぎて、
  文化やふるさとの誇りを忘れがちだったけれど、
  ずっと続くこの映画学校は皆さまのふるさとへの強い愛の証、心から敬意を表します。
  時がたつのは早く、もう評詞くんの13回忌。今朝も墓参りしました。では・・・。
  今年の特別講師・片岡鶴太郎さんどうぞ。今や大画伯ですが今日はツルちゃんと呼びます。」



鶴(鶴太郎さん登壇)「(照れながら)こんにちは。この映画は21年前、33歳の時でしたね。」

宣「お互い若かった(笑)。あの映画が俳優デビューでしたね。」

鶴「俳優として生きるきっかけとして、いろいろな体験をさせていただきました。」

宣「映画学校では毎年新作上映とそれにまつわるゲストを呼んできたけれど、
  今回は開校前の作品です。
  初めての方にも楽しんでいただけると思います。一言で親孝行の映画でしょうか。」

鶴「私も試写室で初めて観た時、自分が出演しているのを忘れて号泣しました。」

宣「上映後、全国から久々に両親の墓参りに行ったと手紙をいただきました。
  そうそう、いよいよ始まる映画、題名も決まってませんが、早速出演の約束をしてもらいました(笑)。」

鶴「<ここにいるということは出演してくれるんだよね><は、はい>と(笑)。」(拍手)

宣「続いて長谷川孝治さん。日本を代表する劇作家・演出家で今回シナリオをお願いします。
(長谷川さん登壇)青森県立美術館の舞台芸術総監督をされています。」

長「もともと教員でしたが異動で博物館所属に。公務員舞台監督は日本で1人でしょう(笑)。」

宣「青森も大変文化が高く、太宰治生誕100年、彼が生まれ育ったふるさとの駅を舞台に
  『津軽』というお芝居が上演されました。その脚本演出が長谷川さん。
  風雨次第で中止という大胆な企画でとても素晴らしく、
  観たプロデューサーの恭子さんもほれ込んで今回足をお運びいただきました。
  具体的にはまだ、何も決まっていませんよね。」

長「白紙ですが、家族の物語で、主人公がふるさと芦別に帰り・・・とは考え始めています。」



宣「ツルちゃんも長谷川さんとつながりがあるとか。」

鶴「青森県立郷土館で展覧会をした際、県立美術館所蔵のシャガールがどうしても見たくて。
  そうしたら今日またこういう形でご縁があって。」

宣「バラバラに集まったのにね。映画は縁が作るものだと実感します。
  そして「なごり雪」「22才の別れ」「理由」「転校生さよならあなた」と作品では
  お馴染みの細山田隆人くん。
  (細山田さん登壇)芸暦は長いんだよね。」 

細「4歳から子役をしていましたので、今年20年目です(笑)。」

宣「ツルちゃんに引き合わせようとしたら、<ボクもう共演してます>と(笑)。」

細「子役時代刑事ドラマでお世話になりました。またお会いできたのもご縁かなと(笑)。」



宣「本当に縁は面白いね。レギュラー講師の小林はくどうさんと中島洋さんどうぞ。(お二方登壇)
  日本のビデオ映像界をリードされるはくどう先生も<ただいま>ですね。
  ツルちゃんを京都駅で良く目にしているとか?」

は「5、6年目ですからただいま、ですね(笑)。
  鶴太郎さんのことはただ見かけただけです(笑)。
  昔、ある俳優さんを知人に紹介されて<しばらく。お元気でしたか。>と声をかけたんです。
  先方も話を合わせてくれましたが、よく考えたら初対面。そういうことありますよね?」(爆笑)

宣「映画は生活の一部だから銀幕の中の人も友達になるね。
  そして日本の映画発祥の地・神戸で生まれ、北海道が気に入り今札幌で
  映画館シアターキノを経営されている中島洋さんです。
  ふるさとビデオも毎年審査いただいてます。」

中「今回の映画では、製作の裏方をぜひ。よろしくお願いします。」(拍手)

宣「長谷川さんを皆に紹介しようと思ったら皆旧知の仲とか。ここでも縁が結ばれてます。
  最後にわがパートナー恭子さん。(恭子さん登壇)
  彼女のずっと気にしていたのが芦別映画のこと。
  やっと実現できそうだね。」

恭「第20回を迎える時、100年残る作品として上映できれば。
  長谷川先生と監督に、来年までに脚本をあげていただき、翌年製作準備、その翌年撮影。
  皆さまよろしくお願いします。」(拍手)

宣「亭主として感動してます(笑)。去年まで挨拶を勧めても遠慮気味でしたが、
  今年は見事にプロデューサー。評詞くんや皆さんの約束が果たせず辛い思いもしていたでしょう。
  さて、例年はこの後皆さんとお酒を呑んだりお話できるのですが東京に引き返さねばなりません。
  賞(章)をお国からいただけるそうで。(拍手)
  自慢話です。(どっと爆笑)。私でなく皆さんの、自慢話ですよ。
  <長年にわたる実験的かつ独自の映画作りに対して>というのがご褒美の理由。
  普通映画は映画会社が企画しますが、我々は皆さんのふるさとにお邪魔して風土に触れ、
  言葉を交わして映画を撮る。
  そういう手法を国が評価してくれたのは、経済や文明だけでなく、
  人々の心や工夫が生むふるさとや文化を大切にするようになった表れ。
  私が代表でいただきますが、賞を生んでくださったのは皆さん。
  誇りを持って、未来の子供たち、ふるさとの発展のために映画を実現させる時がきたのです。
  皆さんありがとう。そして、おめでとうございます。(拍手)
  では「異人たちとの夏」ごゆっくりご覧ください。



(「異人たちとの夏」上映へ。監督は満天の星の図柄の校旗を指差し)評詞くんデザインです。
  星の絵を描いてと言われて描いたら校旗になりました。星の降る里芦別映画学校開校です。」

(続く)

しげぞー  


2010年01月21日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

「星の降る里芦別映画学校」受け継がれる「ふるさと」への想い①

◇その1:17年の重みを今年も感じに♪



1993年から回数を重ねて17回。
11/7(土)8(日)「星の降る里芦別映画学校」が開催されました。
大林監督を校長先生に、映像表現を通じ「ふるさと」を見つめ直し「まちづくり」を学ぼうと、
大切に育んでこられた映画学校です。
敷居の高いプロ育成の学校ではなく、映画と「ふるさと」を愛する方は誰でも入学可能です。

 1日目:芦別市総合福祉センターにて「ふるさとビデオ大賞2009」公開審査会
 2日目:芦別市民会館にて、 大林監督作品「異人たちとの夏」(1988年)上映、
  大林監督とゲスト(片岡鶴太郎さん・細山田隆人さん・長谷川孝治さん)トークショー

ふるさとの誇り、毎年の恒例行事として根づいています。
何事も始める時は旗振り役の熱意に牽引されて周囲も動き「勢い」でもしのげますが、徐々に
熱の醒めてゆくのが(特に日本人の)世の常。厳しい社会・経済状況からも、運営にご苦労
されているでしょう。「続けておられること」の素晴らしさに頭が下がります。
今年は、大林監督と芦別を結び映画学校のきっかけを作られた故・鈴木評詞さんの13回忌。
大きなプレゼントが届けられました。

「芦別を舞台にした映画」実現へ。

詳細はまだ白紙ですが、この後、記事の中でご紹介しましょう♪




暗いうちに東京を発ち、羽田から旭川、富良野経由1年ぶりの芦別駅に降り立ったのは正午過ぎ。
曇りで底冷えした昨年とうって変わり快晴。
秋の北海道、寒さ対策に気合を入れていたのですが汗ばむほどです。
駅舎を出るとなぜかほっとします。
関東生まれ・育ちの小生ですが、尾道でも覚えるこの感覚、
ふるさとは地理的なものでなく心の中にあるのでしょうか。

開始の14時まで時間があるのでまちあるき。
駅前からのびる道を進み、街中心を通る国道38号を横切ると
バイパスと空知川にぶつかります。
対岸には北海道大観音像と、法隆寺五重塔&三十三間堂モチーフの「北の京芦別」、
幾何学的な「星の降る里大橋」との対比でフシギ空間を作っています。
橋近くのエリアには道の駅と郷土資料館「星の降る里100年記念館」も。




会場の芦別総合福祉センターへ。
実行委員の方々が準備に走り回っておられます。
顔見知りの委員さまにご挨拶していると大林監督&恭子さん、横田社長、長谷川さんご到着。
ほどなく、小林はくどうさん、細山田隆人さん、シアターキノの中島洋さんも到着されました。
開始時間も迫ったのでご挨拶してホールへ。

今回も応募約60本が全国から寄せられ、その中から入選10本、
遠くは広島や兵庫からも足を運ばれた方が。
審査では、歳を重ねても明るさをなくさないで過ごす母親を息子さんが映した作品
『栄子~70歳~』が、市民投票の「星の降る里芦別賞」、
監督ご夫妻やゲスト審査員の「大賞」をダブル受賞し、
息子さんの代理出席で涙ぐむ主演女優・お母さまに温かい拍手が注がれました。



終了後の歓迎パーティは、監督ご夫妻の帰芦を心待ちの地元の皆様、受賞者の懇親の場に。
旭日小綬章受章のお祝いに加えて、監督の口から芦別映画のことが発表され、
会場は大きな拍手であふれました。
小生も懇親会、二次会・・・と交流させていただきました。
楽しい宴の余韻もそのままに、宿の芦別温泉スターホテルに向かうタクシーの車窓からは、
昨年曇りで見ることの叶わなかった満点の星が。
まさに「星の降る里」です!!



芦別温泉は油谷炭礦地区の小学校敷地に湧き出た温泉で、
閉山後、校舎再利用でオープンし道内唯一の環境庁指定国民保険温泉地に。
その後、国民宿舎やホテル棟も増設され今日に至ります。
肌すべすべの泉質、静かな奥座敷的雰囲気でゆっくり滞在したい温泉です♪

翌日午前中、監督ご一行に同行させていただき、鈴木評詞さんの墓参り、
市街を見下ろす山荘「あした」訪問と郷土資料館見学。
お線香を上げさせていただき、評詞さんそして皆さまの想いに触れるとともに、自然や歴史、
数々の懐かしい生活用具の展示に興味をそそられ、また訪れたい街の1つになりました。
片岡鶴太郎さんも合流。
いまや俳優・大画伯、ダンディで素敵な方です。
芸術家のオーラを放っておられるとともに、話術の巧みさ、なめらかさももちろん健在です^^。




あっという間にお昼となり、午後の会場・市民会館へ。
控室で皆様と一緒に実行委員の方々が腕をふるわれたご馳走をいただきました。
名物ガタタン料理、ジャガイモ料理・・・どれも最上級の美味しさで、これまた魅力に♪
(山わさびとガタタンラーメンなど、後日通販でお取り寄せしてしまいました^^)
まもなく午後の部です。皆様にご挨拶し客席へ移動、
「異人たちとの夏」とトークショーを楽しませていただきました。
では、次回から7回に分けて、恒例の?トークのさわりだけ。。

(続く)

しげぞー  


2010年01月20日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)各地映画祭巡り

~失われた流れを求めて 総集編~

鐘鋳川編、中沢川編とお届けした川巡り。
川のせせらぎを聞きながら歩くのはとても気持ちがいいし、
川蟹やザリガニ、蛍などいろいろな生き物とも出会えます。
是非皆さんも訪ねて見てくださいね。

川巡りのハイライトシーンを再び総集編として紹介致します。

まずは中沢川沿いの橋の上で猫と出会いました。
猫は一番気持ちのいい場所を知っているのですね。
しばしの時間、川からの風に吹かれながら遊びました。





鐘鋳川と八幡川が分かれる取水口の通称“長商プール”
中心市街地からちょっとの場所にあると思えない静かさ。
ここに小さな養蚕神社がありますが、かつては水神さまが祀られていたそうです。





長商プールそばのお味噌屋さん、井上味噌さん。
市指定樹木の大きなけやきが目印です。
ここのお味噌は絶品で、はかり売りなので自分の欲しい量が買えます。
素晴らしい縁側があるので川巡りでくたびれたらここで一休み。





井上味噌さんの近く、川へ降りる階段が残っている八幡川の水辺。



かつて戸隠から流れてきた美しい疎水が善光寺平のあちこちで流れ、
田や畑を潤してました。
そんな風景が蘇る川巡りにどうぞお出かけください。  


2010年01月19日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)まち巡り

~失われた流れを求めて 中沢川編~ ②

ながのまちあるき~失われた流れを求めて 中沢川編~ ②

昨年8/31に掲載された記事、
~失われた流れを求めて 中沢川編~ ① ←その時の記事はこちらをクリック下さい☆
大分間があいてしまいましたが続きをしましょう。

中沢川は「転校生 さよならあなた」のロケ地、権堂町から善光寺さんのやや南よりを横切り、
長野県庁を過ぎ、妻科で鐘鋳川(かないがわ)と合流します。

前回の終わり、西本願寺さまの境内の先は暗渠となり、
川の姿はなかなか見えません。




それでも時おり地上に現れ、住宅地の中を水音も涼やかに流れ、
かつて川が身近にあった時を偲ばせます。



川の脇に細い道があり、互いに譲りながら道を歩きます。




川のせせらぎが聞こえる小路は歩いているだけで気分がさっぱりします。



妻科の鐘鋳川からの分岐点、取水口につきました。



この先の鐘鋳川は整備され美しい姿です。
こんな疎水がまちのあちこちで見られ、多くの人が憩える場所になったら。。。
と想像するとわくわくします。


  


2010年01月18日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)まち巡り

『柔らかいモザイクの街』

このブログでおなじみ長野・門前暮らしのすすめのプロジェクトのイベント決定版!の
演劇の公演のお知らせです。
チケットの申し込みが始まりました。

以下内容を転記させて頂きます。

柔らかいモザイクの街』 ←詳しくはこちらをクリック下さい☆

【作】 黒川陽子さん(劇団劇作家)
【演出】 西村和宏さん(青年団)
【日時】 2010年2月6日(土)14:00・19:00 / 2月7日(日)13:00・17:00
「長野灯明まつり」期間中
※開場は開演の30分前(当日券の方は5分前から入場開始)。
受付開始は1時間前(整理番号配布)
※未就学児童の入場はお断りします。
託児を希望される方は2/1までにお知らせ下さい。
【会場】 長野市城山公民館別館 [旧蔵春閣]
長野県信濃美術館から徒歩1分 長野市大字長野東之門町2462
【参加費】全席自由(各回定員100名) 一般:1,500円/中高生:1,000円/小学生:500円
【交通】
バス:JR長野駅前バス乗り場から、11・16・17の川中島バス→「善光寺北」下車 
バス進行方向の城山公園奥(所要時間約15分)
電車:長野駅より長野電鉄「善光寺下」下車徒歩8分
自動車:上信越自動車道長野I.Cから善光寺方面へ約30分
【主催】ナノグラフィカ、ネオンホール、平安堂長野店

【開催概要】 『柔らかいモザイクの街』
「暮らす」ことこそが古い街並みを残し、
地域文化を守り、創っていくことにつながるのではないか。
このシンプルな考え方を元に活動する、私たち「長野・門前暮らしのすすめ」プロジェクトは、
豊かな街づくりの一つの提案として、この「柔らかなモザイクの街」の制作・発表を行います。

東京から演劇界の第一線で活躍している若手演出家と俳優を招き、
長野で一般公募した人々と共に、一本の演劇作品を創り上げます。
稽古場と舞台として選んだ「蔵春閣」は、善光寺の北東の小高い丘に建つ、
昭和モダニズムの味わい深い建物。
現在はあまり活用されていないこの施設を利用して、旧さと新しさ、
地域性と普遍性が同居した、この門前町の現代に相応しい作品づくりを目指します。
「この場所で、こんな素晴らしい作品が出来るのか」
「こんな作品が創れるなんて、何て面白い街なんだろう」
そう思っていただけるように努力を重ねています。
ぜひ長野・門前町に足を運んで、そして作品を観て下さい。

一組のカップルが降り立った誰も知らないこの街。
正直者ばかりが住むこの街は今日、嘘で塗り固められています。
なぜなら今日は「エイプリル・フール」だから。
たった今駆け落ちしてきたカップルは様々に翻弄され、やがてある疑念に苛まれることになります。
「私たちの関係も、もしかして嘘なのかしら…」嘘が現実を変える、新年度の最初の一日のドラマです。



蔵春閣ぞうしゅんかくは知る人ぞ知る建物。
現在は使用する方が減少気味という事でこの演劇公演による活性を考えられたそうです。
その日蔵春閣がどんな熱い会場になるのか楽しみですね。  


2010年01月17日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)まち巡り

「ディア・ドクター」アンコール上映決定

一昨日このブログでお知らせした2009年キネマ旬報ベストテン。
日本映画部門の第1位と、笑福亭鶴瓶さんが主演男優賞を受賞された
西川美和監督の「ディア・ドクター」 ←公式サイトはこちらをクリック下さい☆
が話題となってます。

第33回モントリオール世界映画祭 コンペティション部門正式出品、
及び第33回日本アカデミー賞に優秀作品賞、
優秀監督賞(西川美和監督)、
優秀脚本賞(西川美和監督)、
優秀主演男優賞(笑福亭鶴瓶さん)、
優秀助演男優賞(瑛太さん)、
優秀助演女優賞(余貴美子さん)
ノミネートされてます。

見逃してしまった!と思われている方も多いのではないでしょうか。
ご安心下さいね。
長野松竹相生座・長野ロキシーさんで3月13日(土)~26日(金)に
アンコール上映 ←詳しくはこちらをクリック下さい☆
が決定したそうです。
ロキシーさんの満員御礼が続いた去年の大ヒット映画「おくりびと」再来という感じでしょうか。


(C)2009『Dear Doctor』製作委員会  


2010年01月16日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)映画上映

「ちゅうずもう」

「三鷹の森ジブリ美術館」さん ←詳しくはこちらをクリック下さい☆
映像展示室「土星座」にて2010年1月3日(火)~ 3月31日(水)の期間中
短編作品「ちゅうずもう」が上映されています。

「遠山郷」と言われる地区の中で最も南アルプスに近い、
長野県飯田市上村下栗地区の昔話「ねずみのすもう」を基にし、
急峻な斜面に畑が家が点在する風景や
郷土食のサンマ入りのそば団子などが登場するそうです。

ひがしざわも子供の頃「信濃の民話」でこの話を読みました。
アニメも見てみたいと思ってます。


©2010 Studio Ghibli  


2010年01月15日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)映画上映

2009年 キネマ旬報ベストテン

1/12日に2009年公開の映画を対象とした第83回キネマ旬報ベストテン
が発表となりました。

【日本】
①ディア・ドクター
②ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ
③剣岳 点の記
④愛のむきだし
⑤沈まぬ太陽
⑥空気人形
⑦ウルトラミラクルラブストーリー
⑧サマーウォーズ
⑨誰も守ってくれない
⑩風が強く吹いている

【外国】
①グラン・トリノ
②母なる証明
③チェンジリング
④チェイサー
⑤レスラー
⑥愛を読むひと
⑦アンナと過ごした4日間
⑧戦場でワルツを
⑧スラムドッグ$ミリオネラ(8位は同点で2作品)
⑩イングリアス・バスターズ

皆様はいくつご覧になったでしょうか。
このブログで上田市のロケ地巡りを紹介した<サマー・ウォーズ>はアニメで唯一のランクインの8位でした。
<サマー・ウォーズ>以外<ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ><風が強く吹いている>
と3つの長野県ロケ作品がありました。

主演女優賞は松たか子さん、
主演男優賞は笑福亭鶴瓶さん、

2007年に蓮佛美沙子ちゃんの受賞した新人女優賞は今年は川上未映子さんでした。

外国映画2位の<母なる証明> ←公式サイトはこちらをクリック下さい☆
は今週中は長野松竹相生座さんで上映中。
ポン・ジュノ監督はただいまひがしざわの最も気になる監督の一人です。
どうぞお見逃しなく。

2009年は映画を撮られなかった大林宣彦監督の今後のスケジュールも気になりますね。

  


2010年01月14日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)映画関連

ながのまちあるき ~善光寺門前蔵巡り~ ③

【KANEMATSU】を出て、このブログでも何度かお知らせした
ながの・門前暮らしのすすめ ←詳しくはこちらをクリック下さい☆
を主催していらっしゃるナノグラフィカさんへ。
ナノグラフィカの高井さんがここで合流して西之門町を案内しながら、
門前暮らしについてナビゲーターをして下さいました。


(ナノグラフィカさん前)

ナノグラフィカさんもやはり古い蔵を再生してここに住み始めて7年目。
ナノグラフィカさんがなかったら、まずこんな活動は立ち上がってこなかったであろうと思います。

「転校生 さよならあなた」に旅芸人一座のシーンに赤ちゃん役で出演した
福太郎ちゃんもここですくすく育ってます。

古いものを大切にしているのがここにも表れています。。


(入口にあるご自由にお持ち下さいのかご)

「転校生 さよならあなた」のロケ地<門前農館>さんの奥にある
小さな蔵、豆蔵へ。
善光寺御開帳期間中はここでいろいろな豆製品を売ってました。
現在はお店は終了し、信州大学教育学部の方が子供と触れ合う陶芸教室の拠点に
にしたいとこちらも手直し中です。


(豆蔵の庭の秋薔薇が綺麗でした)


(混み合っていたので塀からパチリ)

こちらでは参加者の方から庭が荒れ気味でもったいない、
建物再生はなかなお手伝いできないが、庭の手入れを手伝いたいという声が。
こうしてゆるやかな優しいつながりが広がっていきます。

次のカフェ<MAZEKOZEマゼコゼ> ←詳しくはこちらをクリック下さい☆
に着きました。



オーナーは現代美術・彫刻家として活躍され、
東京でこどもたちとツリーハウスを作るワークショップ等を開催し、
ここ長野でもこれからたくさんのワークショップを開く予定だそううです。



この日はちょっと混みあっていましたが、自分の家にいるような落ち着いた空間です。
手作りケーキはもちろんの事、手作りおやきが絶品。
ランチもあります。
是非訪ねてみて下さいね。



ここで高井さんのプロジェクトの話を聞き、参加者も門前への思いや、
今自分が関わっている事などどんどん話が飛び出します。
実際に住みたい!と決意をされている方が多くて熱心に質問が飛び交いました。

ちょっと雑な写真が多くて申し訳ないのですが、
話題の蔵を巡るまちあるきの熱気が少しでも伝わったらと思います。
今後も門前の蔵についてはご紹介したいと思ってます。


(マゼコゼさんに飾ってあった花)  


2010年01月13日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)まち巡り

ながのまちあるき ~善光寺門前蔵巡り~ ②

「bonnecuraボンクラ」は善光寺門前にある蔵で活動する
一級建築士さんやデザイナーさん、ライターさんの5社7名のユニット名だそう。
3棟ある蔵が平屋でつながれているちょっと不思議で魅力的な、
かつてビニール工場だった建物【KANEMATSU】を再生中。

ボンクラの日記 ←これまでの流れはこちらをクリック下さい☆

そのままだとやがて取り壊されて失われていく建物を再生するだけでなく
実際に事務所等として使い、人と人とが繋がれる場所へと変わりました。

この建物の魅力を知って頂きたく、
まずは11月にプレオープン見学会として開放された時をご紹介しましょう。


(沢山の方が訪れました)


(ふるまい酒があったり、トークショー、ライブで大変な盛り上がり)






(大切に使われてきたものがあちこちから集まってきているそうです)


(現代の家具を置いても素敵です)


(立派な梁)



(この後ダルマに目を入れる神事が行われたそうです。)



(かつて工場だったので金属張りの壁の部屋があります。
それも格好いい。暗室として使われる予定だとか。)


(ここでのんびりお茶でも飲みながらくつろぎたい感じ。)

1月の正式オープンを近日にひかえ、ますます気になる【KANEMATSU】。

続く  


2010年01月12日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(0)まち巡り