この道 わが旅 前編

平成20年6月8日、長野善光寺三門での映画
『転校生 さよならあなた』完成披露試写会から1年後のこの日、
長野郷土史研究会青年部様の主催で「50年前の地図で長野の路地を歩く」が行われました。
『ダイブ!!』レポートと順番が逆になってしまいましたが、当日の模様を報告させていただきます。

当日は、『転校生 さよならあなた』を心から愛する人たちへの
映画の神様からのプレゼントでしょうか、梅雨の合間の好天にも恵まれ、
雨の試写会から1年、修復工事の終了した善光寺三門もたくさんの人手で賑わいをみせていました。

この道 わが旅 前編
(重要文化財・善光寺三門)

この道 わが旅 前編
(特別拝観を実施しており、楼上に登ることができました)

今回のイベントは、タイトルのとおり今からちょうど50年前、
昭和33年4月調査の日本地図編集社発行「長野市住宅明細地図」を使って
主に権堂界隈を歩いてみるというものです。

この道 わが旅 前編
(この頃の住宅地図は、まだ手書きなのですね)

このころの権堂はというと…、
昭和32年11月6日 丸光百貨店開店
昭和33年 8月3日 長野東映会館
昭和36年 4月9日 アーケード落成
などがあったそうです。
(りょうは、静岡生まれの東京&埼玉育ちのため、当日の資料から転記をさせていただきました。)

実はりょう、街歩きは大好きです。
地図を手に街を歩くと、街の風や香り、そこに住まう人々の息吹までもを肌で感じることができ、
街は“生き物”であることを実感できます。

さて、街を歩く際、地図はできる限り最新のものを使うのが定石ですが、
果たして50年前の地図で歩くとどうなるのか、始まる前から非常に好奇心いっぱいでした。

集まったのは総勢20名ほど。
集合場所の長野相生座・ロキシーさんを出発し、まずは富貴楼跡地に向かいます。

この道 わが旅 前編

かつて華やかな料亭のあった場所は、現在駐車場になっており、
その向こうの長野東映も既にその面影はなく深い夏草に覆われ、
50年という時代の流れの早さと栄枯盛衰を感じさせます。
そして、一行は映画『転校生 さよならあなた』での一夫の家の前を抜け、権堂町交番の横を抜けていきます。

この道 わが旅 前編
映画の撮影から2年。一夫の家にも新たなテナントが入り、
キャメラに納められた姿からは、ロケ地の街並みもどんどん変化しています。

さて、今回はタイトルにもある50年前の地図と併せて、
江戸時代(1848年)の地図、明治11年の地図も用意されました。
ここで、とても興味深かったのは、この一夫の家の前の斜めの細い脇道が、
実は江戸時代の道が現代にそのまま残されたものではないかと言う、
長野郷土史研究会青年部長小林様の説です。
たしかに、江戸時代の地図にも斜めに湾曲した道が記されています。


この道 わが旅 前編

この道 わが旅 前編
(その頃、このあたりは「字腰巻田」と呼ばれ、いわゆる町の外れの“田んぼ”だったようです。)

この江戸時代の道は、途中失われながらも、所どころで再び私たちにその顔をのぞかせてくれます。

この道 わが旅 前編

りょう


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2008年06月26日 Posted byひがしざわ  at 08:00 │Comments(4)未来に紡ぐ

この記事へのコメント
昔を想像しつつの街歩きは楽しいですね。人の営みとともに、街も田園も人の手が入った風景は変わってゆきます。
鉄道の廃線址をたどるのにも通じますが、眼前の風景にほんのわずか残った痕跡、ちょっと想像力を加えるだけで昔の風景が浮かんできます。道の曲がり具合や山の向き・・・古地図や古い写真などがあればなお楽しめます。(この手法はロケ地めぐりにも生かされています^^)
子供のころ住んでいた埼玉の地元は「トトロ」の世界そのもの、丘陵と田圃の入り組んだ地形が多く、どこの崖を掘っても土器片や石器が出てきました。(直径50cmの土器まるごと掘ったことも。)太古、海岸線の入江が近くまでせまり、波打ち際に人が住んでいて・・・という想像に胸躍ったものです。その後も見慣れた道のカーブ具合があれ?線路っぽいと思い調べると、昔そこに軽便鉄道が走っていたとか、今回りょうさまの記事にあるような大通りから斜めに入る路地に違和感を覚えて振り返ると、続きと思われる斜めの細い路地が同様に続いていて、突き当りに古い鎮守様の祠があってこちらがメインストリートだったんだ、と気づいたり(その後「近代的で合理的」街づくりで昔の道とは別にまっすぐの道を通したのですね)、昔は村々の集落からの道が集まる辻だったと思われる畑の中の五叉路が今でも県道として生きていて、その傍の草むらの中に石のお地蔵さんや道標が倒れているのを見つけたり・・・。おっと、すっかり脱線してしまいました^^。
長い歴史あるみすずかる信濃はもちろん、それぞれの地元で同じような楽しみ方が出来るのですよね。長文失礼しました^^;。
Posted by しげぞー at 2008年06月26日 13:39
近所を掘ったら土器が出るなんて素敵ですね!
(遺跡、化石、恐竜大好きなひがしざわ、脱線しました。)

昔の地図を見ると今よりも、もっとそこには生活があり、小さなお店が
ひしめいていました。
長野の歓楽街、権堂付近だけあって、飲食業のお姉さん達が多く
住んでいたりした町の路地はどこかつやっぽい感じ。

古い建物と新しい建物がせめぎあっているのを見ると
改めて町や路地の変遷、これから何を守るのか、いろいろ
考えさせられた楽しい町歩きでした。
Posted by ひがしざわ at 2008年06月26日 23:16
こんにちは。
私もこの町歩きに参加させていただきましたが、りょうさんおっしゃる通り、本当に街は生きているなあと思いました。
昔住んでいたこともあり殊更懐かしく、またその時は気づかなかったことに気づかされ、自分自身も歳とともに変わったけれどやはり街も変わったんだと思いました。
移り行く長野の街の風景を映画に残して下さった大林監督に改めて感謝するとともに、ひがざわさんと同じく、いろいろなことを考えるよいきっかけになりました。
ありがとうございました♪
Posted by さなえ at 2008年06月27日 00:04
さなえちゃん、次回も是非参加しましょうね☆
路地サミットも楽しみです。
Posted by ひがしざわ at 2008年06月28日 23:00
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