映画の未来へ~第4回TAMA映画賞訪問記④

 最優秀新進女優賞は、『桐島、部活やめるってよ』&『Another』&『HOME 愛しの座敷わらし』&『貞子3D』などで橋本愛さん。そして『苦役列車』で前田敦子さんのふたりが受賞されました。この最優秀新進女優賞は、本年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優に贈られる賞です。
 橋本愛さんは、昨年は何と8本(!)もの公開作品に出演。充実した1年となりました。受賞対象作品以外には、『スープ~生まれ変わりの物語』&『ツナグ』&『BUNGO~ささやかな欲望・「鮨」』&『劇場版BLOOD-C The Last Dark』(声のみの出演)があります。

 名前を紹介されて上下黒系でコーディネートされた服装で登壇された橋本愛さん、「10代ならではの透明感、苛立ち、戸惑い、不敵さを、時にひらりとした軽さで、時に物語の核となる重さで、青春映画からホラー映画まで見事に演じ分けました。第4回TAMA映画賞において、本年度最も飛躍し、活力あふれる活躍をした女優として、ここに表彰いたします。」と読み上げられた表彰状を受け取られます。
 花束の贈呈では、多摩市を象徴するご当地ゆるキャラ…ではなく、キティちゃんが登場するサプライズも。(多摩市には、サンリオピューロランドがあるのですね)。
 可愛らしいキティちゃんから花束を受け取る橋本さん。

 マイクの前に立ち、「ありがとうございます。今日は、凄く素直に嬉しい気持ちでいっぱいですし…、あの……、はい、嬉しいです。」
 この後、数多くの映画賞で新人賞を受賞することとなる橋本愛さんですが、このTAMA映画賞が、これから始まる長い橋本愛さん伝説の記念すべき出発点。初めての授賞式への出席ということで、少し緊張されている様子。

 橋本さんは、昨年は8つもの作品に出演をされたという大ブレイクの年となりましたが、その中でも、『桐島、部活やめるってよ』は、特別の想い出がある作品と聞いています、と司会者から投げかけられて-
 「そうですね。私は、この仕事が全然好きではなくて。」
と、橋本さんから意外な発言が飛び出し、場内がざわめきます。
 「面倒くさがってやっていた時期があって、でも、そんな時期に、この作品と作品を通じて現場にいた方々に出逢えたことで、やっとこの仕事が好きになれて、やっと家族に届ける以外に、この仕事をやる意味を自分の中に見つけられて、だから、やっとお芝居を愛せたので、凄く宝物です。」と作品への感謝を、独特の言葉で表現します。

 自分を変えてくれた作品ということになりますか、という質問に「はい。」と答える橋本さん。
 想定外の回答と展開に、その後の進行に困ってしまい、「会場の皆さんで、まだ映画を観ていない方がいらっしゃいましたら、橋本愛さんの人生観までを変えてしまった作品ですので、ぜひ観てください。」と締めくくる司会者に、場内からは、笑いが起こります。

 客席から「愛ちゃん、しゃべるの頑張れ!」との声援を受け「ありがとうございます。凄く嬉しくて、何もしゃべれない…」と呟きながら、「やっと愛せたこの作品を、これからも自分の中でも凄く大切にしていきたいし、この大事なものとできるだけずっと長く繋がれていられるように、自分なりに頑張っていこうと思っているので、これからもよろしくお願いします。」と一所懸命に言葉を紡ぎます。

映画の未来へ~第4回TAMA映画賞訪問記④
(タワーレコード新宿店では、「桐島、日本アカデミー賞3冠受賞だってよ」と題して、3月17日まで、衣装・小道具・パネル展が開催されています。)

映画の未来へ~第4回TAMA映画賞訪問記④
(劇中キーアイテムとなる、あの8ミリカメラも。)

 映画祭公式パンフレットにも各受賞者のコメントが掲載されており、橋本愛さんは、「高知の生きている学校で1か月、青春を謳歌した私たちの切り取られた日々が、観てくれた方々の一部となって、時には意図を超えた部分で増殖した、一種の“現象”と呼べるものさえを目で耳で肌で感じることができた、大切な作品です。本当に一生大切です。改心する機会をくれた役者のみんなを背負って賞をいただけること、本当に有難く、とても嬉しい気持ちです。これを褒美だと思わず、追風に変えてこれから向上していきたいです。本当にありがとうございました。」とこちらも独特の言葉(ファンの間では“橋本節”と呼ばれている?)で喜びを表現されていました。

(TAMA映画賞での橋本愛さんの様子は、橋本愛さんの公式サイトの中で、写真付きで紹介されています。)

 そして、もう一人の新進女優賞は、『苦役列車』で元AKB48の前田敦子さん。

 『苦役列車』の予告編がスクリーンに流され、名前を呼ばれて舞台上に登壇すると、会場内からは、この日一番の大きな声援が。「あっちゃん!」という大声援が万雷の拍手と共に贈られます。
 「単なるミューズではなく、生活の実感や煩悶、不安を抱え、80年代の空気感を身にまとった演技に、今後息の長い女優として活躍する大きな可能性を感じさせてくれました。第4回TAMA映画賞において、本年度最も飛躍し、活力あふれる活躍をした女優として、ここに表彰します。」と読み上げられた表彰状を受け取られます。

 司会者からコメントを促され、「最優秀新進女優賞という、とっても素敵な賞をいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます。この映画祭は、市民の方々のボランティアで行われていると聞きました。そして、20年間も続いているという、そんな愛のある素敵な映画祭で、こんな素敵な賞をいただけて、本当に嬉しいです。皆さん、ありがとうございます。そして、『苦役列車』の山下監督、スタッフの方々、『苦役列車』を愛してくださった皆さんに感謝しています。ありがとうございます。」と、さすがあの大所帯で個性派揃いのAKB48で、長年センターを張っていただけあって、とても落ち着いたしっかりとした口調で、来場者と映画祭スタッフに感謝のメッセージを届けます。

 前田敦子さんは、以前から山下敦弘監督の大ファンだったそう。そんな憧れの山下監督に初めて会った際には、想わず「うわっ、本物だ」と言ってしまい、監督をびっくりさせてしまったそうです。
 実際に山下監督から演技指導を受けた感想を聞かれ、「現場ではずっと、私は山下ワールドと言っているのですが、本当に山下ワールドが広がっていて、これが、この世界観なんだなと、凄く興奮しつつ、自分を高めつつ、参加することができました。」と話す前田さん。
 元々、映画を鑑賞することが、凄く大好きだったということで、完成した自分が出演している作品を観たときの印象については、「今回、自分が出演しているとか、そういうのではなく、それは別として作品を観たときに、「あっ、映画を観ているな」という気分に凄くなりました。」とご自身の出演作についての感想を語ります。

 2012年8月27日にAKB48を退団し、ずっと憧れていたという女優への道を本格的に歩み始めた前田さん。今後チャレンジをしてみたい役柄を聞かれて、「そうですね。求めていただけたのなら、大概のことにはチャレンジをしていきたいと思うのですが、やはり、こうして観てくださっている方の印象に残るような役をやっていきたいです。」と、しっかり前を向きながら、言葉を紡ぐ前田さん。

 最後に、抱負とご予定をお伺いできますか、との司会者の言葉に、「ご予定?」と聞き返す前田さん。どうやら結婚のご予定を聞かれたのと間違えたよう(笑)。ちょっと素がでた前田さんです。この後、司会者が各受賞者に「ご予定は?」と聞くたびに、会場がクスッと反応するようになりました。
 ご出演予定などはございますでしょうかと聞き直されて、「そうですね。ごめんなさい。これからも、愛される映画にたくさん出演していきたいなと思っています。来年公開予定の映画もあります。ぜひよろしくお願いします。これからも頑張ります。本当にありがとうございました。」と締めくくる前田さん。劇場では既に予告編が流されていますが、今年は5月18日に主演作品の『クロユリ団地』が公開予定です。

 余談ですが、りょうとAKB48との初めての出逢いは、女優・大島優子さん。
 2009年『水曜どうでしょう!』のミスターこと鈴井貴之さんがメガホンをとられた映画『銀色の雨』で、良い演技をする若手女優さんだなぁと思い、パンフレットを手に取りプロフィール欄を見ると、大島優子(AKB48)…って何?というのがきっかけでした。
 新曲『So long!』The Movieでのまゆゆこと渡辺麻友さんも、大林宣彦監督のタクトで素敵な演技を魅せてくれていましたが、前田敦子さんや大島優子さんなど、才能のある人たちが映画界という新たなステージに飛び込んでくれるのは、楽しみが広がりますね。

(りょう)

つづく


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2013年03月14日 Posted byひがしざわ  at 08:00 │Comments(0)未来に紡ぐ

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