第23回高崎映画祭 その③

私が重松さんに連絡した時点で、既に8社からのオファーがあったが、
なぜか主演候補は同じキャスティングだった。
今どきこういう映画を創ろうとすると、役どころが決まってしまっている。
もちろん、こういった人たちを起用すれば、300館の大ヒットもあり得るかもしれない。
だけど、自分はそういう映画づくりはしたくない。

永作さんについては-
出演してくれないだろうと思いつつも、恭子さんが
生まれて初めてタレントプロダクションに乗り込んでくれた。
タレントは、長い髪それ自体が商品だから、CMやらドラマの契約やらで、
普通は切れないのだけれども、恭子さんがお願いしたら
彼女はプロダクションの社長との相談なしに自分で決断して短くしてくれた。
実は、プロダクションから後でちょっと怒られたんだけれどもね。
また、4キロもの減量をして、他の仕事に影響が出るほど
役づくりを徹底して撮影に臨んでくれた。
それぐらい映画に懸けてくれて嬉しかった。

第23回高崎映画祭 その③
(映画祭公式パンフレット)

ここで、監督がある日タクシーに乗ったときの運転手とのエピソードが紹介され。

監督は、ジョニー=デップを知っていますか。
彼は映画を観にいくたびに、ジョニー=デップではないんですよ。
だから、今回はどんな変化を魅せてくれるのかが楽しみで、毎回映画を観に行く。
だけど、日本の俳優は、どの映画でも同じ顔をしている。
戦争映画なのに、髪を切らない役者までいる。

そこで、日本のジョニー=デップは誰かなぁと監督が考えていたとき、
ふと見たテレビでちょうどナンチャン(南原さん)がスポーツの
解説をしていたのが目に留まった。
そこで、「これだ!」と思い恭子さんに相談したら
「いいわね」とのひと声で主演が決まった。
大林組の現場は、原則「かけもち禁止」だけど、
それなら、とナンチャンはスケジュールを空けてくれたそうです。

ナンチャンは、ひろべえ(永作さん)がいなくなった後の10日間は、
普通なら撮影が中止になるくらい本当に消耗していた。
また、撮影の2ヶ月間は、家族と離れて取り組んでくれた。
そういった姿を撮れば、それだけで名演技になる。
だからこそ、演技指導はいらない。
そのままドキュメンタリーのように撮影すれば良かった。

今回の撮影では、テストなしの一発本番が多かったと伺っています、と司会者。

第23回高崎映画祭 その③

さて、ここでこの日大林監督が高崎映画祭に
飛び入りで来祭された理由が明かされます。

昨年11月15日、この高崎映画祭の立ち上げに尽力された
シネマテークたかさき総支配人で高崎映画祭事務局代表の
茂木正男さんが急逝されました。

大林監督は、1987年の第1回目から『野ゆき山ゆき海べゆき』で来祭されるなど、
高崎映画祭とは長く関わりを持たれています。

90年代、映画祭は映画館とバッティングするため、
映画館のない場所以外では開催できなかったそうです。
だから、初めて声をかけられた際は、本当に出来るのかなぁと半信半疑だった。
だけど、高崎に来て、映画祭の会場で映画館の館主が
箒を持って掃除をしている姿を目の当たりにして、非常に驚いた。
茂木さんの「ここは、映画館も映画祭も一緒にやるんです」との言葉に、
これからの映画祭はこうだな。
映画館主も一市民も、同じ立場で映画を愛する姿に、
監督も涙が止まらなかったそうです。

続く

りょう



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2009年04月17日 Posted byひがしざわ  at 08:00 │Comments(0)未来に紡ぐ

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