映画「異人たちとの夏」浅草ロケ地めぐり 前篇

8月も中旬、ご先祖様や、大切だったあの方が帰ってくるお盆ですね。
そんな季節にぜひご覧いただきたい作品があります。

「その日のまえに」は、「限りある命を一所懸命生きる」ことの大切さとともに、
「もし大切な存在が遠い世界に行ってしまっても、
生きる者が覚えていればいつまでも会い続けられる」と思わさせられる作品です。
そんな大林監督作品が以前にもありました。
1988年公開、山田太一さん原作の映画「異人たちとの夏」です。
演出は「その日のまえに」と同じ、市川森一さん。
どこか懐かしい、下町浅草の夏の路地裏の風景が描かれていましたね。

ストーリーは、大林ファンの皆様にはいまさらでしょうが・・・
原田英雄(風間杜夫さん)は40歳のシナリオライター。
妻子と別れて仕事場のマンションに一人住まい。
ある日、幼い頃に住んでいた浅草に出かけた原田は、死んだはずの「両親」に会ってしまう・・・。

主人公のシナリオライター原田英雄に風間杜夫さん、
仕事仲間の間宮ディレクターに永島敏行さん、
同じマンションに棲む謎の女性ケイ(藤野桂)に名取裕子さん、
そして浅草で出会った「両親」に片岡鶴太郎さんと秋吉久美子さん・・・。
他にも、大林組常連の皆様が沢山出演されていましたね。

この夏、映画から20年ぶりに「異人たちとの夏」が舞台化されました。
原作も、そしてもちろん市川森一さん脚本、
大林監督の映画も大好きですので(小生の大林作品ベスト5に入ります^^)、
「これは観なくては」と千穐楽に出かけてまいりました。

映画「異人たちとの夏」浅草ロケ地めぐり 前篇映画「異人たちとの夏」浅草ロケ地めぐり 前篇

舞台版キャストは、椎名桔平さん、内田有紀さん、甲本雅裕さん、
池脇千鶴さん、羽場裕一さんら、演技派ぞろい。
原作は当然山田太一さんですが、脚本も鈴木勝秀さんということで、
映画とはまた違うイメージでした。
とはいえ、キャストの違い、時代に合わせた細かい設定の変更などはあったものの、
細かい台詞は映画と(原作と?)同じだったりして、
部分部分で映画のシーンを思い出して、不覚にも
ボロボロ落涙してしまいました。(すき焼き屋でのやりとりなど)
舞台でのお芝居としては、かなり完成度が高い作品でした。
それ以上は個人的な好みの問題でしょうが、
小生にとってはやっぱり映画のほうがせつなさを感じました。
というわけで、2時間あまりの舞台から帰宅してから
DVDで映画をまるごと観なおしてしまいました^^;。
改めて映画の魅力を再認識した舞台でした。

そんなわけで、今回は、お盆特別企画。
改めて良さを再認識した映画「異人たちとの夏」の浅草ロケ地めぐりをしてみましょう。

原田が取材に出かけた「ゴーストステーション」は実在し、
東京メトロの旧新橋駅ホームです。
もともと<地下鉄の父>早川徳次氏が日本最初の地下鉄として
上野-浅草間で建設した東京地下鉄道(今の銀座線)が伸延されて新橋まできていました。
更に品川方面に伸ばす計画でしたが、
東急の創始者・五島慶太氏が渋谷-新橋間に建設した
東京高速鉄道につなげることになり、
銀座線は今の、浅草から新橋で曲がり渋谷に向かう路線になったのです。
その際、残ったのは東京地下鉄道の新橋駅で、東京高速鉄道の駅はわずか8ケ月で夜間に
電車を留置しておく引き込み線になってしまいました。
ずっと「幻の駅」「謎の地下空間」などと言われてきましたが、
最近は一部整備され、イベントなどで時々公開されたりもしています。
映画でも、タイルで描かれた「橋 新」(右から^^)の文字が映し出されましたね。
ホームで一人きりになってしまった瞬間から、
原田は異界に入り込んでしまった、ということなのでしょう。

公衆電話で誰もいなくなったことに文句を言った原田は、
目にとまった「浅草」の文字に、かつて暮らしていたけれどながく
足を向けていなかった浅草に出かけることにします。

原田が地下鉄の駅から地上に出たのは、銀座線の吾妻橋出口。
階段を上がってきた原田、そしてすれ違うお坊さまの背景に、
以前「おのみちまちあるき」でも紹介したことのある、「地下鉄」の文字の装飾が映りました。

映画「異人たちとの夏」浅草ロケ地めぐり 前篇
映画「異人たちとの夏」浅草ロケ地めぐり 前篇

原田は雷門から仲見世を抜けて浅草の観音様へ。

映画「異人たちとの夏」浅草ロケ地めぐり 前篇
映画「異人たちとの夏」浅草ロケ地めぐり 前篇

浅草の観音様こと浅草寺は、この夏、普段とちょっと様子が違います。
浅草寺本堂(観音堂)と五重塔は昭和20年の東京大空襲で仁王門と共に焼失。
お寺、町方、全国の信徒の方々のご尽力で、昭和26年に再建に着工し、昭和33年に落慶しました。
今、本堂の屋根瓦の葺き替え、外壁塗装を行なう大修繕(大営繕)が進んでいます。
平成22年11月まで約2年、このように覆われた姿です。

映画「異人たちとの夏」浅草ロケ地めぐり 前篇

お参りを済ませた原田は境内を歩き浅草の街に。
本堂脇から五重塔をのぞむアングルも登場しました。

映画「異人たちとの夏」浅草ロケ地めぐり 前篇

続く

しげぞー



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2009年08月16日 Posted byひがしざわ  at 08:00 │Comments(0)ロケ地巡り

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