神戸100年映画祭 「淀川長治さんを偲んで」 その1

その1。日本の映画発祥の地、神戸。

「サヨナラサヨナラ、サヨナラ」の名口調で知られた映画評論家、
故・淀川長治さんは今年生誕100年。
<映画の伝道師>淀川さんの愛してやまなかったのがふるさと神戸でした。

11/19「神戸100年映画祭」の一環として、淀川さんを偲ぶイベント
(大林監督のトーク&尾道『転校生』上映)がありました。

神戸100年映画祭 「淀川長治さんを偲んで」 その1

映画祭は、阪神淡路大震災の翌1996年、
映画上陸100年記念&震災復興のイベントとして始まりました。
開始時、趣旨に賛同した淀川さんも費用を寄付されました。
14回目の今年は「淀川長治生誕100年記念」と称したイベントが企画され、
「モロッコ」や「転校生」、「心の旅路」、「若草物語」、そして「素晴らしき哉、人生!」など
往年の名作上映、淀川さんと親交のあった大林監督のトークショーが開催されました。

まず、いまさらですが、神戸・新開地・淀川さんについて少々解説です。
(以下、波線までホームページ「新天地ファン」さま ←詳しくはこちらをクリック下さい☆
記述から抜粋、サマリしています)

日本の映画史は1896年、活動写真が神戸港に上陸したことに始まります。
メリケンパークには映画記念碑「メリケンシアター」があり、
42個の石にはチャップリンやマリリン・モンロー、オードリー・ヘップバーンら映画スターの名が刻まれています。
記念碑の資金集めに奔走した1人が神戸出身の淀川さん。
ご自身チャップリンら2個の石碑を寄贈されました。

神戸100年映画祭 「淀川長治さんを偲んで」 その1

映画解説者として親しまれた淀川さんは1909年、神戸市生まれ。
お母さまが新開地で活動写真を観ていた夜、産気づいて生まれたとか。
まさに映画の申し子(笑)。
幼いころから映画を観に新開地に通っていました。
「てけれっつーの・・・ぱ!」
(?な方は大林監督作品『淀川長治物語・神戸篇~サイナラ~』をご覧ください♪)

神戸100年映画祭 「淀川長治さんを偲んで」 その1

港に近い兵庫区と外国人居留区・元町を東西に隔てる湊川をつけかえ、
埋め立てて作られた商店街が新天地。
映画館や芝居小屋がたち並ぶ一大興行街で、「東の浅草、西の新開地」といわれたそうです。
今でも名画座が営業しています。
かつてどこの映画館もそうだったように、2、3本立て。
大衆演劇「新開地劇場」もあり、風情が浅草を思わせます。

新開地の中心に「聚楽館」という劇場がありました。
東京・帝国劇場をモデルに、地元の財界人が出資し造られたもので、
給料日にはおめかしして家族で出かけ、映画を観て、
食事をして帰るというのが娯楽の定番だったそうです。
閉館後、跡地は20年あまり空き地でしたが、
震災後、現代版総合アミューズメント「ROUND1」が建ち、今日に至ります。

神戸100年映画祭 「淀川長治さんを偲んで」 その1

(外観は初代・聚楽館がモチーフ。もとは太閤殿下の「聚楽第」から命名した「じゅらくかん」
でしたが、市民は「しゅうらくかん」と呼びやがて正式名称になったそうです。
横丁の電柱には今もその名が見られます。)

神戸100年映画祭 「淀川長治さんを偲んで」 その1

山の手の富裕層から下町の庶民まで受け入れた新開地は
「神戸文化の噴水」とも言われました。
新開地の起点・湊川講演にあった神戸タワー(当初の名は「新開地タワー」。
高さ90Mは当時東洋一、大阪の通天閣より高いのが自慢だったとか)とともに、
聚楽館は神戸のランドマークでした。
1936年には、来日中のチャップリンが映画館の見物に訪れ、
淀川さんも憧れのチャップリンと面会、大感激したそうです。

戦時中は政府の厳しい統制を受けつつ、息抜きの場として多くの人に愛され賑わいました。
1945年の神戸大空襲で全焼するも、多くの市民が集まりいち早く復興しました。
映画や演劇のスターも数多く訪れましたが、
美空ひばりや石原裕次郎など大スターが来ていると
聞いても商店街の皆さまは見向きもしなかったとか(商売が忙しくそれどころでは・・・笑)。

隣接地区が米軍に接収されたり、市役所などの移転、
娯楽の多様化による映画興行の不振(昭和40年代)、
造船不況による大企業の移転(昭和50年代)などが重なり、
灯が消えたようになり街の雰囲気が変わってしまいました。
危機感を抱いた地元の方々は、暗いアーケードを外し緑あふれるモールを作るとともに、
安心して暮らせる「遊びとアートあふれるまち」という未来に向かい歩み始めました。

ところが、取り組みが形になり始めたころ大震災で街の7割強が全半壊、
街づくりに奮闘されてきた方々も店をたたんだり街を離れざるを得なかったり・・・。
しかし街再生の心意気を抱いた皆さまはめげません。
震災後1週間足らずで復興計画づくりを始めアーケードを復旧。
また「アートビレッジ構想」の拠点として「神戸アートビレッジセンター」開館。
音楽祭や映画祭も毎年開催され、新しい街への変化を発信するようになりました。

また「新・新開地」を目指し、地区生誕100年の2005年「B面の神戸です。」を
合言葉に新開地の魅力をアピールし始めました。
路地や横丁には隠れた名店も残り、ぶらりと寄り道できる場所として支持されています。

神戸100年映画祭 「淀川長治さんを偲んで」 その1

映画関係ではまず、「神戸フィルムオフィス」さまが積極的に活動を続けておられます。
設立9年でサポートした映画数はメジャー作品30本以上。
(綾瀬はるかさんご出演の「僕の彼女はサイボーグ」は神戸の南京町でもロケしました。)
NPO法人「新開地街づくりNPO」さまは7年前から<新開地映画祭>を開催していますが
女性限定で新開地の雰囲気を前面に押し出した作品を上映し、こちらも毎回好評だとか。
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(続く)

しげぞー



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2010年03月02日 Posted byひがしざわ  at 08:00 │Comments(0)各地映画祭巡り

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