第18回星の降る里芦別映画学校ふるさとへの想いはどこまでも9

第18回星の降る里芦別映画学校~「ふるさと」への想いはどこまでも~

◇その9:撮影所というところ。女性が監督するということ。

第18回星の降る里芦別映画学校ふるさとへの想いはどこまでも9

宣「さて竹内さん、彼女がうちでスクリプターをしていたころ美術監督、
先輩として見ていたわけですが、今回の作品を観ていかがでした?」

竹「大変素晴らしかったと思います。あの家は時代劇それも銭形平次の、
パーマネントセットをリフォームしたそうですね。
長火鉢の向こうから親分が入ってきそうな場所を、障子を襖や開き戸にしたり、
雨戸をガラス戸にしたり飾りこんで見事に変身させた。」

呉「あれは東映京都撮影所なんです。プロデューサーに<1からセットを組むお金がない>
と言われて<どうするんですか?><銭形平次のがあるんだけど>と。
見に行くとどう見ても時代劇のセット。
<これをリフォームしてもらう>というんですが、美術監督さんは時代劇をなさっている方だし、
もしや時代劇に宗旨替え?と一瞬不安に(笑)。
失礼だと思いつつ、雑誌の切り抜きなどで自分の作りたい世界観をまとめた
資料を美術監督さんやスタッフさんに一式送って理解いただきました。」

竹「長屋の庭に母屋の壁を作ったりしていますね。
大林監督の仕事でも3つの家を合わせたり工夫してきたから、うまく引き継いでいるなと(笑)」

第18回星の降る里芦別映画学校ふるさとへの想いはどこまでも9

宣「京都で撮影というからなぜ?と思ったらセットだったんだね。
最近は、東京ロケで手軽に済ますことも多いですが、
京都には昔からの日本映画の伝統が残っています。
新人監督の作品なのにどこか古典的な良さがあるのは京都の持つ映画の歴史でしょう。」

呉「今でこそ美術監督さん含め京都のスタッフに可愛がっていただいてますが、
最初はさすがに怖いなぁ、どうなるのと思いながらでしたが、人を信じることも教わりました。」

宣「撮影所は僕のような男でも怖いところ。古典的な世界なので秩序や礼儀作法、
仕事のやり方や礼節に厳しくて、そんなことも分からない輩が来ると天井から金槌が落ちてきたりする。
ましてや長いこと男社会で女性が担当するのは記録のスクリプターなど限られた仕事でした。

女性が監督する時代になっても男性が作るのと女性が監督するのとでは違う。
俳優さんは目の前の監督がOKしてくれないと仕事にならないので、
監督が男だと男性が満足するような演技をする。
今回の女優さんたちは安心して女であるというお芝居をしている。
それが監督が女性である良さだと思います。」

千「<女性監督としてどうですか?>などという質問にミポはどう答えているの?」

呉「私自身女性の当事者だから、分からないと言います。
女性らしいとか、女性にしか撮れないとか何か違う気がして。」

宣「あなたが<女性的な映画>を撮る必要はない。
あなたがあなたの映画を撮ればそれが女性の映画になる。それでいいんです。」

呉「はい。」

宣「確かに、女性が監督になっても男性に喜ばれる映画を撮らなければ
認めてもらえない時代があったのは事実です。
田中絹代さんが監督デビューした時、小津安二郎さんや他の男性監督たちがこぞって
面倒をみてくれたのはいいけれど結局彼女らしさが消えておじさんたちの映画になってしまった。」

千「原作にない、映画のためのオリジナル脚本としてあなたが足したのはどのあたり?」

呉「いくつかありますが、最後の<鶴亀、鶴亀>以外、やはり白無垢の挨拶シーンですね。
 原作では案外あっさりしていたんですが、陽子がなぜ娘に想いを黙っていたのか、
病気も含めて全て隠していたのか全部吐露しないと観客は納得できない。
『オカンの嫁入り』なんだし、おばちゃんの白無垢メイクも面白いじゃない?と。」

第18回星の降る里芦別映画学校ふるさとへの想いはどこまでも9

(続く)

しげぞー



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2011年01月24日 Posted byひがしざわ  at 08:00 │Comments(0)各地映画祭巡り

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