時をかける少女

ロケ地巡り  第20回
<時をかける少女:映画祭、監督つながり。。。>

「転校生 さよならあなた」ではオープニング&エンディングにメッセージがあります。

「25年前の「転校生」の仲間たち、そして25年後に棲む子供たちへ」で始まり、
「人は誰も、生きて物語を残す。人の命には・・・」。
大林作品には、こういったメッセージがよくみられます。

<人が真実の愛を知ってしまったとき、それは、人にとって幸福なのだろうか、不幸なのだろうか>
「時をかける少女」オープニングにあるメッセージ。これこそが作品のテーマということですね。

「転校生 さよならあなた」の寄せ書きに名前があったという<芳山和子>さんといえば・・・
昨年の映画祭でも上映されたこの作品。
せっかくですので、 「時をかける少女」についてもちょっと書いてみましょう。

「転校生」で尾道という港町が全国的に知られ始め、それが一気にブレイクしたのがこの作品でした。
以降、続けざまに尾道を舞台にした作品が作られ、大林映画=尾道、「尾道三部作」という言葉が生まれ、
自分のような<ロケ地めぐり>ファンが訪れるようになりました。

ただしこの作品時点では、まだ監督にも「三部作」という発想はなく、
ロケも尾道だけではなく、同じ広島県の竹原と半々で行われました。
ロケ作品は「この路地を抜けて、どうしてここに出るの?」というフシギさが魅力ですが、
この作品では同じ町内で方角が違うどころか、全く別の街に出てまた戻ってくるのがとても面白いですね。

映画の舞台は当然架空の街ですが、ロケ地が2つの町の合作であることをある部分で主張しています。

「竹尾原道」この役名ご存知ですか?
登場人物中、ゴロちゃんこと堀川吾朗くんの家である醤油屋で働く従業員男性の名です。台詞も2つ。
借りたハンカチを返しにきた和子に「ああいらっしゃい。坊ちゃん中にいますよ。」
火事の騒動に駆けつけ、何かお手伝いでも、という和子に「いいですよ。もう済んじまいましたから。」
彼の名前、もうお分かりですね^^。
「尾道」「竹原」の4文字を見事にブレンドしたものなのです^^。

こういった小さな「お遊び」、ある程度固定ファン?がついたドラマシリーズや映画ではよくあります。
「ターミネーター」の「I'll be back」もそうですね。大林作品でも・・・^^。

尾道三部作の「さびしんぼう」では、「尾道転校生」の一夫、尾美としのりさんが主人公ヒロキ役に。
正月、家のお寺に母親の幼馴染が娘を連れてきます。それが一美の小林聡美さん!
昔話に花を咲かせる母親たちに、2階で遊んでらっしゃいと言われ階段をのぼる2人。
先にのぼろうとした尾美さんが「うわーっ」とつまずき転げ落ちるフリを
します。「きゃあ!」と慌てる小林さん。
また階段を一緒に転げ落ちて入れ替わっちゃたまらん!というジョーク^^。

「転校生 さよなら あなた」にあったジョークもお気づきですね。
尾道土産のデベラや玉浦煎餅は置いておくとして、心配で一美の家に電話をしてきた山本弘くん。
背後に流れる曲は「ジョスランの子守唄」。
この曲は尾道新三部作の第3弾「あの夏の日 とんでろじいちゃん」で使われていました。
弘くんが覗き込む虫籠は玉虫ネタ、そして極め付きは、
カエルの親分(笑)の「死にいたる病」の翻訳を出したお祖父さまが
「あの夏・・・」の大井賢司郎じいちゃんこと小林桂樹さん!
ダメ押しにあの帽子まで置かれています。
(逃避行の途中にあった、「ワシにもよう分からん。」という弘くんの声真似も見事でした♪)

こういう小さいネタも、ロケ地と同様、映画の楽しみ方の1つです^^。
そんなわけでロケ地です。(特に記述なしは尾道)

3人の通う高校。(長江小学校)
/「おはよう」「ほら急いだ、遅刻遅刻!」学校正門。(長江小の裏庭です)



「でもやっぱりヘンよね。だって私、確かに見たんだもの」<時計の日之出堂>(竹原)
/チリンチリン!自転車とぶつかりそうに。(竹原の夷堂)



竹原の景観地区突き当たり、夷堂。(落ちる瓦は改修中の近くのお寺)
/2度目?の通学路、怪訝そうに見上げる和子。(竹原)



深町家。以前画家の方がお住まいでした。温室はセット。
/竹薮の道。竹は15年前ころ伐採され、左側の石だけが面影を。



わおーん、わんわん!犬に吠えられる通学路。深町家と竹薮の道の間。
/「ねえ、寝てたほうがいいんじゃないの?」芳山家。西国寺近く。



ゴロちゃんにハンカチをかえしに。山の上に芳山家が合成されました。
/石段をおりて堀川家へ。(竹原:西方寺の石段。)



正面がゴロちゃんの家、堀川醤油醸造所(そのため苗字が原作の浅倉から堀川に変更。竹原)。
/タイムリープする和子は七五三、3歳の自分に「そっか、同時には存在できないんだわ」、艮(うしとら)神社。



この街も、20年以上たって、まだあまり変わりません。。。

しげぞー


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2007年11月09日 Posted by ひがしざわ  at 08:00Comments(2)ロケ地巡り